セージの耳打ち#159 言わんでイイ事は言うんじゃない!
昔、女性の小説家と打ち合わせをしていたとき、話の合間にこんなことを言ってました。
「最近の子ってさ〜、『大ファンです! いつもブッ◯オ◯で買ってます!』とか悪びれもせず言ってくるのよ〜。も〜、やんなっちゃう!」
多分そのファンは「あなたの著書を読んでます」と言われれば作家は喜ぶと思ってるんでしょうが、作家へ支払われる印税というのは「新刊の売上」の中から捻出されるもの。
だから古本がいくら売れても作家にはなんのメリットもないんですよ。
こういう「悪意なく作家の心を切り裂く発言」はべつに若い世代の専売特許ではなくて、「講演会で会った老紳士から『先生の次のご本はいつですか?』と訊かれたんで教えたら『では早速図書館にリクエストを出しときます』だって」とボヤいてる書き手を前に見ました。
応援してる作家のモチベーションを下げたくなかったら、たとえ実際の入手先が古本屋や図書館であっても、そこのところはボカしときましょう。
「いつもご著書を拝読してます」とだけ言ってればいいんです。
「言わなくていいことは言わないでおく」というのは、多分人間にとって最も大事な事柄なんですよ。
これをみんなが励行したら、この世の揉め事の8割はきっと解決すると思います。
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