紀伊勝浦①
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16時過ぎ、紀伊勝浦駅へ到着。エアビーのホストに連絡すると、お店まで来るように言われた。お店の看板はすぐ見つかったが、お店は真っ暗な路地を曲がった奥にあり、すぐには見つからなかった。再度電話をして案内されてやっと、たどり着けた。おでんNo.9、地元の居酒屋という感じがしてとてもいい雰囲気だ。電話をとってくれたのは小柄で感じのいいおばちゃんで、この店を切り盛りしている。家まで案内してくれたのは、その旦那さんで一緒にお店をしているおじさんだ。禿げてメガネをかけており、とても陽気で話しやすい。家まで案内してもらう途中、たくさんおすすめのお店の話を聞かせてもらい、流れで今日の夜ご飯はおでんNo.9で食べることになった。なかなかに営業がうまい。お店にはコロナ陰謀論的な書籍が並んでいたり、放射能で東京は住めないからここに移住してきたという経緯があったり少し怪しいが、概ね人当たりが良い方だった。
最初、客は自分ひとりだった。アボカドだったりエリンギだったり、変わり種のおでんを食べながら過ごしていると徐々にひとりふたりとお客さんは増えていき、気づけば店はにぎわっている。
知らない人とその場限りの時間を過ごす。そんな時間が好きなのか嫌いなのか分からない。行く前は興味があり、最中は気をつかったり何を話そうかドギマギしながらも、なんとなく楽しく過ごしている。終わってからも、もっと過ごしたかったのか、離れられてほっとしているのか、分からない。
おでん屋のおじさんはとても親切で、お店まで送り迎えもしてくれて、観光名所もたくさん教えてくれた。居酒屋では伊勢から来た家族連れのおっちゃんがお酒を奢ってくれた。このような人たちとの心を完全に開けていないながらのコミュニケーションにもどかしさや居辛さを感じながらも、旅先でしか味わえない醍醐味があるような気がする。数年先あるいは数十年先になって、とてもいい思い出として残るんだろう。