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1/100の確率(教育編①)

今回は、バングラデシュの教育について話したいと思う。
少し長くなるので、3部構成で書いていきたい。

突然だが、日本の大学への進学率をご存じだろうか?
2020年度の日本の大学進学率が54.4%に達し、2人に1人は大学へ行っている


大学入学は、全体の1%

バングラデシュの教育状況を100人の子供に例えてみる。

小学校
100人中、93人が入学する。
93人中、44人が卒業する。

中学校
44人中、29人が入学する。
29人中、7人が卒業する。

高等学校

7人中、3.5人が入学する。
3.5人中、1.7人が卒業する。

大学

1.7人中、1人が入学する

つまり、
全体の7%は小学校に行っていない。
入学者の約半数が小学校を卒業していない。

大学に入れるのは、全体の1%のみ。

初等教育への不参加はほとんどの場合、児童の家計状況や授業、学習環境の貧しさに関連している。


バングラデシュの教育制度

学校の種類
バングラデシュには、学校の種類を大きく分けると政府校、非政府校、マドラサ校がある。

政府校は公立学校、非政府校は私立学校やNGO・NPO学校、マドラサ校はイスラム教徒の学校に分かれている。政府校よりも非政府校の方が多いという状況があるが、国の現状を見れば納得がいく。

その為、学校によって教育環境が大きく変わり、教育水準もバラツキが大きい。日本では全国どこの学校に行っても安定した教育を受けられることは有り難い。

バングラデシュの教育制度
初等教育は5年間で、日本と同じく6歳から入学する。
初等教育のみ義務教育で無料である。

5学年の修了時に全国で初等教育修了認定試験が実施され、合格したものだけが小学校を卒業できる。バングラデシュでは学力が基準に満たない場合、留年して再度教育を受ける。初等教育では、卒業必要年数5年に対し平均8.2年間かかっている。

中等教育は3段階で構成されている。
中学校は、 6学年から8学年となっていて、ここでもまた修了認定試験を受けて、合格者だけが卒業できる。

高等教育は、 9学年から12学年になっていて、10学年の修了時に修了認定試験を受けて合格したものが、進学できる。

日本とは違い、多くの学生がふるいに落とされ進学を諦めていく。


スパイラルの中から抜け出せない。

貧しい家庭の子は、家庭の金銭面や家事手伝い、早期結婚などで小学校すら通えなかったり、仕事で休みがちになって途中リタイアする子供が多い。

親は死活問題がかかっている為、未来の希望よりも今日の暮らしを優先して、労働力として子供を使ってしまう。労働力として働いてきた子供は、大人になると、自分の子供にも同じことをしてしまい、まさに貧困スパイラルが続き、抜け出せられない。

一方お金持ちの家の子は、私立に行き、家庭教師をつけてもらい、大学や留学まで行ける。就職も親のコネで入ることもできる。良い職に就いたら、また自分の子にも良い教育を受けさせる。まさに金持ちスパイラルだ。

貧しい人は貧しさを抜け出すチャンスがなかなかない。日本でも同じ状況があるが、この国では、奨学金や生活保護などの制度が充分整備されていないので教育の格差が大きい。


この状況を変えてくれるのは本来政府のはずだが、他にも問題が山積みの為になかなか変わっていかない。その為、非政府校の数が政府校よりも多い。
しかし、非政府校は大きな団体は資金調達もできるのだが、農村部にあるような小さい団体は資金調達も困難である。

私は非政府校で活動していたのだが、教員の質や学校設備、スタッフのモチベーションなど問題点の多くは資金不足に起因するものが多かった。

また、日本ではNGOやNPOで働く人の多くは、やりがいで選んでいる人が多いと思うが、この国では就職先の一つとしてお金の為に選んでいる人が大半であるという印象だった。


活動内容については、次の記事で書いていきたいと思う。




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