髄膜種の臨床症状発現は腫瘍体積と最大径に注目する
髄膜種は臨床上よくみる腫瘍性病変のひとつで、MRI撮影して偶然みつかることも多い腫瘍の一つと思います。一般的には症状がない場合はMRI を定期的に撮影し、サイズ増大の有無をチェックしていくことが多いと思います。
しかし、脳実質が圧排されることでてんかん発作を発症したり、運動麻痺が出現したりすることがあり、どの時点で症候性となるかを判断することはとても重要です。
髄膜種発生の多い場所として、円蓋部、傍矢状洞、大脳鎌があります。
そこで発生した髄膜種について症状発現を目安となる体積と腫瘍最大径について、日本人のデータでの報告がありました。
How Much Tumor Volume Is Responsible for Development of Clinical Symptoms in Patients With Convexity, Parasagittal, and Falx Meningiomas?
Front. Neurol., 17 November 2021
大阪大学で1990年から2020年の間のデータで、後ろ向き症例対照研究です。
ROC曲線では症状発現の有無を予測するための閾値腫瘍体積は21.1mlでした(感度0.843, 特異度0.88)。また最大腫瘍径40mmの閾値も、症候性を予測するマーカーとして報告されていました(感度0.819, 特異度0.840)。
腫瘍がどの部位にあり、どの程度圧排しているかなどで判断はかわるとは思いますが、無症候性の病変が症候性となりうるかのひとつの判断材料になるかと思いました。
日本人のデータを300例ほど収集して解析された論文で、臨床にとても参考になる論文と思いました。
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