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これから先も変わらないのは、茨城の映像クリエイターであるということ

2021年6月、KENPOKU PROJECT E(茨城県北地域おこし協力隊)(以下、PROJECT E)として着任した小林敬輔(こばやし・けいすけ)さん。

大子町を拠点に、映像クリエイター・KJ_NETWORKとして、観光PR動画制作や企業・自治体のプロモーションを行うなど、茨城県内を中心に活動されています。

今回は、まもなく協力隊卒業を迎える小林さんと松本美枝子マネージャーとの対談を実施しました。


きっかけは一つのカメラ。
映像制作で、地元に貢献することを夢見て

映像クリエイター・KJ_NETWORKとして茨城の魅力を発信している、PROJECT Eの小林敬輔さん

松本美枝子マネージャー(以下、松本。敬称略):小林さんは、映像を通して主に大子町や茨城県北の魅力を伝える活動をされていますが、動画や映像制作をしたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

小林敬輔さん(以下、小林。敬称略):大学を卒業後、水戸市で1年ほどサラリーマンをしていました。大学までサッカーに打ち込んでましたが、社会人になり学生時代のように打ち込めるものが何もなかったんです。刺激のない毎日を送る中で、何か新しいことに挑戦したいと思うようになりました。そのときに、もともと写真を撮ることが好きだったのを思い出し、カメラを購入しました。そのカメラがきっかけで、海外のクリエイターが制作する映像を見るようになり「いつかこんな動画を作れるようになりたい」と映像制作を始めました。

松本:そうだったのですね。小林さんは日立市出身で、水戸市でサラリーマン、そして協力隊として大子町と、ずっと茨城に残っていますよね。やはり、地元である茨城に貢献したいという気持ちが強いのでしょうか。

小林:そうですね。茨城が好きで、茨城に残って地元に貢献したいという気持ちが強かったです。映像の仕事をすると決めたときも、拠点は茨城と決めていました。

松本:なるほど。そういう気持ちの中で、PROJECT Eの制度との出会いは、非常に意味のあるものだったと思います。どのような流れで協力隊になったのですか。

小林:ある日、いつものようにSNSを見ていると、茨城県県北振興局のアカウントを見つけました。もしかしたら何か次に繋がるかもしれないと思い、メッセージを送ったんです。何度か県の職員さんとやりとりをするうちに、PROJECT Eについて教えていただきました。この制度を活用すれば、将来映像事業で起業できると思い応募したところ、ありがたいことに採用していただきました。

松本:やはり「次に繋がるかも」と小さなことでも何かアクションを起こすことが大切ですね。さて、協力隊の3年間の活動が終わりに近づいていますが、改めてこれまでどんな映像を制作してきたのか教えてください。

小林:大子町の観光PR動画はもちろんのこと、企業・自治体のプロモーション制作やウェディングムービーなどの撮影をしました。また、SNS代行やHP作成なども積極的にお引き受けしています。

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松本:幅広く対応されていますね。撮影以外も小林さん一人で行うのですか。
小林:そうですね。基本的に、企画構成・撮影・編集と一通り一人で行うことが多いです。ですが、大子町の観光PR動画などは、地域の方と交流しながら撮影できたので、とても楽しかったのを覚えています。また、同じ協力隊とコラボレーションして撮影することもあるので、映像を通して仲間のPRができたのも嬉しかったです。

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具体的に相談することで、次の道が見える

普段使用している撮影用カメラを見せてくれた小林さん。
茨城で好きな映像制作を続けられたのは、県や茨城県県北地域おこし協力隊マネジメント
(以下、協力隊マネジメント)のサポートがあったおかげだそう

松本:誰かと交流しながら撮影するのは楽しいですよね。小林さんは県のSNSを見つけたことがきっかけで、協力隊という道が見つかったと思いますが、実際にこの制度を活用した感想を教えてください。

小林:県の協力隊は、自分で設定した活動テーマで最大3年かけて起業の準備ができます。好きな映像制作を通して地元・茨城に貢献できる点も、私にはもったいないくらい良い制度でした。

松本:そうですよね。まさに、小林さんの目指す方向と協力隊制度がばっちり一致したのだと思います。私から見て小林さんは、着任から現在まで3年かけてきっちりと映像事業での独立を目指して、自身の課題に向き合っていたと思います。その中で、県や協力隊マネジメントのサポートについてはいかがでしたか。

小林:私が例えば「自治体に挨拶や営業しに行きたいです」と相談すると、県庁職員の皆さんが一緒に挨拶しに行ってくれたり、松本マネージャーが営業先を紹介してくれたりしました。皆さんがいつも繋ぎ役として力を貸してくれたことも、とても助かっていました。また、松本マネージャーとの定期的に行われる個別面談を通して次の行動に向けたアドバイスをいただいていました。

茨城県北地域の企業による事業開発を通した将来的な雇用創出を目的としたプログラム
「Business Challenge Program(県北BCP)」で撮影する小林さん

松本:ありがとうございます。小林さんは次の目標に向けて、しっかりと個別面談を活用してくれていた印象があります。

小林:やはり一人で悩んでもしょうがないですし、悩んだときこそ協力隊マネジメントの面談を活用すべきだと思います。行動すればするほど悩みが出てきます。次の目標が見えているものの、どの企業、あるいはどの自治体の何課で営業したらいいのかなど分からないことがたくさんありました。なので、面談では必ず次のアクションに向けて具体的な相談をするように心掛けていました。面談時は、松本さんから、例えばウェディング関係なら「ここの会社に資料を作って持って行ったら面白いと思う」という回答や営業に向けてのアドバイスなどもしていただきました。営業があまり得意ではなかったのですが、サポートがあったからこそ、悩んでも次に進めたのだと思います。

県外で得たものを、茨城に還元する

「茨城が好きなので、今後も茨城を出るつもりはないです」と笑顔で語る小林さん

松本:面談をしっかりと活用し、次に繋げてくれたことがマネージャーとしても嬉しいです。今後も映像クリエイターとして茨城を拠点に活動していくと思いますが、目標や展望などはありますか。

小林:実は、県外の映像作品も多く制作しています。例えば、先日撮影した佐渡ヶ島の映像は、ありがたいことに、日本国際観光映像祭のVlog部門のファイナリストに選ばれました。結果はまだ分かりません。日本一に選ばれるに越したことはないですが、選ばれなかったとしても「茨城にもこういう作品を作るクリエイターがいる」ということを知ってもらえると思います。営業の際に、県外の映像作品を見せながら「茨城でも作りませんか」と言えますよね。茨城を拠点にしながら、どんどん力をつけて、地元に還元していきたいです。

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松本:やはり地元への思いがとても強いですよね。独立に向けて何か心配な点などはありますか。

小林:県内の映像制作の仕事だけで生活をするのは、まだまだ難しいところがあるので、県外と県内でバランスよく受注できたらと思っています。後は、今年の夏のオープンを目指して、大洗町にカフェ・ゲストハウス・サウナのある施設を私を含め2人で作っています。一緒にお店を運営する仲間は、同じ地域おこし協力隊です。それぞれが協力隊で培った経験と自分たちの持つ力を最大限生かして、茨城県の地域活性化に繋がるような活動にするため、日々取り組んでいます。卒業後は映像制作とともに、この事業を成功させて大洗町以外でも展開していきたいですね。

松本:カフェのオープンも楽しみです。小林さんの活動はこれから協力隊になる方にとって、とても参考になると思います。最後になりますが、後輩に向けてメッセージをいただけますか。

小林:協力隊希望者は、好きなことややりたいことがあると思います。活動すればするほど、壁にぶつかるのは当たり前です。ですが、茨城県北地域では県や協力隊マネジメントのサポートがしっかりしているので、気になることや悩みが出てきたら遠慮なく相談してほしいです。相談することで、次のヒントが得られると思います。私はまもなく卒業ですが、卒業後も茨城にいます。お手伝いできることがあれば力になりますので、気軽に声をかけてもらえると嬉しいです。

松本:力強いメッセージ、ありがとうございます。今後の小林さんの更なる活躍に期待しています。

小林:ありがとうございます!これからもよろしくお願いします。

(撮影:松本美枝子)※県北BCPの写真を除く
(執筆:谷部文香)

Profile

小林敬輔
茨城県日立市出身
KENPOKU PROJECT E(茨城県北地域おこし協力隊)
活動拠点:大子町
屋号:KJ_NETWORK
活動内容:映像を通して観光地の魅力を届ける 茨城県で1番口コミ数の多い映像クリエイター

松本美枝子
写真家、アーティスト
一般社団法人 自由と地図 代表理事、茨城県県北地域おこし協力隊マネージャー
常陸太田市で拠点「メゾン・ケンポク」を運営し、地域のネットワークを構築