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映画学生のカメラ選び
こんにちは、アメリカの某大学で映画制作を専攻し、卒業間近の者です。
最近、「カメラを買おうと思っているんだけど何を買うか迷っている」という映画学生が何人か居たので、私が思う、映画学生にぴったりのカメラや、カメラ選びの基準などを超大雑把にリスト化していこうと思います。
自分も最近カメラを購入したのですが、どのブランドであれ、高い買い物であることに変わりはありません。また、どんなに優れているカメラを持っていても、ストーリー、構図、光、色などの理解が必要であり、優れたカメラを買うだけですぐに良い映像が撮れるわけでもありません。
そのことを踏まえた上で、自分の背丈やニーズに合うものを選ぶために、自分は以下の項目を考慮しました。
ISOのノイズなど、カラーコレクション後の映像の質感が好みか
写真優先、動画優先、もしくは両方の機能が優れたハイブリッドカメラか(=ドキュメンタリー、フィクション、Vlog、写真など、どの分野を優先するのか)
使いやすさ、使う楽しさ
バッテリーの消耗率
値段
手が小さい自分にとって持ちやすい形・重さか
手ブレ補正機能の有無
内蔵NDフィルターの有無
センサーのサイズ
これらの基準をもとに、プロレベルを目指す映画学生にとって丁度良いと思うカメラを紹介していきます。ちなみに、これは完全に私の主観と友達の間での評判に基づいたものなので、あくまでご参考までに!
候補その1:Blackmagic Pocket Cinema シリーズ
まず私が最初に検討したのは、私たち学生のお気に入り、Blackmagicです。使いこなせるようになると、こんな綺麗な映像が撮れます↓
他のカメラはネットで調べてどんなスペックがあるかを学んだのですが、Blackmagicに関しては学校で使う機会が多かったので、実際に使ってみて判断した結果が以下になります。
長所:
直感的に使いやすく、フォルス・カラーやフレーム・ガイドなど、撮影に便利な機能を手軽に利用できるため、シネマカメラ入門編としてカメラの仕組みを理解するのにぴったり。内蔵のNDフィルターがあるため、外付けNDフィルターを購入する必要がなく、ボタンひとつでNDフィルターを付け替えられるため、野外の撮影に便利。他のブランドに比べても値段が安く、私の大学の卒業制作で最も頻繁に使われているカメラです。
短所:
カメラボディ内に手ぶれ補正機能がないため、ジンバルやショルダーリグがない限り手持ち撮影にはあまり向いていません。また、Sonyの最新カメラなどと比べるとボディが重いため、手軽さを重視する人には向いていないかもしれません。また、バッテリーの消耗が早いため、設定や撮影時間によってはVマウントバッテリーなどが必要になることがあります。
結論:
他に比べて安くて使いやすい上に、使いこなせば立派にプロレベルの映像が撮れるカメラなので、カメラオペレーターとしての経験が浅い人が初めて購入するのにはぴったりだと思います。手ぶれ補正のためにジンバル、ショルダーリグ、編集での修正が必要になったり、バッテリーを長持ちさせるためにVマウントが必要になったりもしますが、それらの使い方を学ぶのも勉強になると思います。これらの短所を経験してこそ、次に買うカメラに何を求めるかがわかってくるんじゃないでしょうか。
候補その2: Sony a7Sシリーズ or FX30
映画学生の友達の中でも、特に持ち主が多いと思うカメラがSonyのa7S iiiや FX30です。a7S iiiが発売された当初は大きな話題になったと思うのですが、しばらく時間が経って中古などの値段が下がっているので、予算を優先する学生に良いと思いますし、アップデートされた最新のバージョンを検討するのもありだと思います。
長所:
映画学生の多くが持っているカメラで、小さく軽いボディなのにも関わらず、色や光のデータ量が多い映像を撮影できるのが強み。また個人的に言うと、多くの知り合いがSonyを持っているからこそ、自分がSonyのカメラボディを持っていれば状況に合わせて同じマウントタイプのレンズを借りることができるのも利点だと思っています。Sonyはダイナミックレンジが大きく、暗い場所でもノイズを抑えてクリアに撮影することを得意としています。
短所:
これは完全に個人的な好みなのですが、カラーグレーディング後の色はめちゃくちゃ好みなのに対し、ISOのノイズはデジタル感を持っており、フィルムカメラらしい質感を演出することに関しては他のブランドのカメラの方が優れているのではないかと思います。編集でノイズ感を調整することも可能なのですが、「Fix it in post (編集で直せ)」というのはあまり好まれるフレーズではないので😅
結論:
Sonyのa7SシリーズやFX30は、とても人気で友達がみんな持っているからこそ、もし自分が使いたくなれば借りることができる、という点から購入には至りませんでした。しかし、Blackmagicのようなあからさまな短所を聞くことは少ない上に、光のダイナミックレンジが大変優れていることで好評なので、暗い場所でもクリアな映像を撮影したい人や、色編集の余地をたっぷりと持ちたい人にSonyはぴったりだと思います。
候補その3:Fujifilm X-H2s
悩みに悩みまくった結果、自分にはFujifilm X-H2sがベストだという結論に至りました。映画学生の友達の間でも、今の所このカメラを持っている人は私の知る限り居ないと思います。
長所:
ISOのノイズのデジタル感が低く、本物のフィルムらしさや色を演出してくれるのが魅力です。動画を撮るのにも写真を撮るのにも優れており、ハイブリッドカメラとして広い分野で使うことができます。またFujifilmはフィルムシミュレーション機能が優れているので、編集せずとも色が美しい映像を楽しむオプションがあり、趣味として楽しく使うことができるというのも個人的にはプラスでした。
短所:
内蔵NDフィルターが無いため、私はレンズに取り付けるタイプのものを買うことにしました。センサーがフルサイズではないことがたまに言及されますが、個人的にはフルじゃないといけないというこだわりはないので、問題ではありませんでした。手ぶれ補正機能が付いてはいるものの、あまり滑らかではないので、三脚を使った撮影の方が個人的には好きです。
結論:
購入のいちばん大きな要因は、ノイズの美しさと、写真・動画の両方に優れているということでした。もともとフィルムカメラの質感が好きな人や、撮影を楽しむことに集中したい人にぴったりなカメラだと思います。
番外編: Canon EOS
最近、プロのファッションフォトグラファーの方とご一緒した時にCanon EOS R6やR6 Mark IIで動画を撮らせてもらったのですが、映像がとてもクリアで滑らかで、かなり好みの仕上がりでした。参考映像がこちら:
Fujifilmほどのフィルム感はありませんが、プロのカメラマンも写真用に使いながらたまにYouTubeの動画にも使っているようだったので、写真と動画の両方で美しい映像を撮りたい人にオススメします。
最後に:
いかがだったでしょうか?それぞれのカメラにいろんなスペックが備わっていますが、結果的にはどのカメラを使っても、光や構図、ストーリー次第で映像はどこまでもパワフルに仕上がるはずです。自分のビジョンや撮影スタイルに合ったカメラが見つかることを祈っています!
ここまで読んでくださりありがとうございました。それではまた!