自分に合うpovo2.0のトッピングはどれなのか、徹底的に考えてみた
au系のpovo2.0を使っています。料金体系がこれまでの従量課金制や毎月一定量のデータ通信容量を使える定額プランとは違って、必要な時にデータ通信容量を購入するという形をとっています。
自分の使い方や利用シーンに合わせて購入できる点や、すべてオンラインでの手続きとすることで販売代理店を介さずにSIMを契約できる点が人気の点です。
povoではこの一定期間利用できるデータ容量(ギガ)や通話無料のオプションのことをトッピングと呼称しているので、ここでもそれに従います。また、データ通信容量のことを「ギガ」と表記している部分があります。
トッピングの種類
使い方や利用シーンに合わせて選べると言っても、選べるトッピングは数種類に限られています。
キャンペーンのものを除いて、普段選ぶことが出来るトッピングは
180日間150GB…12,980円
90日間65GB…6,490円
30日間20GB…2700円
30日間3GB…990円
7日間1GB…390円
という5種類から選ぶことになります。
ここで浮かぶ疑問が、本当に自分に合ったトッピングを選択できているかという点です。
povoのトッピングのコスパ計算
私の場合は自宅にはネット回線を引いているので、au回線のデータ通信を使うのは外にいる時だけになります。なので、長期間に渡って使えるものが一番コスパがいいのではないかと予想します。
上にあるトッピングで言うと上2つの
180日間150GB…12,980円
90日間60GB…6,490円
のどちらかを選ぶことになります。この2つのうち、どちらがよりコスパがいいかを比べてみます。
①まず単純にデータ通信容量と価格を日数で割って日割り計算(GB/日、円/日)してみます
180日間150GB…12,980円
→1日あたり0.83GB…72.1円
90日間60GB…6,490円
→ 1日あたり0.67GB…72.1円
これで、72.1円払って使える1日当たりのデータ容量に差があることがわかります。
1日あたりの出費は変わらないのに、180日間150GB…12,980円のトッピングの方が1日に使えるデータ容量は多いということになります。
②次にGBあたりの価格(円/GB)を見てみます
180日間150GB…12,980円
→86.5円/GB
90日間60GB…6,490円
→ 108.2円/GB
ということになり、180日間…のトッピングの方がGB当たりの価格が安いことがわかります。
という2つの結果から普段は[180日間150GB…12,980円]のプランを購入していました。
期間限定トッピングではどうか?
しかし、povo2.0では期間限定や増量のトッピングが登場することがあります。
このnoteを書いてある時点では、
365日間120GB…20,000円 期間限定
365日間12GB …5,800円 期間限定
180日間190GB…12,980円 増量
90日間65GB …6,490円 増量
30日間40GB …3,800円 期間限定
という5つの選択肢になっています。
こうなると、比較が少々ややこしくなります。先ほどの①日割り計算と②GB当たりの価格を計算するだけでは、コスパが比較できなくなることがあるからです。
試しに、セルラーモデルのタブレット向けの長期間低容量プランは除いて、先ほどの計算をやってみましょう。
①日割り計算
365日120GB…20,000円
→1日当たり0.33GB…54.8円
180日190GB…12,980円
→1日当たり1.06GB…72.1円
90日間65GB…6,490円
→1日当たり0.72GB…72.1円
30日間40GB…3,800円
→1日当たり1.33BG…126.7円
これを見るに、1日当たりの料金が最も安いのは365日120GBのトッピングです。しかし1日当たり多くのGBが使えるのは30日間40GBのプランです。
②GB当たりの価格
365日120GB…20,000円
→166.7円/GB
180日190GB…12,980円
→68.3円/GB
90日間65GB…6,490円
→99.8円/GB
30日間40GB…3,800円
→95円/GB
GB当たりの価格が安いのは180日190GBのトッピング。逆に高いのは365日120GBのトッピングということになりました。
これらの結果から、
1日当たりの価格が安いのは365日120GBのトッピング
GB当たりの価格が安いのは180日190GBのトッピング
ということがわかりました。
では、選ぶべきはどちらなのか?ここで消費者としての不安が出てきます。
「1日当たりの価格が安い365日120GBのトッピング」を選んだ場合、期間内に120GBを使い切ってしまった場合、365日目までに新たなトッピングを購入しなければならず、結果的に高くつくかもしれません。
「GB当たりの価格が安い180日190GBのトッピング」を選んだ場合、190GBを使い切らなかった場合の損得の計算はどうなるのでしょうか?
実際、povo2.0を使い始めてからこれまでに何度もトッピングを使い切らずに期間を終えたことがあり、損しているのではないかと、気になっています。
①日割り計算と②GB当たりの価格を計算するだけでは、どちらがいいのか決め切れない場合はそうすればいいでしょうか?
正確に比較するには消費ペースを考える必要がある
比較するパラメータを増やしてみます。私の使い方で、実際どれくらいの消費ペースになっているかを考えます。
消費ペースの確認
私は前回のキャンペーン期間中に期間限定トッピングとして登場していた[180日間190GB]のトッピングを購入していました。
現在、そのトッピングの残りは74日間、GBは137.34GBとなっています。
つまり、これまでに平均して0.50GB /日のペースで利用していたことになります。これを条件に加えます。
比較するトッピングの確認
次に比較するトッピングを確認しておきます。期間限定のものを中心に、7日間1GBを加えた以下の5つです。
365日間120GB…20,000円 期間限定
180日間190GB…12,980円 増量
90日間65GB …6,490円 増量
30日間40GB …3,800円 増量
7日間1GB …390円 普段からある
どれくらいで使い切るかを計算
消費ペースを元に、それぞれのトッピングのデータ通信容量(GB )をどれくらいで使い切るかを計算しました。
365日120GB…20,000円
→242日で使い切る
180日190GB…12,980円
→使い切るのに382日かかる(ギガ余る)
90日間65GB…6,490円
→使い切るのに131日かかる(ギガ余る)
30日間40GB…3,800円
→使い切るのに81日かかる(ギガ余る)
7日間1GB…390円
→2日で使い切る
実際のコスト計算とコスパの逆転
上の使い切るまでの日数を利用して使い切りと使い残しを加味した、実際の期間と、実際に使えるGBの予想値を計算しました。
それぞれのトッピングの私にとっての真の姿を書き出してみるとこのようになります。
365日間120GB…20,000円→242日120GB
180日間190GB…12,980円→180日89.4GB
90日間65GB…6,490円 →90日44.7GB
30日間40GB…3,800円 →30日14.9GB
7日間1GB…390円 →2日で1GB
これを元に、日割り価格の計算をしてみると、
①日割り価格
242日120GB…20,000円 →83.6円/日
180日89.4GB…12,980円 →72.1円/日
90日44.7GB…6,490円 →72.1円/日
30日14.9GB…3,800円 →126.7円/日
2日で1GB…390円 →195.0円/日
ということで、データを使い切らないトッピングは当初の計算と同じですが、使い切ったトッピングはコストが上昇しています。
特に、365日120GBは当初の計算では54.8円/日だったものが、83.6円/日にまで上昇しています。
それによって180日190GBのトッピングとコスパが逆転してしまいました。
これらの結果から、推定の年間支出を考えると以下のようになりました。
それぞれのトッピングを買い続けた場合の年間支払い
(括弧内は月額換算)
242日120GB…20,000円
→¥30,165.3(¥2,513.8)
180日89.4GB…12,980円
→ ¥26,320.6(¥2,193.4)
90日44.7GB…6,490円
→¥26,320.6(¥2,193.4)
30日14.9GB…3,800円
→¥46,233.3(¥3,852.8)
2日で1GB…390円
→¥71,175.0(¥5,931.3)
このようになり、私の消費ペース(0.50GB/日)では、
180日190GB…12,980円
90日間65GB…6,490円
のどちらかを選ぶのがいいということがわかりました。
使い残したギガの分、損したように見えますが気にする必要がないということですね。
一方、期間内にギガを使い切ってしまった場合は高額になっていきます。
つまりpovo2.0は
ギガを余らせるかピッタリ使い切る場合は定額プランの姿をしていて、
期間内に使い切ってしまった場合はプリペイド式プランの姿をしている
ということがわかりました。povo2.0の料金がどことなく計算しにくいのはこの2つの姿があるからでしょう。
ここまで、大層な発見をしたかのような口ぶりで書いてしまい恐縮ですが、次はその、期間内に使い切ってしまった場合に実質の料金がどうなるのかをくわしく考えてみます。
消費ペースと実質コストの関係
ここで考えをまとめるとpovo2.0では、設定されたGB消費ペースを超えると実質のコストが上昇することがわかります。これについて、もう少しわかりやすく表現していきたいと思います。
比較するプランが多いとややこしくなるので、私が迷っていた3つに絞ります。
365日間120GB…20,000円 期間限定
180日間190GB…12,980円 増量
90日間65GB…6,490円 増量
この3つのトッピングの実質の負担するコスト(価格)が、GBの消費ペースによってどのように変化するかを計算しました。
コストの方程式を考える
消費ペースを$${x}$$、実際の日割り価格を$${y}$$として、
⑴GBを使い残すかピッタリ使い切る場合
⑵GBを期間内に使い切る場合
に場合分けして方程式に直すと、以下のようになります。
(いや〜な数式を飛ばしてその下のグラフだけ見てもらって構いません!)
365日120GB…20,000円
yの範囲は$${0 < y \leq 20000}$$で
⑴GBを使い残すかピッタリ使い切る場合
つまり$${0 < x \leq \frac{24}{73}}$$のとき
$${y = \frac{4000}{73}}$$
⑵GBを期間内に使い切る場合
つまり$${\frac{24}{73} < x}$$のとき
$${y = \frac{500}{3}x}$$
180日190GB…12,980円
yの範囲は$${0 < y \leq 12980}$$で
⑴GBを使い残すかピッタリ使い切る場合
つまり$${0 < x \leq \frac{19}{18}}$$のとき
$${y = \frac{649}{9}}$$
⑵GBを期間内に使い切る場合
つまり$${\frac{19}{18} < x}$$のとき
$${y = \frac{1298}{19}x}$$
90日間65GB…6,490円
yの範囲は$${0 < y \leq 6490}$$で
⑴GBを使い残すかピッタリ使い切る場合
つまり$${0 < x \leq \frac{13}{18}}$$のとき
$${y = \frac{649}{9}}$$
⑵GBを期間内に使い切る場合
つまり$${\frac{13}{18} < x}$$のとき
$${y = \frac{1298}{19}x}$$
これらのように方程式に表すことができます。
それぞれの方程式をグラフすると以下のものになります。
料金体系をグラフ化
これでは増加が急すぎて読み取れないので、y軸だけメモリを対数に直します。
それぞれ
赤色→365日120GB…20,000円
青→180日190GB…12,980円
緑→90日間65GB…6,490円
です。
y軸(上下方向)が実質の日割り価格(円/日)
x軸(左右方向)が消費ペース(GB/日)
もう少し、価格が変化する特徴的な部分を拡大します。
このうち、直線が曲線に変化している部分を抜き出したものが下のものグラフです。
3つのグラフで、線が真っ直ぐになっているところが日割りコストが最安の部分です。つまり、契約期間の満了までギガを使えた場合の料金になります。これは料金を日数で割った数字と同じです。
その直線の終わりからみぎ方向、消費ペースが大きく(1日に使うGBが多く)なっていくと、実質の日割り価格$${y}$$が突然大きくなる部分があります。
これが、契約期間内にGBを使い切ってしまう場合のコストの増大です。グラフはy軸のみメモリが対数となっています。実際には直線的にコストが増えていきます。
このグラフは以下のリンクからご覧になれます↓
まとめ:povo2.0は消費ペースによって価格が変化する
ここまでを整理すると、povo2.0のトッピングは、
期間(期限)
GB量
価格
の3つのパラメータがあります。
一見すると、期限かGB量を選んで、それに対応した料金を払う定額の料金体系に見えますが、本質的には消費ペースによって実質の価格が変化するような構造になっていることがわかりました。
今日の結論はこの部分
ここまであたかも本質を見抜いたかのように語らせていただきましたが、これはGBを購入する形であることから発生している、言ってしまえば当たり前なことです。
「3日分の食料と思って買ってきたのに、一晩で食べてしまった」という話と同じであって、わざわざ太字で書いて自分が見つけたアピールをするなと叱られが発生しそうですが、素人ながらにこのpovo2.0の料金体系には感心しました。
ここからは感想タイムなのですが、これまで携帯電話料金の料金体系は
①従量課金:使った分だけ払うプラン
②定額課金:一定期間決まった容量だけ使える定額プラン(使いすぎたら通信制限)
③プリペイド式:払った分だけ使える
がありました。③のプリペイド式は、2000年前後から登場し、2012年ごろに各社が概ね終了しています。小中高生の時代に利用していた方もいらっしゃるかもしれません。スマホ登場以後はほとんどが定額制に移行します。
スマホの定額制は、基本料金に合わせてスマホの本体代金を合わせる仕組みとなっていて、中には複雑な抱き合わせ契約によって本来より高価な料金となる一方で、他社からの乗り換えには特典を厚くするなど、料金体系の分かりにくさが問題となっていました。
そこで、菅義偉政権時に不明瞭かつ高止まりしているとして料金体系にメスが入った訳ですが、その中でauが出した答えのひとつがプリペイド式への回帰だった訳です。
消費期限付きプリペイド式を「トッピング」と言い換えて、「一定期間使える定額プラン」と「払った分だけ使えるプリペイド式」が切り替わる消費ペースを絶妙にコントロールすることで、auの有利なように価格設定を行うという戦略の一端が見えた気がして興味深いです。
また、povo2.0の支払いはクレジットカードのみなので、支払いのタイミング的にはプリペイドには見えないというのも、大事なポイントかもしれません。1ヶ月ほど支払い次期が先延ばしされることで、消費期限付きのプリペイド式であることが意識されません。
意識はさせないけど消費ペースが設定以上になると実質料金が高額になっていく訳ですから、上手いこと考えたなぁと思います。
ということで、以上、povo2.0の料金のことを真剣に考えてみたというお話でした!
・
コスト計算に関してはあくまで私の消費ペースでの損得計算になっています。365日120GBのトッピングがハマる方もいると思います。
期間限定の365日120GBのトッピングがあればの話ではありますが、私もデータ通信を0.3GB /日ほどに落とせれば年間で6000円近く安くなるという計算になるので、真剣に考えたいところです。移動中に動画や音楽をストリーミングで聴くのをやめようかな〜?
とりあえず、私にとってpovo2.0は1ヶ月に15GB使える2200円のプランということがわかったので、今後、他社との料金比較の目安にしようと思います。
ややこしい話を最後まで読んでいただきありがとうございました!
書いているひと:TwitterX@YoneharaRyuhei