9作目「アンゲリアフォーロス」について
2022/8/18に投稿した9作目の「アンゲリアフォーロス」について書きます。
・制作経緯など
まずこの曲のテーマについてなんですが長くなりそうなのでそれは最後に書くとして、それ以外の部分について書きます。この曲は前作の制作中に「あなたのリズムを」というフレーズとその直前のメロディだけ思いついていて、そこからどういう話にしようかを考えていきました。最初はSAO的なゲームの中の世界観にして話を作ろうかと思っていたんですが、詞を考えるうちに後述するような学術的な内容となりました。サウンドもパイプオルガンや鐘、ストリングスをメインとした神聖な世界観になったかなと思います。個人的に1番好きな箇所はサビの3フレーズ目です。短調なので暗くてカッコいい印象が強い中でどこかに優しさとか明るさのようなものを乗せたかった部分です。和音的にも1番アツい。あと前作に引き続き6拍子になりましたが、これは自分が「思い付くメロディの6割くらいが6拍子になる」という病を患っているからです。ほっとくと作る曲が全曲6拍子になってしまうのでたまに意図して4拍子の曲を作っています。(オフィーリアとか)
・イラストについて
今回のイラストはまにゃ様に描いていただきました。もう最高すぎて本当に依頼して良かったなと思いました。イラストについては語りたいことが沢山あるのでここに全部書きますが、まずは天使ちゃんの表情、可愛すぎる。若干困ったような表情をしてるのが見て分かるかと思いますが、それはラスサビの「そんな退屈顔しないでよ」に対応しています。さらに天使ちゃんの服装、可愛すぎる。服については完全にまにゃ様にお任せしていたんですが天使ちゃんの幼い感じにマッチしていて最高だなと思いました。あと全体的な白とグレーの色合いが個人的に好みすぎてまにゃさん天才か?と思っていました。スカートのヒラヒラ感も良くて、毎回イラスト依頼するときは思いますが絵師さんって絵が上手すぎる。そして羽のリアルさですね。今回この羽があるおかげで可愛いだけじゃないどこか黒さというか怖さのようなものが表れていて、曲の世界観の神々しさとリンクしたと思っています。「サムネイルだけでも多くの人の目を引くような絵にしたい」というザックリしすぎて申し訳ないなと思っていた自分の要望を、自分の想像していた10倍くらいで返して下さったまにゃさんには本当に感謝しています。こんな感じでイラスト単体で隅々まで見てほしいものになっているんですが、送っていただいた時は良すぎて「おぉん、すこ…」と語彙力を失い数分間放心していました。あと裏話としては天使ちゃんの髪型を少し短めにするかロングにするかで死ぬほど悩みました。最終的にロングになりましたが、セミロングっぽい髪型もメチャクチャ可愛いのでそっちでも良かったなと思ってます。セミロングっぽい天使ちゃんはまにゃさんがTwitterにて設定画を公開しているので是非見てみてください。
・DTMの話
今回割と神聖な雰囲気にしたかったので良い鐘音源と良いパイプオルガン音源を導入しました。パイプオルガンに関してはよりリアルな音に近づけるために、オルガン奏者の方のパイプオルガン演奏会を聴きに行って音作りの参考にしました。鐘音源については何もしなくても使えるくらい良い音なのでそこまでいじってないんですが、鳴らしてる音程と違う低い音程が響いていたので他の楽器と合わせると不協和音っぽくなっていたのを解消するのに若干苦戦しました。あとはストリングスとピアノメインのいつも通りの構成ですね。今回パイプオルガンだけで7トラック、ピアノ音源だけで10トラックくらい使ったりしてオケの厚さを意識したのでインストだけでも聴いてて楽しいなーと思う曲に近づいたかなと思えます。やっぱりミックスは奥が深すぎるのでこれからも色々と試していきたいところです。あとはミクさんについて。基本1番のAメロ以外はハモリを入れたんですが、サビの一部はあえてハモリをなくしてソロにしています。やはり吹奏楽でもオーケストラでも合唱でもそうですが、ソロというのはなんとも言えない良さがあります。曲の中で1番熱いメロディやフレーズ、パートのときにたった1人で歌い上げる。震えますね。そんなものを今回の曲の中でも感じ取ってもらえると嬉しいです。和音の話を若干すると、サビの2フレーズ目はメロ先でコードを付けたんですがしっくりくるものがなくてメチャクチャ悩みました。でも悩み抜いた末に決まった「quietudeとrhythmを」の部分のBb→Aはかなりお気に入りになりました。ベースを聴いてほしい。
・曲のテーマについて
冒頭で触れた通りこの曲のテーマについて話します。曲を聴いてくれた方には歌詞を自由に解釈して欲しかったので概要欄には「難問に立ち向かい続ける話」とだけ書いていました。なので知りたい方だけ読んでもらえると良いです。
ということでこの曲の設定を語りますが、この曲は理論物理学の「トーエ」と呼ばれる難問をテーマとして描いています。自分も専門ではないのでYoutubeや科学館で勉強した程度の知識で話しますが、トーエ(T.O.E)はTheory of everythingと言って「万物の理論」と呼ばれるもので、ざっくりと言うと「この世の全てを記述する数式」というものらしいです。そしてそれを見つけることができれば世の中にとってめちゃくちゃハッピー(概略)なので物理学者たちは血眼になってそれを求める研究を進めているとのこと。ということでトーエとはそんな存在らしいのですが、曲ではそれを基にしてオリジナルストーリーを描いています。トーエを追い求める非凡な「私」が、それに仕え、それへの道を示す存在である「トーエの従者」を見つけるところから始まります。そしてその従者こそが天使の姿をしており、歌詞の「あなた」に対応しています。「私」はなんとか従者から手がかりを得ようとしますが当然そんな容易ではなく、また従者は従者で難問を解き明かせる存在を待ち望んでおり、自分と同じレベルの才能をもった者と遊びたいという無邪気な一面があります。才華ではあっても所詮は「人間」の私と、全てを記述する式といういわば「神」に仕える天使、その両者の性格のギャップと敗北を味わう私、そしてトーエの学術面での深淵さ、人間が触れてはいけない神聖さというのがこの曲のテーマになります。
という感じでこの曲の設定的な部分を書いてみましたが、正直何言ってるのか分からないと思います。イラストを依頼するにあたって絵師さんにテーマの概要を説明させていただきましたが困惑されました(無理もない)。ちなみにタイトルはギリシャ語で「使者」という意味です。先でも述べた通りこの曲は聴いた人それぞれで自由に解釈していただけると嬉しいです。もしこの曲を聴いた学生の方々がトーエについて興味を持ち未来の研究者となる、なんてことはないと思いますが、曲を聴いた人が少しでもそういった世界観を感じてくれれば嬉しいと思います。
最後小難しい話になりましたが今回はこれで終わりにします。次はバラードを作ります。あと、この曲を含めNeuCatの作品のストーリーを小説や漫画にしてくれる方を常に募集しています。アニメ化が果てしない夢です!以上!