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SARS-CoV-2 XBB.1系統の中和感受性について 〜COVID-19治療には新たな抗体が必要である〜

第7波を超える第8波の死者数。
高齢者や基礎疾患のある人たちの死亡数が軒並み上昇しています。

今、現在のワクチン予防接種効果や中和抗体薬の効果はどうなっているのでしょうか?

以下の論文は上記疑問に対する最新情報です。


2022年1月、組み替え型SARS-Cov-2 XBB系統がインドで初めて検出され、アジアや欧州で発生が増加しています。

XBB系統は、BJ.1およびBM.1.1.1という2つのオミクロン変異亜系統の組み替えの結果であります。

5つの主要なXBB亜系列(XBB.1~XBB.5)が存在します。

最近、SARS-CoV-2 XBB.1系統の宿主細胞への侵入と抗体による中和を回避する能力を初めて評価した論文が発表されました。
Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年1月5日号に掲載。

The Lancet. Infectious diseases. 2023 Jan 05; pii: S1473-3099(22)00831-3.

(方法)
宿主細胞への侵入とその中和を研究するのに適したモデルであるスパイクタンパク質を持つ偽ウイスル粒子(XBB.1pp)を使用。
B.1(B.1pp)と現在主流となっているオミクロンBA.5(BA.5pp)系統を比較のために使用。

使用した細胞:Vero細胞(アフリカミドリザル腎細胞)293T細胞(ヒト腎細胞)Calu-3細胞(ヒト肺細胞)

使用した中和抗体
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防や治療に臨床使用されている(使用中止となったものも含む)もしくは開発中のモノクローナル抗体(14種類)
・モノクローナル抗体カクテル(4種類)

XBB.1に対する中和能力を調べた。

(結果)

① XBB.1ppではsotrovimab(ソトロビマブ)とS2H97が中和することができたが、中和効率はB.1pp中和と比較して10倍以上減少した。
SARS-CoV-2のXBB.1系統が非常に強い抗体回避能力を有していることを示唆していた。

② XBB.1ppの宿主細胞侵入がBA.5ppに比べて減少していることから、XBB.1の抗体による中和回避能力の向上は、宿主細胞侵入効率の適度な低下と引き換えにもたらされた可能性があることが示唆された。


(結論)

「ほとんどの抗体がXBB.1を中和しないことからCOVID-19治療には新たな抗体が必要であり、XBB系統の発生率が高い地域では他の治療法(例えば、バクスロビッド、モルヌピラビル、レムデシビル)を検討すべきことが明らかになった。


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