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【劇場めし 番外編】インドネシアの魚の唐揚げ

「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」するこのコーナー。今回は番外編としてインドネシアを選びました。この記事を書いたのは2021年5月下旬。報道によると、緊急事態宣言の再延長が検討中だとか。そう、気持ちが晴れないこういう時こそ、少し気分転換したいですよね!? 名付けて【劇場めし・番外編】です!

数年前、ある仕事でインドネシアのジョグジャカルタという都市に数週間滞在しました。現地の劇場やアトリエを訪問取材するなど、芸能に触れる仕事でした。当時、インドネシア版「劇場めし」を何度も体験したので、その中から特に思い出深い一品について書いてみようと思います。

インドネシア料理。僕が元々知っていたのは「ナシゴレン」くらいでしょうか。ナシはご飯、ゴレンは揚げる・炒めるという意味なので「炒めご飯」です。そのナシゴレンも現地で食べたと思いますが、とにかく、初めて食べる料理の、まあ美味いこと! 食文化と個人の味覚にはどうしても相性があるので、僕も少し覚悟して現地を訪れたのですが、食べた料理の全てが美味かったと言えるほど、何でも美味しかった。マナーや風習の面でも新鮮な体験ばかりでした。※冒頭の写真はソトアヤム(=鶏スープ)。

その日は野外劇場で夜公演の観劇を予定しており、事前に夕食を済ませようと、仕事仲間たちと食事処へ入りました。レストランと言うより定食屋という雰囲気で、家庭的なお店だったと思います。メニューから何品か頼み、どれも美味しく食べたのですが、その内の一皿がとてつもなく美味しかったのです! インドネシア滞在中に食べた全料理の中で最も美味しかったと言っても過言ではありません。

それはグラメという淡水魚を唐揚げにして、その上に餡をかけた一品でした。これがまあ……、と、に、か、く、美味い!! 揚げたてなのでアツアツ、そしてサクサク。外側はカラリ、内側の白身はフワリと、その食感のハーモニー。白身自体は淡泊で、かかった餡との相性もバッチリ。餡は甘辛ソース系だったと思います。白身が淡泊なので餡は濃いめなのかも。唐揚げの香ばしさ・コクも加わり、日本で食べたことのない絶品美味でした。白身が一口サイズにカットしてあり、食べる人への配慮も嬉しい。魚の唐揚げでここまで感動したのは人生初かもしれません。それほど衝撃的な一皿でした。

さて……、ここまで引っ張りました。それでは、肝心の料理写真をお見せします。こちら、です!!!!

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皆さん、どうでしょう? どんな感想がありますか? 僕は、色々と言葉を考えているのですが、何というか、あまり美味しくなさそうな見た目というか……。否! 語弊を避けたいので考えます。言葉、ことば……。うーん、やはりここは「見た目は美味しそうじゃない」と言わせて下さい。これは勿論、各々が慣れ親しんだ食文化に由来する感想なので、その差異として受け止めて頂きたい。僕の中では「見た目に反する絶品料理」の暫定チャンピオンに君臨しています。いわゆるギャップ萌え、でしょうか。

インドネシアで食べた「めし」はどれも美味しく、本当に思い出深いものばかりです。聞いた話ですが、インドネシア人はサクサクした食感が好きらしく、故に揚げ物を好みます。魚の唐揚げも、このグラメに限らず何種類か食べました。どれも美味しく、骨ごとバリバリいけるものもあり、魚の唐揚げの美味しさ・楽しさはインドネシア食文化から教わったことのひとつです。ちなみに、この夕食のあと観劇した野外劇は、激しい降雨のため一幕で中止となりました。グラメと、雨と、観劇と。


文:園田喬し(演劇ライター・編集者・『BITE』編集長)

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