見出し画像

『恐怖が始まる』配信で観劇しました

こんにちは。おちらしさんスタッフの水口です。
先日、上演されたワンツーワークス#34『恐怖が始まる』のアーカイブ配信を観劇しました!

あらすじ

ある原発作業員の四十九日に一人の女が訪ねてくる。出迎えた女と同様、訪ねてきた女の夫も原発作業員だ。死んでしまった夫と、近い将来死んでしまうかもしれない夫。
 女たち二人の会話を通して、原発作業員の労働実態、二つの家族が抱えてしまった不安や亀裂が次第に浮き彫りになってくる……。

「この人たち、全員亡くなったんですか?
亡くなったわね。うちのダンナなんて早かったわよ。」

女は明日、夫の四十九日を迎える。夫は見るも無惨な、非業の死を遂げたのだ。
その女を、もう一人の女が訪ねてくる。こちらの夫はまだ生きているが、近いうちに死ぬとその女は確信している。夫たちはなぜ死に至り、なぜ死に直面しているのか。
女たちの話から断片的に事実が浮かび上がる。過去に恐ろしいことは確かにあった。
トンデモナイことが幾つもあった。
だが、本当の恐怖は今から始まる。ゆっくりと始まる……。
福島第1原発事故によってもたらされた恐怖がひたひたと忍び寄る日常を女たちの視点を通して描く、ブラックにしてユーモラスな家族劇。

ワンツーワークス#34『恐怖が始まる』公式サイトより

見どころ「日常を維持するために直視出来ない"恐怖"」

タイトルの一部ともなっている”恐怖”との向き合い方が、何より印象に残る作品です。

作品の中心にいる妻たち、そしてその夫たちは、どこか恐怖に鈍感なまま生活を続けています。
彼らの息子や娘たちなど、少し離れた人たちは、放射線被ばくに対してやや過剰なのでは?と中心にいる人たちからは見えるように構成されています。
ただ、2021年の今、彼らの「その後」を知っている我々観客には、中心にいる人たちの「恐怖に鈍感な生活」を観ていると、なんで必死に辞めさせたり、治療に専念させようとしないのだろう…と疑問すら覚えてしまうほどでした。

ただ、作品が徐々に進むに連れて、様々な事情から"恐怖"を直視しないようにしていることが分かってきます。
見栄のため、家に帰れなくなった地域に住むほかの人たちのため、会社でやっている仕事や働いている他の仲間のため…。そうして”恐怖”以外に目を向けることで仕事を辞めず、生活を続けていかなければならない。

観ているうちに、観客としてどうすることも出来ず見守る事しか出来ない辛さと共に、自分が同じ状況に置かれた時、どんな行動を取るのだろうかとも考えてしまいました。

また、観ている最中に”恐怖が始まる”とともに別のものも始まっていったように感じました。
それは、是非配信を観て見つけていただければと思います!

チケット購入・配信の期限まで、残り2日しかありませんが、震災から10年の2021年の観劇納めとして、是非ご覧ください!

ワンツーワークス#34『恐怖が始まる』アーカイブ配信の詳細はこちら↓


16,300名の舞台・美術ファンにお届け中!「おちらしさん」への会員登録もお待ちしています! おちらしさんとは⇒https://note.com/nevula_prise/n/n4ed071575525