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初期研修を始めたばかりのあなたへ

今でも自分が初期研修を始めたばかりの時のことははっきりと覚えているし、初期研修を始めたばかりの若手の先生たちとも話す機会も時々あって、この時期特有の焦りや辛さを思い返すことは度々ある。

これは、日本の研修医でもアメリカの研修医でも誰でも最初は経験するものだと思う(経験していなかったら、逆に心配)。

だから、チーフレジデントだったりした時に研修のオリエンテーションでよくしゃべっていたことを少し。

1)苦しいのはあなたの知識がないことよりも、システムへの慣れの問題であることが多い。

よく研修医1年目の子たちにいうのは、研修中に学ぶことはSystem based learningとKnowledge based learningの2つがあるということ。

System based learningというのは、病院のシステムがどうなっているかを理解して、慣れるということ。例えば、患者さんの退院が必要になったときにどのようなオーダーや書類が必要で、誰とコミュニケーションが必要かなど。あるいは、画像をオーダーした時に、超緊急にするにはどうやってオーダーして、誰に連絡すればいいかとか。これは、実際の医学の勉強とは違うし、教科書にももちろん乗っていないけど、研修の最初の時期にこれをきちんと把握できるかは、その後の診療と研修の質を上げる。しかも、これができる人が“使える”人と思われがち。

だから、最初のうちはわからないこと、気になったことを積極的に質問して、自分の理解に漏れがないように進めることが大事。自分一人でもできると確信できるところまで質問しておく。自分も含めて仕事を始めて最初のうちは、自分があまりに役に立っていないなあとか、仕事が遅いなあとか感じるのは大抵ここが問題なことが多い。だから、学生時代それなりに勉強してきたのに、もっとできるつもりだったのに、と思っているあなた、大丈夫。それは絶対無駄にならなくて、最初にシステムに慣れる必要があるだけだから。あなたが輝くときは目の前に来ている。
 

2)ERを早く回せないことで悩むあなたへ

僕のいた日本の初期研修病院はわりと野戦病院的な部分が少なくとも当時はあって、ERも患者さんでごった返して、救急車も次から次へと来る感じだった。自然とそういった病院では、効率よく患者さんを診て、ERだとか外来を“回せる”研修医が優秀と思われがち。確かにダラダラと時間をかけるのは良くないし、ERなんかだと一分一秒を争う場面もあるから、そうなるのは当然だけど、全部の診察をそのペースでやらなくたっていい。

自分が診察が遅くて悩んでいるあなた、大丈夫。そうやって自分の診察のスタイルを知ることも研修の一環だから。自分がゆっくり診るタイプでその方が集中できるなら、最終的にはそういう科を選べばいい。そういう働き方を選べばいい。それで、あなたが“デキる”、“デキない”なんて決まらないから。車の運転と似ていて、いつも速く運転したがる人もいれば、ゆっくり運転する方が快適な人もいる。どっちにしても、目的地につけば一緒だから。
 

3)迷ったら患者さんのためになったかを考える

当直の後とか、仕事の帰りに自分の診察はあれでよかったのかな、こういう検査したけど良かったのかなとか悩むことはよくある。経験を積んできてもよくある。医療って結構アートな部分が多いから(知識+アート)、必ずしも正解が一つではないことがすごく多くてみんな悩みながら自分で正解を見つけようとしている。研修医だときっと、あのCTいらなかったんじゃないかなとか、あのコンサルトしてよかったのかなとか、悩むと思う。

ただ、正解って何?と思ったときに、それが患者さんのためになることだったのかを考えて、そうなるんだったらそれで大丈夫って割り切ったほうがいい。上の先生にこう思われちゃうとか、ナースさんたちにこう思われちゃうとかあるけど、そんなことよりも、自分のしていることが患者さんの助けになっているのかを考えたほうがいいと思う。もちろん、大前提として自分で調べて考えてからだけどね。でも、いつだって、Patient comes first。
 
4 )ローテートが終わった後でも患者さんをフォローする

結局研修中に見られる患者さんの数はそれほど多くないし、しかも全科ローテになっているから、長期で一人ずつの患者さんを診ることは結構難しい。だから、必ず自分で意識してカルテをフォローしないといけないし、一緒に診た先生に気になることがあれば質問しないといけない。病気の経過の理解も進むし、トラブルシューティングの仕方もわかるし、この積み重ねはかなりの差が出ると感じている。自分の外来が始まったときに役に立つのは、こういった経験からの学びであって、それは教科書などよりも実用的だったりするから。
 
まあ、その他にも色々しゃべることあるんだけど、あまりたくさん書いてもあれなのでこのあたりかと。

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