心房細動のカテーテルアブレーション治療後にDOACは必要か
心房細動に対してカテーテルアブレーション治療後の方で、脳梗塞を発症し入院となることがあります。
抗血栓薬(direct oral anticoagulant: DOAC) 、具体的にはエリキュースやリクシアナといったお薬は、心房細動があると心原性脳梗塞を発症するリスクから内服が勧められます。しかし、心房細動の治療であるカテーテルアブレーションをした後も、ずっとDOACを内服し続ける必要があるのかは疑問でした。
むしろDOACによる出血のリスクが増大するのではということも懸念されます。
以下の論文は国立循環器病センターからの報告で、日本人の心房細動に対してカテーテルアブレーション後6か月経過した時点でDOACを内服している群と内服していない群に分け、その後の塞栓症発症と大出血発症をみたものです。またCHADS2で心房細動患者の脳梗塞発症リスクを点数毎にわけて評価している点が非常に画期的でした。
Oral anticoagulation after atrial fibrillation catheter ablation: benefits and risks
Koshiro Kanaoka, Taku Nishida, Yoshitaka Iwanaga, Michikazu Nakai, Reina Tonegawa-Kuji, Yuichi Nishioka, Tomoya Myojin, Katsuki Okada, Tatsuya Noda, Kengo Kusano
European Heart Journal, Volume 45, Issue 7, 14 February 2024, Pages 522–534,20 December 2023
非常にきれいな結果でした。
中央値1101日の経過でみていました。
まず、カテーテルアブレーション治療6か月後、約70%程度の患者さんはDOACを継続していました。CHADS2スコアが高い患者さんでは内服率が高い結果でした。
DOAC内服については、CHADS2スコアで2点以下だとその後の重大な出血との関連があり、3点以上だと脳梗塞発症抑制との関連が示唆されました。
したがって、カテーテルアブレーション後でも、CHADS2スコアが3点以上の場合はDOAC内服がすすめられるという結果でした。
ただし、心房細動が再度出現し脳梗塞を発症しているのか、
アテローム性脳梗塞であった可能性などは不明である点は注意が必要と思いました。