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「舞台芸術の国際ネットワークのあり方を現場の人から見つめ直すリサーチ」はじめました

2024年8月3日から、9歳と4歳の娘二人を連れて台湾に来ています。
台湾滞在の目的は、表題の通り「舞台芸術の国際ネットワークのあり方を現場の人から見つめ直すリサーチ」のためです。

なぜ国際ネットワークについて考えるのか
なぜ現場の人なのか
なぜ台湾か
などは、次の投稿で書いていこうと思います。

今回のリサーチは、セゾン文化財団の「海外リサーチ活動支援」の助成を受けて取り組んでいます。このご支援が原動力となり、日々の活動のなかで感じている、でも抽象的なままだった課題について、具体的に取り組むことができています。そして、子連れで3週間の台湾での滞在という今しかできないチャレンジをすることができました!

本リサーチについて、まずは概要をお伝えすべく、「海外リサーチ活動支援」への申請書やそこから更新した内容を記載します。


舞台芸術制作者のネットワークに関するリサーチ

テーマ:舞台芸術の国際ネットワークのあり方を現場の人から見つめ直すリサーチ

コロナ禍において、非常時の対応や政策提言のために、舞台芸術のなかでもジャンルや業種を越えて様々な連帯、ネットワークが生まれました。2023年新型コロナウイルスの政府の取り扱いや社会生活の変化のなか、各連帯、ネットワークの活動も区切りをつけるところ、新しい課題に向けて活動を展開させるところなどそれぞれが転機を迎えています。一方、国際的なネットワークにおいては、移動の制限があるなか、オンラインで海外のパートナーや同業者と対話や議論の場が設けられました。オンラインでのディスカッションは既存のネットワークをベースとしたコミュニケーションに寄るところがあり、新しくネットワークを作ったり、広げたりということに限界があったと感じました。移動の制限が解除された現在、国際的なネットワークの機会の格差や、国際的な活動へのモチベーションをどう発揮していくかという課題に向き合い、国際的なネットワークの再開・展開について、国内外のネットワークを担う当事者へのヒアリングを通じて思考・実践していきたいと考えています。

リサーチから導き出したいもの

  1.  国際ネットワークの意義の再定義
    台湾の、舞台芸術に関連するネットワーク組織のリサーチによって国際ネットワークの役割(ミッション)や価値(バリュー)を自身の活動指針として再定義します。

  2.  舞台芸術制作者を取り巻く環境や課題の相対化
    台湾で活動する人たちの働き方やキャリア形成、モビリティに関する現状の変化、課題やニーズをヒアリングし、日本と共通すること、あるいは特異性のあることなどを分析します。

  3. アドボカシー、行政との関係構築の事例収集
    行政をはじめとしたステークホルダーとの関係づくりの手法をヒアリングし、国際ネットワークの必要性や意義の認知普及、支援策の拡充の方法について情報を集めます。

インタビュー対象

A:ネットワーク等の組織へのインタビュー

B:個人へのインタビュー
ネットワークを活用している個人(制作者、プロデューサー)
 本リサーチにご協力いただいた方からの紹介、これまでのON-PAMでの活動を通じて知り合ったなかで、フリーランスや起業している人など。

インタビュー項目

団体へのインタビュー項目

  1. 運営組織・体制
    ・運営母体はなんですか?
     民間団体/行政機関/半官半民/他
    ・運営体制について教えてください。
     理事会の有無/理事の人数/理事会の属性(例えば、地元出身・台湾出
     身・海外ルーツのある人、ジェンダーバランス、障害者/アーティト)
    ・マネジメント等について
     理事会の役割/理事会の任期/理事会の平均年齢か年代層
    ・事務局について
     事務局の有無/事務局員の人数/雇用契約(有給/無給)/事務局員の
     属性(例えば、地元出身・台湾出身・海外ルーツのある人、ジェンダー
     バランス、障害者等) /事務局の平均年齢か年代層
    ・会員について
     会員数/会員の属性/会員の役割/会費の有無
    ・意思決定プロセスについて

  2. 予算規模
    ・収入源の割合について
     自己資金/主催事業/補助金、助成金/民間協賛金/寄付金?
    ・予算規模の推移について(5年間の推移)
    ・予算の内訳について(可能な範囲で)

  3. 事業内容
    ・組織のミッション・ビジョン等について
    ・主催事業/提携事業/その他事業について
    ・事業評価体制や指標等について

  4. 国際プログラムについて
    ・国際的なプログラム実施の有無/回数(年間の回数)/参加
     者数/規模(コロナ前・後の比較ができれば)/事業形態(公演や展覧
     会・アートマーケット・レジデンス等)
    ・プログラム内容

  5. 海外団体との連携
    ・連携している海外団体はあるか
    ・ある場合はどこか。どのように連携のスキームを作っているか。

  6. 行政との連携
    ・行政との関係性について
    ・アドボカシー/提言活動の有無
    ・有の場合、手法、事例等
    ・定期的な意見交換の場の有無 (行政職員と)
    ・日ごろ政策に関する相談を受けているか?(会員と)
    ・政策提言を準備するために取り組んでいること(会員の意見収集等)
    ・ 政治家へのロビーイングの有無

  7. 会員(舞台芸術のプロデューサー、制作者)の現状・労働環境
    ・基礎データの有無
    ・会員の就業形態(雇用者、被雇用者、フリーランス)
    ・労働環境(収入、保険、雇用保険、福利厚生、ハラスメント対策等)
    ・舞台芸術制作者、プロデューサーが活用できる相談窓口の有無
    ・育児・介護との両立についてサポート等あるか(国レベル・組織独自のもの等)
    ・会員への情報周知の手段(ウェブサイト・SNS等々)

  8. 今後の展望・課題(組織として)
    ・組織として今後取り組みたい事業やテーマはあるか
    ・組織が重要と考える課題やトピック
    ・国内団体間のネットワーク状況や展望

  9. 今後の展望・課題(国際ネットワークとして)
    ・国際ネットワークとしての今後の事業について
    ・国際ネットワークを継続するうえでの課題 

個人へのインタビュー項目

  1. プロフィール
    ・経歴
    ・キャリア形成
    ・活動拠点他
    ・労働形態(フリーランス/雇用・被雇用他)

  2. 活動内容
    ・主な活動内容について
    ・そのうち国際的な事業や活動があるか?
    ・あればその内容

  3. ネットワークの活用(必要性・期待すること)
    ・入会しているか
    ・入会している場合、入会のタイミングときっかけは?
    ・入会してのメリット・デメリット
    ・ネットワークそのものについて(ネットワークから得られるもの、期待すること)

  4. 海外ネットワークの活用(必要性・期待すること)
    ・海外ネットワークに入会しているか。
    ・入会している場合、入会のタイミングやきっかけ
    ・海外ネットワークに興味・関心がある理由
    ・海外ネットワークの必要性
    ・今後期待すること

  5. 人材育成
    ・次世代の人を増やすために実践していること
    ・台湾で一般的な人材育成、キャリアデザインについて
    ・人材育成における課題(文化芸術業界におけるキャリアパス教育の有無)

  6. ワークライフバランス
    ・子育て中/介護中か。
    ・子育てあるいは介護と、舞台芸術の仕事との両立について行政の支援があるか。
    ・両立するうえでの課題は何か。

  7. 活動に関して展望・課題(個人として)
    ・自身の活動の展望は?
    ・継続していくうえでの課題は?

舞台芸術制作者のネットワークに関するリサーチ
実施者:塚口麻里子
助成:セゾン文化財団 海外リサーチ活動支援
協力:新田幸生、閔 鎭京

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