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先生おしえて! アメリカのティーンのパーティ事情

アメリカのドラマや映画でよく見る、一軒家で派手に行っているティーンのホームパーティや、学校で開催されているホームカミング&プロムパーティの疑問について、米国籍のジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんに解説していただきます。(ネトフリ編集部)

モーリー・ロバートソン:米国籍のジャーナリスト、タレント、DJ、ラジオパーソナリティ、ミュージシャン、コメンテーター。ニューヨーク生まれの広島市育ちで、日米双方の教育を受けた後、1981年に東京大学とハーバード大学に現役合格。1988年ハーバード大学を卒業。日本を中心に幅広く活躍中。
公式サイト/公式Twitter @gjmorley/公式Instagram @morley_robertson

【自宅パーティ編】

派手なホームパーティは親公認なの?

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アメリカではパーティ文化があるので、ティーンのパーティも結構頻繁にあります。未成年のパーティを自分たちで計画して、広い家を持っている子が友達をノリで集めたりしますね。今だと、ソーシャルメディアで「今から集まるぜ!」って投稿すればすぐに集まってきますしね。

日本とアメリカの文化的な違いは、子供が自分で決めて大人の振る舞いをする年齢がすごく若いんですね。だから例えば13歳、14歳を超えたら、もう自分たちで責任を持って友達や仲間をいっぱい集めていいよということで、親の許可を得ていて、そこに親がいる場合もあれば、両親がどこか旅行に行ったり、映画を観に行っている数時間の間を狙って、仲間を呼んでワイワイやるパーティもあります。

16歳の女性を祝う「Sweet 16 パーティ」

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親が仕切って、子供のバースデーパーティを大々的にやることもあります。アメリカは超格差社会で、富裕層はミリオネアやビリオネアがいる社会なので、そういうときはもう気合を入れて自分たちの社会的地位を誇示するためにも、娘のための盛大なパーティを楽団呼んでやったりとかしていますね。誕生日なのに結婚式みたいな派手なパーティ事例もあったりします。

カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』にも出てくる「Sweet 16 パーティ」というのは、16歳の節目を迎えた娘さんの誕生日を祝うパーティ。Sweetというのは伝統的には“優しい・スイートな女性”という意味で、だんだんと大人になる門出のお祝いですよね。要するに「これであなたも大人だよ」っていうパーティ。昔の日本でいうところの成人の儀式「元服」ですね。カーダシアン家では、お父さんが過剰にセキュリティをしていますが、あれはリアルなんですよ。セキュリティがないと危ない人が入ってくる可能性はあるので。

ただ「Sweet 16 パーティ」は、一般家庭でもやります。友達のほかに、地域の知り合いに声をかけて、みんなに祝ってもらいますね。富裕層の限定パーティということではないです。

パーティでよく登場するドリンクやゲームは定番?

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映画やドラマでよく見る“ポンチ”なんですけれども、これは英語でいうと“パンチ”ですね。日本でいうと大きな丼ぐらいの大きさのパンチボウルというガラスのなかに、赤紫がかった液体が入っているんですよ。

これはかつてアメリカでヒットした、ジュースの素になる商品「Kool-Aid(クーレイド)」という粉がありまして。その「Kool-Aid」を氷と水を混ぜて溶かしてジュースにして、例えばパイナップルを浮かべたりとかしてたかな、僕が子供の頃は。半世紀前のアメリカのホームパーティの風物詩でしたね。

今はそれがパンチに引き継がれていると思うんですけども、サングリアのアルコール抜きみたいな味です。これが中高生向けのパンチになります。大学生以降はアルコール有りバージョンとなってよく出ています。

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映画やドラマでパーティになるとピンポン玉をコップに投げて「イエーイ!」といっている場面があると思うんです。実は私は日本に暮らしてもう30年になるんですけれども、私がアメリカに住んでいた頃はまだなかったです。たぶん“Beer Pong(ビアポン)”と呼ばれるゲームで、要は飲み物ゲーム。入ると飲まなくていいのか、外れると飲まなきゃいけないのかよくわからないけど、ドリンキングゲームだと思います。これによって若い人たちが恥ずかしがって会話がなかなか進まなくても、そういうパーティゲームを通じて打ち解けるようです。

あとは“Spin the bottle(スピン・ザ・ボトル)”、瓶がどっち向きかで当たりの人が飲まなきゃいけないゲームとか。“Truth or Dare(トゥルース・オア・デア)”、自分のプライバシーについて嘘を言っちゃいけない、真実を自分について告白する「真実か挑戦か」というドッキリゲームみたいなのもありますね。

【学校パーティ編】

ホームカミングとプロムの違い

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ホームカミングは、新学期が始まったことのお祝いです。アメリカの夏休みは日本に比べて長くて3か月あります。これは、学生さんは夏の間、農作業をする必要があって働いていたという説があります。そういう長い夏休みが終わって、また学校が再開するということで、ホームカミング=家に戻ってくるという意味合いですね。あとは卒業生のOBやOGも集まってくるという意味もあります。ホームカミングパーティは20世紀初頭に始まったともいわれていて、その儀式では自分の学校のスポーツチームがライバル校と大きな試合をやったりします。ゲームはほぼ全員参加で、その後の体育館でのパーティも込みで参加する傾向があります。

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それともうひとつある学校の大きなイベントがプロムです。「春の訪れ」という意味だったかな。ホームカミングはややインフォーマルで、そんなにドレスアップしなくても入れてもらえるんですけど、プロムはどこかの会場を借りて、服装は女性がボールルームドレス、そして男性がタキシード、あるいはびしっと決めたスーツ。いわば正装をして大人の社交場として来てくださいというものです。

そしてプロムに一緒に行くパートナーですが、「プロム行ってくれない?」と誰かに聞くのは、かなりリスキーなことなんですね。付き合っていないのにプロムには行ってくれないです。だいたいプロムは、熱いカップルが自分たちの愛をひけらかしあう場でもあります。お金持ちはそこにリムジンを契約してふたりで行って夢のハネムーンのような演出をしたりするんですね。あまり人気がない人たちはポツンと孤立して、学校内の社会における人気ぶりで格差がついてしまいます。なので、モテないとプロムには行けないんです。

男性=キング、女性=クイーンじゃない? Z世代における大きな異変

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人気投票で、ホームカミングやプロムの王様と女王様を選ぶんだけれども、やっぱり人気があるとか、美しいとか、成績が優秀とか、生徒会長クラスのリーダーシップを持っているとかいうのがあるんだけど、最近アメリカの若いジェネレーションZ世代において、大きな異変が出ているんですね。

というのは、男性のホームカミングクイーンが投票1位で選ばれたり、プロムに女性の同性カップル、レズビアンのカップルが行くことを認められたり、トランスジェンダーのプロムクイーンが投票で選ばれたりしています。これまでの伝統的な男性女性の役割、何をもってカップルと認めるのか、LGBTQもOKというところに若い人たちは意識が向いているんだと思います。ですからこれからはホームカミングやプロムのクイーン・キングが必ずしも男性女性限定じゃないということですね。

モーリーさんおすすめアニメ『陰謀論のオシゴト』

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陰謀論のオシゴト』という万人に見てほしいアニメがあります。このなかに実はホームカミングが出てくるんですよ。世界の陰謀を一手に引き受けている民間企業のCEOに就任することになったお母さんが日系人で、お父さんが白人の天才科学者で、子供の頃から天才として英才教育を受けたんだけども、社交性が全く身につかなかった主人公の女性科学者がいるんですね。この方は、お父さんに男女交際を禁じられたから、全くモテなかったんです。ホームカミングに紛れ込んでそこで輝いている人たちに豚の血をぶっかけるという“逆キャリー”と呼ばれているシーンがあります。

映画『キャリー』でそういう場面があったんですけれども、自分の発明品やテクノロジーを使って“逆キャリー”ハラスメントをするという、ざまあみろという回想場面が一瞬出てくるんです。要はホームカミングやプロムっていうのは、モテない子にとっては生涯に残るトラウマなんですね。それを観て私を含めて溜飲を下げた人がたくさんいました。『陰謀論のオシゴト』、おすすめです。


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