アオシマ1/700新田丸製作備忘録
アオシマの1/700新田丸型のキットは奇跡だと思う。
正直、そんなに活躍した感のない大鷹型空母の改装前の貨客船時代のキットであるが、そもそもそんなのが発売されたのも奇跡だし、未だにカタログ落ちしてないのも奇跡です。
タミヤなんて、隼鷹型空母を出してはいるものの、橿原丸型貨客船のキットはだしてないし、普通そうだと思います。
実際に完成し、商業航海もしたことがある新田丸と完成しなかった橿原丸は確かに事情は異なるものの、それでも今の今も、新田丸型を店頭に並ばせ続けているアオシマには感謝です。
説明書の工程も3つしかないし、兵器はちょっとなぁーと言う方にも是非オススメしたいキットではありますが、その中身は現行ウォーターラインシリーズ屈指の難易度を誇るキットでもあります。
軍艦と異なる上甲板上に長いデッキを重ねる構造と作りやすさ、製品としてのコスト、当時の技術的限界等から産み出された特殊なパーツ割はそのままでは綺麗に完成させるのは至難の業です。
以前同型の春日丸を作ったのですが、色々と忘れており、やはり備忘録的にどのように作ったか、自分でも残しておきたいと思い、noteにしたためました。
全く完璧ではありませんが、次回八幡丸を作る時に参考にしたいと思います。
まず始めるのは船橋パーツの分割です。
ハセガワの氷川丸と同様、前面を1枚パーツで再現しようとしてますが、面一の氷川丸と異なり、階段状になってる新田丸型の船橋前面でそれをするのは、当時の技術ではかなり無理があります。
本来なら普通にデッキ毎に分割してた方が絶対良いとおもうのですが、コスト的な問題か設計思想か、一体化してしまっているので、ここで多くの人が困惑する結果になってしまっています。
ここは潔くパーツをデッキ毎に分割してしまいます。
操舵室下は取り敢えずそのまま置いておきます。
新田丸型で一番気になるのがこの部分、5番貨物倉の半分位が上のデッキと被っています。
どう考えても荷役しにくくなるし、こんな設計する訳ないです。多くの人は無視してるみたいですが、ここは修正したいポイントです。
今回は4番貨物倉を切断して短くします。
GAと見比べても、キットは少し長い気がします。
これでも少し被ってしまったのですが、前回はデッキ全体を前に持って行った結果、操舵室上のデッキか寸詰りになってしまったので、確かにそっちの方がデッキの見栄えはいいのですが、やっぱ変なので、ここを切って短くする方がいいと思います。
5番貨物倉自体はハッチコーミングが無かったようで、ここは布を張ってプールにしてたらしいです。なので、ハッチカバーをデッキと面一にする為ハッチコーミングごと削除、フライングデッキ下も形が違うので修正、両脇にある出っ張りは、下のデッキからの階段があるので、削除し開口します。貨物倉おもて側構造物も形状を修正します。
第4、第3貨物倉と同じデッキのプロムナード部の甲板が全く再現されてないので、プラ板を貼ります。
今回は1枚をベタばりしてますが、春日丸の時は左右舷側のみ貼りました。このデッキの甲板室のパーツ上、その方が工作しやすいのですが、今回は甲板室にも手を入れるのでこうしました。
ただ、これ1mm厚のプラ板ですが、前後のデッキと高さを合わせるには9mmか8mmの物にしないとダメです。
今回は目を瞑りました。
プロムナード部の甲板室壁の工作です。
キットでは面一で窓のモールドが均等に並んでいて、しかも真ん中位までしかないのですが、実際は部屋によって幅が異なりデコボコしています。
強度的に元の壁を活かしつつ、幅を変え、窓のモールドを作り、真ん中よりもう少しおもて側まで再現させます。左右で非対称なので注意。
完全におもて側まで再現しても見えないので程々に、とも側でも完成後は非常に見にくいです。
あととも側に左右舷に貫通する通路があるので、これも再現しておきます。
3番貨物倉と左右プロムナード舷側、4番貨物倉からプロムナードデッキのパーツを取り付けます。
3番貨物倉の両舷側のブルーワークは本来船体と面一ですが、キットはブルーワークがはみ出るので、船体と面一になるまで削ります。
プロムナード舷側パーツと船体パーツも隙間ができますが、直線なので、伸ばしランナーとかを接着してふさぎます。
この辺は丁寧にして、船側を隙間なしにすると見栄えがよろしいです。
プロムナードおもて側甲板は現物合わせで、木甲板なので、板の境目をけがいておきます。
船橋パーツから切り離した甲板室前面パーツは、そのままでは幅が合わないので、削って幅を合わせますが、そうなると今度は長さ方向に足らなくなるので、プラ板でスペーサーをはさみ調整します。
また、写真ではまだありませんが、ブルーワークの高さが足らないので、船体側面パーツの高さに合うくらいまでプラ板でブルーワークを足しておきます。
さらに1個上のデッキを仮乗せします。
この時、舷側の窓にデッキの厚みの部分がはみだすので、薄くなるように削っておくのですが、それでも高さが足らないので、下の甲板室に0.5mmプラ板を貼り付け、かさ増ししときます。
ここでプール付近を修正します。
キットのプールの場所には何か箱状の構造物があるだけで、プール感が全く無いので、プールとプールサイドを復元、さらにおもて側甲板室のプール側も壁の位置がもっとおもて側になるので修正します。
ボートデッキ上のおもて側甲板を、GAを見ながらかつ現物あわせで形状を整え復元します。
写真の形で概ね大丈夫なのですが、今回ここが一番失敗した箇所となりました。
船体側面パーツの三連窓の箇所に合うような形状となるのですが、私は個々を甲板の高さと面一になるようにしてしまいました。
一見すると問題ないような感じもするのですが、そこに合わせてブルワークを甲板に沿って設けると、甲板の厚み分、下がはみ出してしまうのです。
文字で書くより写真があった方がわかりやすいのですが、あいにく写真を撮っておらず自分でも残念です。
例えば甲板室を甲板の厚み分かさ上げする方法もありますが、これ以上かさ上げすると外観に影響もあると思われる中、前回春日丸を作ったときに、三連窓の箇所を切り取り、窓の下を少し削り、ブルーワークの高さにできるだけ近づけようとしていたことを思い出しました。
これを使えば、三連窓の高さを下げられるので、ブルーワークもそろえやすくなります。
三連窓切断、このときにブルーワークの高さも少し削って低くします。
おもて側ブルーワークが高くて、見通しがよくなかったので、同時にこっちも少し下げます。
貼り付けるとこんな感じですが、削って面一にします。
GAをみながら、この三連窓の部分って、長さ方向にそんなに長くないな、と思っておもて側を少し削ったのですが、これにより、ボートデッキ上のおもて側甲板のウィング部の後退角が強くなりすぎて、変になってしまいました。
この部分、実際と少し雰囲気は違うのですが、触らない方が良いと思います。
ボートデッキ上の甲板室は窓が全くないので、ドリルで再現します。
また、機関室天窓の左舷側に箱状の物体があるのですが、これはエレベーター機械室です。
ところが、新田丸のエレベーター機械室は右舷側にあるので撤去し、右舷側に新築します。
操舵室の下に甲板を貼り付け整形、左右舷のウィング下は倉庫になっているようなので、箱状の構造物を組んでおきます。
さらにその倉庫下は、ブルーワークと面一な壁がボートデッキにあるので、後で取り付けます。
操舵室の左右に開口部がありますが、ここは整流板(でいいのかな?)があるので後でプラ板を貼っときます。
またウィングの左右側面、及び背面は窓になっているので、彫り込み窓枠を2本中に貼り付け、三連窓にしておきます。
全体図です。
三番倉庫のおもて側にブルーワークがないので、増設しておきます。
やはり操舵室ウィング下がかなり奥まってしまいました。
ここは本来ならほぼ面一になるところなので、次の八幡丸を作る際は気をつけたいと思います。
ここまで来ると、あとは通常通りサフ吹いて、船体、甲板と塗装していきます。
前回の春日丸の際は、デッキを接着せず、甲板を塗装してから接着し、船橋左右側の隙間ができるところは、塗装後パテ埋めし、塗り直す方法をとっていました。
多分、その方がきれいなのではないかと思います。
また、今回、写真をみると、救命艇にカバーが掛かっていない写真が多かったので、救命艇をくりぬき、スウォートを設置しましたが、いまいちな感じになり、色も映えないので、やはりオーニングがかかった状態の方がいいですね。
おしまい。
八幡丸作る際に注意することは、船橋左右ウィング下を、なるべく奥まらないようにすることです。
ちなみに、コンパスデッキに日の丸貼ってるのは、そういう写真があったからです。国旗デカールを半分にして貼っています。
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