ビエンチャン
目を覚ますと、iPhoneの液晶画面は6:03を示していた。強烈な喉の渇きを感じる。ラオスに来てから目覚めは毎日こうだ。日本で気温以上の暑さを感じさせているといわれる湿潤な気候に、喉が守られているとは気づいていなかった。
気だるい身体を無理やり起こし、ペットボトルの水を口に含む。そうしてから当たり前のようにもう一度寝ようと、急いでベッドへ戻る。
二度寝する体勢に入りかけたとき、ふと、そういえば日の出は何時だろうかと思った。部屋のベランダから綺麗に見えそうだ、と思いながら日の出の時間をGoogle検索する。
6:17、ぴったりだ。
ルームメイトを起こしてしまうのではないかという一瞬の躊躇は文字通り瞬く間に吹き飛び、気づけばスリッパに足を通しベランダへ向かっていた。部屋に光が入らないよう慎重にカーテンの中に潜り込み、ドアを開ける。
外は想定よりも明るかったが、世界は日の出前特有のピンク色に包まれ、東の空は赤く染まっていた。iPhoneを構え1枚写真を撮ると、何度も欠伸をしながら鉄製の椅子に腰掛ける。地面には昨夜のポテトチップスの破片が散らばっていた。