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Pixel6/6Proでは5000万画素の写真は撮れない

記事タイトル釣りではありません。マジです。

ここ数か月間、GoogleのスマートフォンPixelの最新機種であるPixel6と6Proについて本体サイズやスペックが少しずつリークされていましたが、昨日10/19に正式な発表があり発売は2021年10月28日であると公表されました。予約はすでに開始しています。

この発表で大盛り上がりかといえばそうでもないような感触です。リークされていた情報よりスペックが低かったとかではなく、19日の午前2時から行われたAppleのMacBookPro発表会の内容が凄すぎたせいだと思います。

本題は、そのMacBookProの陰にかげMacBookProに隠れて発表されたPixel6についてです。

このnoteで伝えたいこと:Pixel6とPixel6Proでは5000万画素の写真は撮れません。

これは本当に注意が必要な話だと思ったのでしっかり書いておこうと思います。

きっかけはこちらのツイート。


山川さんはITmediaというその名の通りインターネットテクノロジーに関する記事を書いているメディアの記者さん。Twitterを見てたらたまたまこのツイートが回ってきました。

Pixel6と6Proに使われているイメージセンサーの話をしていて、簡単に言えばPixel6とPixel6Proの広角カメラはセンサーこそ5000万画素ですが、実際に撮れる写真は約1250万画素になるということです。

また、6Proに搭載されている4800万画素の4倍望遠カメラでも写真自体は1200万画素となるとのこと。これについては他のソースは確認できませんでした。続報が待たれる。(*2021/10/22 14:30 「Googleによるミスリード」の項目に少し情報追加しました。)

え?あんなに5000万画素の広角カメラ!4800万画素の望遠カメラ!!って言ってたのに???

私もめちゃくちゃ驚いてます。

Pixelシリーズのカメラは評判良いですし、それが高画素化するということでかなり興味を持って情報を追っていたんですが、それでもこんな、そんなことある???今まさに動揺してます。

正直驚きました。スペックの正式な発表後にも関わらず、正しい情報を書いているメディアがほとんど無かったということです。

しっかり書いておかないと誤解を招くと思いますが、私はPixel6のカメラが高画素化されなかったことに驚いているのでなく、正式発表された製品の情報をほとんど全てのメディアの記者が誤解し、誤解したまま記事を書き、それを読んだ消費者が性能を誤解したまま製品の予約・発売を迎えようとしていることです。

多くの方がカメラの画素数に関して間違った情報を元に購入しようとしているのです。

これはとんでもない事態のように感じてます。どう考えても製品の優良誤認を招いています。大げさではなく消費者庁から注意が出るレベルでは無いのかと感じています。

どうしてこうなった?

そもそもPixel6の宣伝方法に問題があったのではないかと私の意見です。

おそらくGoogleの戦略だと思いますが、今回のPixel6に関してはGoogleとその他のメディアによってスペックや本体サイズ、デザインなどが少しずつ明らかになるという、情報の飢餓感を煽るような宣伝を展開していました。

こちらの記事などがそのあたりは詳しいです。

こうした宣伝方法によって、おおまかに書けば

Pixel6に使われるセンサーが判明!

使われるセンサーの画素数は5000万画素だ!

Pixel6は5000万画素!高画素化だ!

という伝言ゲームが始まり、多くのメディアが正式発表後もそのスペックを誤解したまま記事を書いてしまったということです。もっとも中にはわかっていてあえて「5000万画素の広角カメラ!」と書いているところもありそうですが(邪推)。

また、Googleが公式に用意しているスペック表にも、50メガピクセル(=MP,50MP=5000万画素)と表記したままになっています。これもおかしい。公式がこれでは間違って記事になってしまうのも仕方ないのかも。

Pixel6 概要

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Pixel6のメインカメラである広角カメラは、実際には

5000万画素のセンサーを使った1250万画素のカメラ

なのです。この辺り、どうして画素数が4分の1になっているのかは説明が必要でしょう。

実際の画素数

今回のPixel6および6Proに採用されているのはSamsung製のセンサーと噂されています。まだ製品を解体分析した記事は出回ってないようですから、これは私の思い込みですがおそらくSamsungの「Isocell JN1」(もしくはGN1あたり)という5000万画素のスマホ向けのセンサーを積んでいるのではないかと思います。

6・6Pro共通のメインの広角カメラのイメージセンサーは薄型のJN1を使うことでカメラ部を薄型にして、6Proに搭載されている潜望鏡型の望遠カメラはGN1という感じではないかと勝手に推測しています(GN1JN1両方ともピクセルビニングが可能※センサーの特徴については後述)。

(ここは未確認の情報なので、私の思い込みの可能性もあります。さらに未確認情報ですが Samsung ISOCELL GN1ではないかという話も)。

Isocell JN1の公式ページ↓

で、この製品の特徴のひとつはピクセルビニング(pixel binning)という技術。

簡単に言えば4つのピクセルを仮想的に1つにすることで、光量が暗い場所でもより多くの光を集められるという機能です。

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上2枚:Isocell JN1の公式ページのスクショ

このイメージセンサー自体の記事も多く出回っているので詳細はそちらに任せたいのですが、簡単に言えば

光量が多い日中は5000万画素のセンサーとして機能し、
光量が少ない夜間は1250万画素のセンサーとして機能する

ということ。

冒頭の山川さんのツイートで言っている

「2.4μmピッチの1250万画素」として使うモード

という言葉の意味がこれで明らかだと思います。

そして、今回のPixel6およびPixel6Proはこの夜間のモードしか使わないので、日中も1250万画素で撮影することになるということです。

何のためのピクセルビニングや!と言いたくなりますが、このセンサー自体がかなり薄型化しているのでその恩恵はあるという判断したのではないかと推測します。

この記事内に書かれたサムスンの説明として、

「ユーザーは非常に解像度の高いセルフィーやグループ写真を撮影できるだけでなく、最大4Kの高ズームの動画も撮影できる。また、センサーを小型化することで、カメラモジュールの高さを約10%下げられるので、次世代スマートフォンをよりスリムにできる」
(括弧内記事より引用)

ということで、このサムスンのIsocell JN1というセンサーはピクセルビニングのほかにも薄型であることも特徴となっているのです。実際にPixel6を見るとカメラ部は分厚くなっているものの、思ったより薄い印象。公式ページの仕様をみると8.9mmとのこと。

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これは嘘じゃないよね?(公式ストアの概要をスクショ)

以下の記事によればiPhone13のカメラ部分を入れた厚みは10.35mmということなので、比べるとかなり薄い。

iPhone 13はカメラ部分の厚さが10.35mm
(記事内より引用)

日本のメディアはどう報じているか

ではこの件について、他のメディア、特に日本のメディアはどう言っているか。「Pixel6 5000万画素」でググって出てきた記事をざっと見てみると、

といった感じ。(ちなみに上の2つは私のツイートです)

このように、私の観測範囲では「5000万画素のイメージセンサーを搭載」もしくは「1250万画素の広角カメラ」と正確に伝えるべきところを、各社揃って「5000万画素の広角カメラ」と言い切っていて、記事内に「1250万画素」という言葉すら登場しない場合がほとんどです。

私の観測範囲が狭かったりフィルターバブル的な現象で読んでいる記事に偏りがある可能性もあるので、みなさんもPixel6関連の記事も注意して読んでみてください。もし違った状況が観測できましたらコメント欄、Twitterなどにリプお願いします。

あまりにも他のメディアがメインカメラは1250万画素の広角カメラであることを報じていないので、逆に山川さんが何かしらの勘違いをしているのではないかと疑いましたが、「Pixel6 12.5MP」で調べて出てきた海外のメディアでも

というように、撮れる写真自体は1250万画素であると報じています。

それって5000万画素のカメラって言えるんですか?

ちなみに上のツイートの1枚目の画像は以下の記事の一部分のスクショ
(*ツイート内でサイト名を「AMAZRADIO」と表記していますが正しくは「AWAZ THE VOICE」でした。)

The Pixel 6 comes with a 50MP main camera sensor which bins the images down to 12.5MP photos.
(記事からの引用)

2枚目は以下の記事の一部をスクショしたもの。

Both phones have a 50MP main sensor to output 12.5MP photos. The sensor has 1.2 µm pixels with an f/1.85 optically stabilized aperture.
(記事からの引用)

それぞれの記事で、撮れる写真は12.5MP=1250万画素であるとしっかり書いています。(それぞれがどういった系統のメディア、どの程度信頼がおけるメディアなのかは正直わかりません。)

ちなみにこのnoteを書きながら見つけたのはB&Hの以下の記事。

Both phones output 12.5MP stills from the main sensor, can shoot up to 4K 60 fps video, and feature Google’s auto HDR image processing.
(記事からの引用)

天下のB&Hがこう言ってんだから、間違いない。

そして最後に切っ掛けとなるツイートをした山川さんが書いたITmediaの記事。

広角カメラは1/1.31インチとスマートフォン向けとしては大型で、4つのピクセルを1つに統合することで2.4μm相当の開口度を持つ約1250万画素のセンサーとして使用する。
(記事より引用)

さて、こういったところが今回このnoteを書くに至った全ての経緯です。自分もすっかりメインカメラが5000万画素のカメラだと思っていたので、結構びっくりしました。

「Pixel6 5000万画素」で調べて出てくる日本語記事の内容もかなり不正確で不親切ですが、特にYoutubeの動画では「Pixel6 高画素化!」というような内容のままになっています。

¥そして予想ですが、ここから数日でこのnoteのように「注意!Pixel6では5000万画素の画像は撮れない!」というような動画が流行ると思います。リーク情報まとめのような動画や記事によって間違った情報が広まっている一方、正しい情報を届けることも必要です。

ここから2~3日でITmediaのように正確な表現の報道が増えるとは思いますが、一度「5000万画素のメインカメラ!」とぶち上げてしまったメディアがどういう態度で今後の続報を書くのかはしっかり見ておこうと思います。

Googleによるミスリード

ここからは雑談なので新事実はありせんが、雑談なので雑談します。

まず今回のことで各メディアの記者のリテラシーや能力が偶然にも明らかになってしまった感があります。Googleのミスリードがあるので、正直かわいそうだなと思う面もありますが、、。

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公式ストアの画像やスペック表は差し替えるべきです。

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実際のスペックは、

超広角カメラ1200万画素→1200万画素

望遠カメラ4800万画素→1200万画素

広角カメラ5000万画素→1250万画素

(望遠カメラについては今の所他のソースを確認できていませんが、)どうかんがえても説明がおかしいですよね。100歩譲って英語圏ではイメージセンサーのピクセル数で表記するのが当たり前だったとしても、日本語ローカライズのタイミングで修正するべき事案です。

〜〜〜〜〜以下、少し情報を加筆〜〜〜〜〜〜

執筆時は望遠カメラの画素数に関する情報がなかったのですが、こういったツイートを見つけたので追加しておきます(2021/10/22、14:20に加筆修正などを加えました。)

〜〜〜〜〜〜〜加筆ここまで〜〜〜〜〜〜〜

その点、私の中ではITmediaとその記者である山川さんの株が上がる結果となりました。

今回のPixel6に関してはメディア各社のやり方とそしてGoogleの宣伝方法が間違っていたのではないかと思います。また、優しい目で見ればメディア各社もAppleの発表会の方にリソースを割いてしまったというのもあるかもしれません。

高画素化の競争はそろそろ終わっていいんじゃない?

もう一度言っておきますが、私はPixel6が高画素化しなかったことに一言申したいのではなく、間違った情報がそのまま広まって、その情報を信じた人がたくさんの人がすでに予約をしてしまっている点が問題だと考えています。

少しづつ情報をリークするという方法をとったGoogle、PVがとれるから出回った情報をそのままにしているメディア、そしてその遠因となっているカメラの高画素化。特にスマホのカメラの高画素化競争はもうそろそろやめてもいいんじゃないかと思います。

カメラにはその性能を測るためのいくつかのパラメーターがあります。例えばF値や焦点距離、センサーサイズ、そして画素数。この中で分かりやすいのが画素数です。数字が大きければ良い訳ですから。

センサーサイズの表記は「1/1.31型」などのように逆数になってしまうし、画素ピッチで書かれても分かりにくい。焦点距離が大きければ画角が狭くなるのも直感的ではないし、F値も1.2だか5.6だか何を言ってるか分からない。

それに対して画素数はシンプル。多いのが正義!多ければ売れる!売れるから作る!作るから技術が進歩してさらに細かくなる!細かくなるから売れる!

このサイクルがある限りイメージセンサーを作るソニーやサムスンの利益になる訳ですから、広告費で運営されるメディアも揃って傘連判状に呪われた血で署名し続けるわけですよ、知らんけど。

スマホの最適解=1200万画素?

今回の事で意識されるであろうことは、スマホのカメラのセンサーは1200万画素付近が最適なのではないかという事。AppleがiPhone6s以降ずっと1200万画素なのは、その確信があるからではないかと考えずにはいられません。そして今回Googleもやはり1250万画素が美味しいと判断した訳ですから。

Pixel5も1200万画素でしたが、5000万画素のセンサーを積みつつ1250万画素に留めたのは何か理由がありそう。

(ここからは私の勝手な推測です)

5000万画素だとHDRなどの処理には重すぎるのかもしれません。処理能力による限界なのであれば、Pixel7や8では高画素化になる可能性もあります。

もしくはGoogleは機械学習による画像の高画素化に自信があってわざわざ重たいデータを保存する気がないのかもしれません。いつでも高画素に再サンプルできるよと。それでも5000万画素という表記は間違っていますが。

もしくは邪推ですがGoogleのクラウドストレージGoogle OneやGoogle Photoに5000万画素のデータ量の多い画像が保存されるのを懸念していたり?

どっちみち写りには期待してます!

商品の性能の説明としてはかなり不適切、限りなく黒に近いグレーな宣伝をしている状態ですが、センサー自体が大型化しているのは間違いないようなので、写真の出来栄えはめちゃくちゃ良いのではないかと思います。その点は間違いないと思います。

さて、Pixel6に関しては1250万画素と聞いてむしろ欲しくなりました。重ねて書いておきますが、あくまで誤った情報をもとに購買の決定をした人がかなりいると考えられるところがダメなんです。ほんとに。

望遠側のカメラがどうなのかは英語圏の記事にないか探してみます。

個人的にはNikonのD700という1200万画素のCCDセンサーCMOSセンサーを積んだ一眼レフカメラが大好きでよく使っているのですが、D700とa7s3とiPhone13、そしてPixel6という概ね1200万画素のカメラたちをいつか比較してみたいなと思いました。

そんなところで今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます!

書いている人:@YoneharaRyuhei

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今後どうなることやら。画像は2021/10/20 20:10の検索結果

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よねはらりゅうへい
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