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【質問シリーズ】結び癖はなんでできるんですか?産後に癖が強くなる理由は?
【結び癖の正体】
ランチオニンです。
KSK
通常は
KSSK
ですよね。
K K
KSSK
K K
K K
KSSK
K K
Kが主鎖。
SがSS結合
PPTの作り方に通じる部分ですが、
羊毛などを強いアルカリ、または強い酸に浸します。
すると、上のKやらSやらがワラワラと外れていって、
KS K S K
K K K S
バラバラのアミノ酸になります。
Kとは、実際には17種類のアミノ酸(トリプトファン、グリシン、アスパラギン酸、アルギニン酸など)
Sはシステインですね。
完全にバラバラになったらアミノ酸ですが、
その途中でとめて、ある程度繋がりを持った状態のものが、PPTです。
同じ材料(羊毛など)を、同じ条件(アルカリの強さなど)で加工すると、
同じような外れ方のPPTが多く生産できるので、
そのうち似通ったものを集めたものが、いわゆる原料として商品名をつけられ、販売されます。
K-30とか、プロテキュートγとか。
ミルボンやシュワルツコフなどというメーカーは、このK-30などといた原料PPTを買い集め、いくつかの種類を混ぜたり香や色をつけたりして、トリートメント剤に配合したり、カラー用処理剤として販売します。
PPT類に、原料として「カラメル色素」などとあったら要注意です。
一般的に、黒、茶色と褐色が濃いほど、成分も濃そうに見えますよね?
そういう事です。
アルカリ=汗の作用
さて、前置きが長くなりました。
結び癖、あと、耳の掛けグセ。
これは、汗のアルカリが作用します。
汗は、通常は肌を弱酸性に保つためにも、pH5前後に設定されています。
乳酸が含まれているためです。
夏場や汗を多くかいたときは、乳酸が足りず、
含まれた重炭酸イオンの働きで、アルカリを示します。
アルカリ水は、揮発によってその濃度が増していくため、pHはどんどん上がります。
すると、汗で濡れた髪は、分解されていきます。
髪自体は酸性であり、酸化された死滅細胞ですので、
多少のアルカリが来てもびくともしません。
汗はpHが高いとは言え、アルカリ度(そのpHを保つためのパワー)は殆どありませんので、ちょっとした酸があれば、すぐ中和されます。
ですが、毎日毎日、24時間、それらアルカリにさらされた髪は、やがて壊れます。
上記KやSの図で言えば、
K K
K SK
K
K
KS
K K
の様になります。
そして、耳や結びゴムがパーマのロッドの役割となり、
曲がった状態が保たれ、
アルカリが中和されたときに、髪は自然酸化します。
でも、Sがひとつしかないところがありますよね?
パーマなどであれば、相手のいないS、つまりSS架橋が成立しない髪は、側鎖が不足し、弾力がなくなってしまいます。
ですが、縮毛矯正やデジパの様に高熱を使った場合は、
Sが、本来くっつくはずのS以外の、Kと直接、結合してしまいます。
KSK
という状態ですね。
結びグセの場合は、体温程度の熱ではランチオニンは発生しませんが、
"長期間"というのがポイントです。
髪を結んでる時間は数分、数時間だったとしても、それが1日数回。
髪は月に1cmの伸びですから、ゴム幅5mmだとしても、半月は同じ部分が曲げられています。
1日4時間だとして、4×15=60時間。
デジパなんて30分程度ですよね。
その120倍の期間、曲げたままで、汗をかくたびにアルカリに晒されます。
高熱がなくとも、KSK、ランチオニンが発生します。
そうして、ランチオニンパーマが完成します。
ランチオニンパーマは取ることができるの?
ちなみに、パーマ液はSS結合を開裂させるためのものです。
KSSKをKS SKにします。
ロッドに巻くなどして曲げて、酸化再結合させKSSKに戻すことでパーマをかけます。
ランチオニンKSKはSSが無いので、パーマ液は全く効きません。
耳の掛けグセ、結びグセは、矯正ではまっすぐにできません。
ただし、矯正において、SS結合の開裂率は20%程度だと言われています。
髪全体のSSの数の内、20%程度だけを還元酸化させて形を変えています。
他の80%のSSは、癖毛に戻ろうとしてるんですね。
結びグセを形成してるランチオニン結合よりも多くのSSを還元酸化させる矯正をすることで、もしかしたら、結びグセも伸ばせるかも知れません。
【産後の癖】
こちらはもっとシンプルです。
その方は、もともと、癖毛なのです。
健常時は髪にも養分(タンパク質など)が行き渡り、髪には弾力があります。
少しの癖なら、弾力に押し通されて、癖を感じない程度になります。
産後で体力が大幅に削られた時。
授乳などで養分を外に多く出した時は、髪への養分は減ります。
すると、弾力が低下し、もともと持っている癖の形が露呈します。
これが、産後の癖です。
この方は、放っておくと、老後に癖が出てきます。
内臓機能の低下や、そもそも栄養摂取量の低下などで、
養分の摂取量が減るため、髪への養分も不足するからです。
そうなる前に、様々なアドバイスをしてあげる余地があると思います。
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