宮崎まで行って『クイズ☆正解は一年後』が半分見れなかった(12/27~31)
私は別に旅行が好きではない。そんな私を旅行に連れ出す理由が宮崎にあった。
はじめに:12月27~31日 旅のあゆみ
旅行に行く目的とは何だろうか。観光地を見に行く、日常とは違う空間に身を置く…など、100人に聞けばその人なりの答えが100通り返ってくる。私が先日行ってきた旅行にも私なりの目的があった。
あけましておめでとうございます。ということは、ついこの間まで年末でしたね。年末といえば一年で最もテレビが面白い時期の一つ。その中でも私が一番楽しみにしている番組が、『クイズ☆正解は一年後』。
放送情報が公開されて喜び勇んで番組表を開いたが、いくら探しても「正解は一年後」の文字は現れない。そう、長崎県(私が住んでいる県)では「正解は一年後」の放送が無いのだ。
悔しい。生放送だから配信で見ても意味が無い。何としても見たい…。そこで、宮崎まで「正解は一年後」を見に行くことにした。
これが、私が旅行に行く目的だ。
インドア派の私にとって旅行というイベントはあまり進んで行きたいようなものではなかった。朝早くに起きて、移動し、移動し、滞留し、移動する。本当は家でずっと寝ていたいのにだ。
ただ私も大人になり、このまま価値観が変わらず内面から腐っていくことにようやく危機感を抱くようになってきた。自分の価値観を変えるにはまず苦手意識のあるものに敢えて挑戦することから。アンパンマンポテトの美味しさに気づけたのも、あのとき恥ずかしさを押し殺して口に運んだからだ。
きっかけこそイカレているが、旅行に対する苦手意識を改める良い機会になるかもしれない。そこで、今の自分の価値観に挑むことも裏テーマとして出かけることにした。
今回の旅行の最大目標は「12月30日の夜に宮崎のホテルで「正解は一年後」の生放送を見ること」だが、他にも少し予定が重なっていたため合計4泊5日の大旅行になった。
行程を地図に落とすとこうなる。
ソマリアがかなり北に行ったアフリカ??
シエラレオネのあたりから出発し、モザンビークで「正解は一年後」を見る。大陸を北回りに大きく一周してシエラレオネに戻る予定だ。途中でマジョルカ島の雀荘やモザンビーク海峡の神社にも寄り道をする。さあ、出発だ。
12月27日 佐賀県「妥協の一人高級焼肉」
初日の目的地は佐賀県。以前オモコロブロスで紹介されて以来気になっていた「牛笑」という焼き肉店に行ってきた。なんでも佐賀牛が安価で大量に食べられるらしい。そしてなによりダ・ヴィンチ・恐山さんが以前行っている。
私(ガラガラ)「すいません、一人なんですけど空いてますか」
店員さん「ご予約のお客様ですか?」
私「いや、予約はしてないです。」
店員さん「確認いたしますので少々お待ちください。」
…嫌な予感がする。
店員さん「お待たせしました。すみません、本日は予約で埋まっておりまして…」
Game!!
すみません、海外版スマブラの決着音を出してしまいました。後で調べたら牛笑はGoogleレビューで☆4つを叩き出す名店だった。飛び込みじゃ入れないわけだ。
佐賀牛だけは諦められず他の焼肉屋に片っ端から電話していく。「一人でテーブル席(=個室以外)でも大丈夫」と伝えると電話口でも分かるくらい引かれたが、どうにか一店舗空いてる店を見つけた。いましがた電話口で引かれた店だ。
この日は結局、当初の予定になかった焼肉屋で普通に高い金を払って佐賀牛を食った。旅は予定通りにはいかないものだ。
佐賀牛カルビを口に運びながら、これからの4日間のことを考えていた。移動は全て車だが運転中は何か音を流したい。いろいろ考えた(あえて「莫迦」と書いた方が面白くなるシチュエーションは何か?など)結果、「Spotify」をダウンロードしてヒット曲をランダム再生することに決定した。普段牧野由依の曲しか聞かない自分の価値観への挑戦だ。さすがに4日間牧野由依では牧野由依疲れするであろう。
突然「志村けんの莫迦殿様」になったら面白いな
12月28日 福岡県「シンプル麻雀」
2日目、会社の先輩と朝から翌朝まで麻雀を打ち、そこそこ負けた。夜が深まった時間に九蓮宝燈の一向聴まで近付き胸に謎の痛みを感じたときは「九蓮和了ったら死ぬって本当なんだ」と思った。今考えればMonster服用の副作用だ。
朝解散した後もやや体力が残っており、少し移動してサービスエリアで仮眠をとる。Spotifyでも結局 牧野由依を流した。『ARIA』のサウンドトラックをBGMに朝焼け空を望みながら走る高速は神秘的だった。
12月29日 大分県「2つの二度目」
大分で行きたい所は一か所に絞っておいた。名前しか聞いたことがなかった「宇佐八幡宮」だ。デカい神社は好きだし、仮眠明けにゆっくり回って残りの時間はホテルで寝よう。
目的地に近づくと、いかにもデカい神社らしい駐車場が現れる。
そうそう、こういう神社にはでっかい三角の塔が立ってて「宇佐八幡宮」って書いてあって、大きい道沿いだから右折だと入りにくくて、一般車の駐車料金は時間問わず400円で…
………ん?
…記憶にある。
そうだ、来たことあるぞ。宇佐八幡宮。学生時代に学会発表のついでに寄ったんだ。一日をかけてじっくり見る予定だった目的地が、実績解除済みだった。
失意の中歩いていると、「MANGA都市TOKYO」のポスターが目に飛び込んできた。大分県立美術館で開催中らしい。しかし私は国立新美術館での開催中にわざわざ東京まで飛んで見に行ったんだ。同じ展覧会を二度も見に行かなくても…
行きました。とにかく宇佐八幡宮から出たかった。あの時は学会発表も上手くいかなかったし、教授とも研究室メンバーともあまり仲が良くはなかった。もはや宇佐八幡宮はなんとなく嫌な思い出の地になっている。
そして二回目のMANGA都市TOKYOへ。巨大東京ジオラマがウリのはずなのに、ジオラマの代わりに航空写真だけ置いてあってウケました。ジオラマ、運ぶのも置くのも大変なんだろうな。
大分といえば別府温泉の存在を忘れてはいけない。軽く調べたところ「竹瓦温泉」という日帰り温泉が定番らしい。写真を見る限りだとなかなかに歴史を感じさせる佇まいだ。
大分でもう少しマシな思い出を作っときますか、と竹瓦温泉に向かった私の思いは明後日の方向に飛んで行った。
竹瓦温泉には、無い。脱衣所と風呂場の仕切りが無い。洗い場が無い。シャワーもカランも無い。窓が常に開けっぱなしになっており、普通に歩いていても通行人が脱衣所を覗ける。つまりは屋外から股間を隠すシステムが無い。窓が開いているので湿度も無い。とにかく寒い。あるのは"湯"のみ、というなかなかのハードボイルド温泉だった。
ここでは、とにかく急いで湯に入るしか暖をとる方法が無いのだ。慣れないシステムに戸惑いながらかけ湯で体を洗い頭を洗い、駆け足で湯の中に飛び込んだ。なんなんだここは…。一見さんに厳しすぎる。後から入ってきた人も狭い風呂場の中を湯にも浸からずうろうろと歩き回っていた。いくら探してもここには洗い場もシャワーも無いんだ。諦めてくれ。
この日はちゃんとヒットチャートを聞いた。YOASOBI、良いな。間奏がめちゃくちゃカッコつけてて良い。近いテイストのメロディーを多用するから安心して聞くこともできる。ただ、ヨルシカとずっと真夜中でいいのに。との聞き分けはまだ少し自信が無いな。
すっかり温まって帰る道中、竹瓦温泉の周りには風俗店が大量に立ち並んでいた。風俗店は大量にあるのかよ。
12月30日 宮崎県①「トリップ」
いよいよ12月30日。今夜『クイズ☆正解は一年後』を見るのが最大の目標だ。
朝、大分を出発。宿泊した地域だけで使える商品券を使い、夜に向けてコンビニで酒やつまみを買い込んだら「あと10円分余ってますから!」とレジ袋を3枚余計にくれた。環境保護が地域振興に負けた。
宮崎ではとりあえず青島神社を観光することにした。青島神社といえばその歴史。日本神話で山幸彦が伴侶と出会い家庭を持って平和に過ごした島だという。それと、何といっても熱帯植物。境内をヤシの木に囲まれている様子は南国神社(※)の様相を呈する。そして忘れてはいけないのが奇岩「鬼の洗濯板」。砂岩と泥岩が交互に堆積した地層が隆起して地上に現れた砂岩が波に侵食されて
要素が多い!!!!!
※南国神社
大分から宮崎までは鬼遠いため、その間牧野由依に立ち戻って『ふわふわ♪』のカップリング『the never ending rainbows』を熟聴(「熟読」の聴く活用)。聞きすぎてホテルでトリップ状態に落ちる。
アーーーーーーーーーーーーーーーーー(トリップ中)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
グビグビグビグビ(アサヒスーパードライ500ml・檸檬堂塩レモン350ml)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!
ギャハハハハハ!!!今年も面白いなぁ淳!!グビビビビ
ギャハハ・・・ハ・・・?あ・・・れ・・・淳?
あつ・・・し・・・
田村・・・
メローな音楽に鼓膜を揺すられ、目が覚めた。あれ、俺は何をしていたっけ。「正解は一年後」を見て、酒をあおり、そこから先は…?
テレビに目をやると鮮烈な色使いのカラーバーが映し出されている。これがnever ending rainbowなのか。テレビからは古臭いフリー音源のような曲が流れ、部屋のデジタル時計は無機質なセグメントが3:41の数字を表現していた。
寝落ちした………?
わざわざ宮崎までテレビを見るために来て、目当てのテレビを見ながら??いやいや、そんなはずはない。きっと最後まで見て満足して眠りに落ちたはず。ちゃんと思い出せばわかるはずだ。淳の娘が10mを移動するタイム、2020年に起こる出来事の予想、RGの2020年あるある、そして優勝したチーム…
何も思い出せない………………
長崎から車で460km、移動時間約7時間。東京から神戸まで行ける時間をかけ、たった一つのテレビ番組を見るためにはるばる移動してきた。目当ての焼肉屋が埋まっていたり、神社でちょっと嫌なことを思い出したり、ナビに乗っていない分岐路に誤進入して高速で40分を無駄にしたり、様々な困難を乗り越えて見る、待ちに待った「正解は一年後」。去年は大人の事情で特殊な放送形態だったから、実質2年ぶりの楽しみだ。
楽しみ、だったのだが。
夢のような時間になるはずだった1時間40分は、夢も見られないノンレム睡眠の時間に変貌した。そう、あまりの楽しみに酒が進みすぎた私は、CM中ベッドに寝転がり、そのまま2時間眠った。「正解は一年後」は気が付いたら終わっていたのだ。
私は再びベッドに入り、本当に12月30日としての行動を終える。
今夜は雪が降るという予報らしい。下手に雪が積もってしまうと、チェーンも雪用タイヤもない自分の車では身動きができない。本当は明日の天気を祈りながら眠るところだろうが、今はそれどころではなかった。既に目の前に起きたこの悪夢を、どうか上塗りできますようにと祈り、眠った。
12月31日 宮崎県②、熊本県「ちゃんとモアイ」
日南市の「サンメッセ日南」というテーマパークにはイースター島の正式な許可を得て再現されたモアイ像が立っている。
モアイか…。うーん、別に…
まぁ、でも
行きました~~~~~~!!しっかりとモアイだ。思ってたよりちゃんとモアイなので特に言うことが無いな。せっかくだしと宮崎限定販売のドライマンゴーを買ったら、原産国がタイだった。
日南を最後に観光地めぐりは終わり。熊本港からフェリーで島原にわたり、諫早干拓道路を通り、自宅へ帰ってきた。フェリーでは船内映像で車での乗船方法の説明をしていた。今更?
こうして、長い九州一周旅行は幕を閉じた。
「自分の価値観に挑むこと」を体現した旅行
家に着いたのは大晦日、夜の19時。旅の疲れを癒してからテレビを点けると、紅白では室伏選手に踊って頂きますと言っていた。どうやらかなり大事なシーンを見逃しているらしい。出場歌手リストを見返すと、NiziU、ヒゲダン、YOASOBIなんかを見逃していることに気づいて少し悔しくなった。
旅行に行く前ならこの3組なんて何も気にしなかっただろう。ただ流行ってる人が出てるな、と。それを今見られなかったことを後悔している。小さくて大きな変化が自分の中に起きた。
私の価値観は変わった。
TWICEはカッコいい、YOASOBIはメロディがイカしてる、米津に「感電だ?貴様この野郎・・・」とも言えるし、あいみょんは深夜テンションで歌いたくなる。
もっと、流行っているというだけの理由で音楽を聞こう。その中から好きな曲を見つけて深堀りすれば良いだけの話。いつまでも牧野由依ばかり聞いてるなよと昔の自分に説教垂らしてやりたい。
肝心の旅行については、そんなに好きになれないままだった。やはり移動の労力が大きすぎる。その反動のようにこの2日間ずっと家にこもってたし。
これからも新しいものを、好きかどうか分からんものを摂取していこう。人として腐ってしまわないように…。
それでは、また
牧野由依『the never ending rainbows』を聞きながら…
アーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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