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はじめて写真集をつくりました

写真集をつくる

 このたび写真集をつくりました。
 『POSTCARD FROM WEST』といいます。”線路と、線路のそばと。”をテーマに、山口県中部を走る山口線を題材として線路とその周りに広がる風景を集めた一遍です。

作中より

 『SLやまぐち号』と言われて聞き覚えのある方も居られるのではないでしょうか。そう。そのSLの走っている路線です。"新山口〜益田間93.9km。途中に安芸の小京都と呼ばれる観光地、津和野を通る風光明媚な路線"ーーというのが市井でのよく知られた文言でしょう。
 しかし、本作ではSLは1カットも登場しません。SLの運行日数は約90日、一年の1/4です。では残り3/4は?割合的には”残り”の側が普段の姿ではないのかーー。そんな普段着の姿で繰り広げられる日常を見て頂きたく、本作を編み上げました。 

作中より

ぼくと阿東と

 題材となった山口線ーーそして阿東地区とは8年ほどの付き合いになります。ぼくが初めて山口線を訪れたのもSLの写真が撮りたかったからでした。当初はまだSLそのものに興味があったようで、車両だけを撮ることに熱中していました。同じころ、旅好きの友人たちに四国を連れ回される機会があり、道や橋、田んぼに廃線跡など道中に出会ったいろいろなものを写真に収めていました。阿東と四国を往復するうち、興味は線路からその周りへと、被写体は車両から風景へと変わっていきます。石州瓦の赤屋根の家々とりんご園、どこまでも広がる田園風景とそれを見守るようにそびえる十種ヶ峰。緑眩しい冬の麦畑や、小さく白く可憐なりんごの花。どのスケールで見ても美しい景色が広がっています。そして、そのなかで四季を巡る人の営みが続いているのです。
 こうして、ぼくは足繁く阿東地区へ通うようになっていきました。

作中より

構成について

 ”A4版・フルカラー本文118ページ”
仕様だけ書き出すとこんな感じです。本作は春夏秋冬のうち冬だけを取り上げたものになっています。ダイジェスト的に一冊にまとめようかとも思いましたが、やはり数は力だということで写真を積み上げてこのような構成になりました。つまり、あと3冊は出るということです。頑張れ自分。

表紙
国鉄時代のディスカバー・ジャパンのポスターをオマージュ

 ”地方の日常風景を掘り起こす”というテーマから、表紙はかつて1970年から行われた『ディスカバー・ジャパン』という旧国鉄のキャンペーンポスターをオマージュして構成しました。場所のわからない写真と2辺に大書きされたタイトル、そしてそれに添えられる副題。
オマージュ元のポスターについてはリンク先の展覧会レポートにあります。

 少なからず表面的ななぞり方になっているところはありますが、第一にこのポスターが好きなので。好きなものを正直に摂取しました。10年ほど前にこのキャンペーンについて研究した方が居られたので下につけておきます。

 ”線路”はゆるくない頃の中井精也や広田尚敬、”線路のそば”は入江泰吉や今森光彦(いずれも敬称略)といった方々の写真から学びながら、残り3冊も制作していこうと思います。

作中より

むすび

 もともと、自分の写真は一枚画で勝負するのではなく、枚数を積み重ねていくものだと思って撮り続けていました。枚数こそ力だと思っていたので、コンテストに応募したことはなく、いつか纏めて形にできたら良いなと漠然と考えていました。そんな中、友人から「コミックマーケットの出展者に応募するから一緒に何か出さないか」と声を掛けられたことが本制作のきっかけになりました。あらためて、誘ってくれた友人には感謝です。下に彼のnoteを貼っておくので、こちらもぜひ。


さいごに

 C104現地でお買い上げ頂いた皆さま、またBoothよりお求め頂いた皆さまにも感謝の言葉を申し上げます。お手間をとらせますがTwitterなり本noteなりに感想を頂けると泣いて喜びます。泣かせてくださいお願いします。

 そして、この写真集を読んで下さった方やぼくのInstagramをご覧になった方のお一人にでも阿東地区を訪れて頂けたら嬉しいです。
 地方の過疎化が叫ばれ始めて久しい昨今、阿東地区とて例外ではありません。SLやりんご園といった観光資源はありますが、いずれもシーズンというものがありますし、コロナ禍を経験したように産業全体として浮き沈みもあります。そんな中で、少しでも自分の好きな地域への応援ができればと思っております。阿東地区、いいところです。


 読んでみたいという方はこちらからどうぞ。
 それでは、また。


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