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セージの耳打ち#216 高いモンは本音の言い合える友とだけ食おう
世の中には「御馳走」と呼ばれる食べものが多々存在します。
個々に別々の皿で供される場合だと問題ないんですが、それが大皿盛りだとか鍋物だったりしたときはメンドクサイ事態が発生する。
俗に言うところの「割り勘なのにあのヤロー俺より多く食いやがった問題」が勃発するのです。
食い物の恨みは強いので、これは領土問題に匹敵する感情論争に発展しやすい。
あまり親しくない相手との会食時にこれが起こると、精神衛生上まことにヨロシクありません。
最後にひときれ残った場合、「あ、どーぞどーぞ」「いやいや、こちらこそどーぞ」「いやいやいや・・・」といった具合に「心にもない譲り合い」が発生するからです。
本音では「俺のほうが明らかにおまえより食ってないんだから、これを食うべきは俺だ!」とか思っていても、親しくない相手とだとそうもいかず、「空きっ腹を抱えながら腹のさぐり合いをする」という嫌な状況に陥るわけですね。
だから私は遺恨を生むような高級料理は「本音をぶつけ合える真の友」としか食わないようにしてるんです。
そういう相手だと遠慮なくぶつかり合えてホントに楽!
昔、神戸にグループ旅行したときに「しゃぶしゃぶってのを冥土の土産に食ってくべ」という話になりました。
今みたく「激安食い放題」なんてのがなかった頃ですからね、しゃぶしゃぶってのはマジな高級料理でした。
だから「ひとりあたり肉を何枚食えるか」は重大案件。
皿上の肉をまず数え、それを頭数で割って「ひとり⚫枚」というルールを決めました。
さぁそこからが勝負で、不正がなされていないか国税局級の眼力で互いを見張り合うのでした。
と、こう書くとギスギスした空間を想像されるでしょうが、そんなことは全然ナシ。
料理と一緒に、「おまえ! あと2枚だからな!」「わかってら! おまえこそ残り1枚!」みたいな頭の悪いやり取りも味わったのでした。
こういうアケスケな会話は並の付き合いではできませんよ。
腹というのは「料理を詰め込むため」にあるのであって、「鬱憤を溜め込むため」にあるんじゃない。
・・・ってことですわ。
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