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【歌詞検討#7】礼讃 "GOLDEN BUDDY feat. くるま"

今回は、礼賛の『GOLDEN BUDDY feat.くるま』の歌詞について、私が感じたことを記事にします。
楽曲名:GOLDEN BUDDY
作詞:サーヤ・くるま
作曲:サーヤ・礼賛
リリース:2024年10月29日

Amazonプライムビデオで配信され大きな話題となった、"ゴールデンコンビ"。その主題歌として書き下ろされたのが、本曲となっています。番組自体にも出演していたというのに加え、もともと大学時代から交流のあった、礼賛のサーヤと令和ロマンのくるま。その二人が作詞に携わっているというのがなんとも熱く、番組コンセプト以上に二人の関係性についての歌詞も導入されているそうです。シンプルに音楽としてもかっこよいので、ぜひ聞いてほしいのですが、今回も例に倣って歌詞を覗いていきましょう。

一見水に油?にアブラカタブラ
一瞬で開花 椅子奪うわ with あの日のライバル

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

出だしからかっこよ。ここから私は虜になりましたね。うまくいかないように見える二人。それが混ざるとき、魔法のような化学反応が生まれることを示唆する歌詞になっています。ここの「あの日のライバル」がサーヤ目線でのくるまになっている、と考えるとだいぶムネアツな歌詞ですが、たとえそうでなくても”ゴールデンコンビ”という番組の趣旨にはすごい沿っていると思いました。くるまとサーヤは確かに大学時代からお互いを認知していて、くるまはサーヤの才能に惚れていた経緯もあるため、あの日のライバルの対象にはなりうる存在です。それがこの楽曲上ではコラボという形で協力関係にいることは、やはりお笑い好きからしてみればなかなか需要しかない共創であると考えました。

野良からまたbow wow
かわしてイナバウアー
愛想悪いけど相性は良い
ギクシャクしてたのは昔話

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

ここもアウトローな世界観を貫いてくれている感じがかっこいいと思いました。何言われても気にしない最強の二人。ギクシャクしてたのは昔話がなければ、五条と夏油を彷彿とさせる、ほどの強者感、余裕感を感じます。

真正面からカウンター 泥臭く突進からグーパン
もう手段選ばない このゲームにはハンデはない
才能奪ってNTR この二人なら絵になる
バンカーからまた這い上がる どう考えたって縁がある

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

と思いきや、人間味溢れる戦い方。この感じがすごいサーヤにも、くるまにも当てはまるところだなと個人的には強く感じたところになります。はたから見たら、もしかしたら二人とも若いけど実力があり、世間舐め切ってます的な風貌で、余裕綽々を醸し出すクールエリートに見えるのかもしれないですが、案外泥臭いお笑いをやっている印象です。勿論センスという意味では二人とも輝くものが当然あるのですが、それこそ川北とか、天竺鼠の川原とか、バカリズムとか、淡々としていつつも刺さること、芯食ったことを言って笑かすタイプの笑いではなく、率先して変な格好もするし、ロジックなしに歌ったりするし、声荒げるし、体も張るしのお笑いを全然本流として全うしているように見えます。そりゃ”どう考えたって縁がある”というのも首肯できます。

GOLDEN BUDDY
いっちょ上がり!だ
GOLDEN BUDDY

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

「GOLDEN BUDDY」ってのがセンスを感じます。番組名をそのまま使うわけではないけど、同じ概念について語っている必要はある中で、かっこよさの香りづけをしやすい単語として、相棒を意味する”BUDDY”を採用したのは、完全に正解だと思いました。加えて言ってて楽しい破裂音でもあるから、聞き手としても一緒になって言いたくなる副産物もあると思います。いっちょ上がり!ってのもまた、敵を一人倒してはまた次を見据えるトーナメント的発言で、共闘感が増すいい言葉だと思いました。

物足りない!まだ欲張り
モーマンタイ 現役バリバリ
神がかりで勝ち上がり
いっちょ上がり!だ
GOLDEN BUDDY
GOLDEN BUDDY

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

GOLDEN BUDDYへのつなぎの役割を果たします。ちょっとモーマンタイは個人的にはありきたりかな?とも思ってしまいましたが、もうええでしょう、そんな批判は。私が勝手にちゅ。多様性に毒されているだけとしましょう。

一人手も足も出ないが 君がいたら屁でもないや
古いならば活性化 やりすぎたら反省会
誰も読めない場面展開 誰も知らない何が正解
コントロールできない だって私本体

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

”だって私本体”はどういう意味だったのでしょう。2通り、私は考えました。一つ目が、私が主導権握るし、それに最強の相棒もいる、そんなものの結末はわかるわけがない、ということが主張の核であり、本体=嘘のない自分という意味合いで使われている説が一通り目です。二通り目は、私は本体に過ぎない、という意味で、ブレーンである相棒とのコラボは何もわからないという主張の核です。どちらの解釈でもない可能性もありつつ、一つ確かなこととして確認できるのは、制御効かないけど、相性まかせに暴れようという意志は強く感じ取れる歌詞でした。

贅沢に結託 まぐれ?傑作?
放っていく変化球で満たして起こすミラクル
もういいやりたい放題そろぼち世代交代
そう思うでしょ? GOLDEN BUDDY
どうなん正味GOLDEN BUDDY

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

ここでのパンチラインは「もういいやりたい放題そろぼち世代交代」の部分と認識しました。このパートの前半部分は、コンビとしての化学反応を念押しする要素として、別の表現で伝えている用に見受けられました。その後に登場した"世代交代"っていうワードは、次世代を担えるほどの才能と影響力を持つサーヤとくるまが言うから、言葉に重みが出まくっていますね。
またここのGOLDEN BUDDYの言い方が、他のパートとは異なって区切って言い切る感じになっていたのが、一際目立ってかっこよかったです。

聞き飽きたよ”たられば”
化石思考にあっかんべーだ
令和にロマンを語れば振り切れてパラメーター
くるくるまわる時代に飲まれる前にケムに撒く

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

こちらのパートの歌詞が、本作品をラップ楽曲であること象徴している部分だと思いました。現に、リリースされてからここの歌詞についてファンの間では話題になっていたと記憶しています。
では何が話題になったのかと言いますと、ここでの「令和にロマン」「くるくるまわる」「ケムを撒く」の歌詞はうまいこと、コラボ相手であるくるまの名前、コンビ名、相方を組み込んでいる、と言う点になります。こういう引用や文字遊びはラップの楽曲ではよくある話と聞いているため、その土俵に持ってきたことに対して賛辞を与えたいと、思っていました。また、こう言う固有名詞は一見強引に絡めていくイメージがありましたが、本楽曲にてはさすが一流で本筋から逸脱していない具合で引用できていると思ったので、文句なしのリリックでした。

手繋がず背中合わす刀と鞘
敵の数 笑み溢す頭の中
過り断つ欲望やその手の罠
オリジナル同士惹かれ合う性
だから突き刺す好奇の目すら
乗り越える 正真正銘sold out媚
且つ完封勝利への正念場ってか

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

ここがクルマのパートです。サーヤとは違ったテンポ感のリリックで緩急がついていて、非常にカッコよかったです。自分は初見で全く気づかなかったのですが、鞘=サーヤ、好奇=ニシダとここでもくるまはアンサーできていたことに驚きました。その強引のなさがあまりにも上手だなとこちらも感心して聞いてました。sold out媚という表現も相当好きで、作詞経験がくるまにあったのかわからないですが、相当練られた言葉遊びが羅列されていると感じます。
また今だから言いますが、ここの「完全勝利への正念場ってか」の部分がM-1の2連覇を目論む布石というか、くるまが当時置かれていた状況も反映しているのかなと考え出すと鳥肌案件ですね。ある意味M-1の2連覇に向けて貪欲に漫才とお笑いに向き合ったからこそかけた歌詞なのかもなと思うと、厚みの出る歌だという実感も湧いてきます。

馴れあい?いや高めあい
運だけでは語れない
嫉妬する より される性
きっと開いていくこの差が

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

サーヤパートに戻ります。このパートの馴れ合い?みたいな部分も案外サーヤとくるまの元からある関係性について、自己皮肉的に言える部分を敢えて登場させている部分かと思いました。というのも2人が共に写っている動画では結構ふざけたり、過去の思い出について語るなど、言ってしまえば普通の仲良しがやりそうな姿を見せてる印象が強かったからです。そんなイメージを受けていることをサーヤ自身が自覚しつつも、そのイメージをあえて訂正することで、より2人の高みであったり、上に行くという覚悟の部分を謳う歌詞につながってくるかなと思いました。

ジェネレーションギャップより深いとこの話
全戦全勝しちゃうから向かうとこ敵なし

礼賛『GOLDEN BUDDY feat.くるま』

最後、「全戦全勝しちゃうから向かうこと敵なし」と締めて、2人の存在がゴールデンであることを際立たせ、最強の風格を保ったまま終わりました。

いかがでしたでしょうか。かっこいい空気をずっと纏わせ、くるまも仕事しまくって、完成度の高いテーマソング以上の楽曲に仕上がっていたと思いました。礼賛はあまり聞かないのですが、ウォッチしていきたいなと思わされました。では、また次回の記事でお会いしましょう。

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