謎の多い「エネルギー管理研修」参加記録

エネルギー管理研修とは


エネルギー管理士(通称:エネ管)という国家資格をご存知でしょうか?
世の中の工場のうち、規定量を超える熱や電気のエネルギーを使用している工場は、「第一種エネルギー管理指定工場」と扱われます。
規模によるものの、第一種エネルギー管理指定工場ではエネルギー管理士の免状持ちの人から、エネルギー管理者を認定する必要があるのです。
よって、そこそこ大きな工場では必ず配置が必要になるのがエネルギー管理士なのです。

エネルギー管理士へのなり方


そのエネルギー管理士になるにはどうすれば良いのかと言うと、

[1] エネルギー管理士試験 に合格する。
[2] エネルギー管理研修 を修了する。

という2パターンがあります。

[1]の試験については豊富な情報があります。
王道の取得パターンです。
一方、[2]は、誰でも参加できる研修では無く、
3年の実務経験の証明が必要だという条件があり、
一念発起して資格を取るぞー!みたいな人は対象外という事情から、
情報は極端に少ない印象です。

会社からの指示や、募集で受ける人が殆どだと思いますが、
そのような人の中で、
管理研修ってどんなもんなの?
っていう疑問を解決すべく、私の経験を基とした情報を記載致しました。

エネルギー管理研修の概要

エネルギー管理士試験と同じく、「熱」か「電気」の2分野どちらかを選んで研修に応募します。
研修という名前ですが、講師の話を聞いてるだけで修了できるわけではありません。
具体的には月曜日から土曜日まで勉強して、日曜日に4科目からなる試験を受けることになります。

その合格水準は公表されていないものの、
2021年の実績では受験者920人(申込者936人)に対して修了者は563人であり、合格率は61.2%でした。

よって、だれでも受かる特別教育や技能講習的なものではなく、
普通に落ちる試験だと理解したほうがいいでしょう。

【日程・期間】
・12月の上旬に1週間(月曜から日曜日まで)
【費用】
・7万円
【条件】
・実務経験が3年あることを規定の証明書に書いて提出する。

また試験は、本家エネルギー管理士試験がマーク式なのに対し、管理研修の修了試験は記述式です。

選択すべきは熱なのか電気なのか

私は会社の方針もあり、熱で受けました。
その直前に電験3種に合格していたので、電気もそこそこ分かっている前提で話しますが、
過去問やテキストを見る限り、電気分野の難しさは基本、電験3種と大して変わりませんが、計算はエネルギー管理士の方がちょっと難しいと思います。
よって、以下のような選択をお勧めします。

・業務は電気分野で、電験3種以上を持っている → 電気
・業務分野は電気だが、得意意識はない → 熱
・熱のほうが馴染みがある → 熱
・どちらも詳しくない → 熱
・あんまり予習とかしたくない → 熱

熱だらけです!なぜこんなに熱を推奨するのか??というと、試験内容だけでいえば熱の方が概念の理解がしやすいからです。
正直、全くの初学者が1週間で電気理論を理解するのは大変です。
というか多分無理です、予習が要ります。
そして、微妙に電気を知ってるけど、あんまり得意じゃない場合も熱分野で受けた方が良いです。
なんか勿体ない気がするかもしれないですが、大丈夫です、共通課目で、三相交流の消費電力についての簡単な問題が出たり、電気の知識は全くの無駄にはなりません!

また研修は座学期間がありますが、その講義が必ずしも良質な講義であるという保証はありません。
実際、全然ダメな講義もありました。
研修の講義で全て理解しようと思っていると期待を裏切られる可能性大です。

実際の研修内容

研修の準備

研修は12月ですが、11月にテキストが郵送で届き、事前に勉強しておくことを推奨されます。
ですが、熱分野を受けた私の意見で、
熱分野だけに限って言えば、
高校で物理を選択していたレベルの知識があれば予習は無勉でもいけます。

そもそも、予習をしようとテキストを開いても、
内容が膨大で頭に入ってきません。
ならば、エネルギー管理研修の過去問をやるべきか?というと、
書籍を入手するのは困難で、異常に高値の中古本をオークションなりで落とすことになります。
で、後で詳しく言いますが、別に予習しなくてもいいです。

研修の内容

月曜日から日曜日まで開催され、最終日は試験です。
試験は電気分野も熱分野も4課目あります。

課目合格制度もあります。
一部合格であれば、次年度は残りだけを受けることができます。

会場は商工会議所でした。
参加者70人くらいは居ました。当時コロナの影響もあったせいかどうかはわかりませんが、基本的に他の参加者とは挨拶程度の会話しか交わすことはありませんでした。
まぁ、グループワークとかそういう研修ではもちろんないので、そんなもんかと思います。

初日から土曜日まで数名の講師が入れ替わりで4課目に関係する内容を講義されます。
私の時は、近隣の大学の先生や企業の方でした。
前述のテキストを使うのか、パワーポイントのスライドを配布されるのか、その講義スタイルは割とバラバラです。

そして、講師の当たり外れは間違いなく有ります!
正直講義が何言ってるかわからなかったり、口頭説明だけでテキストもスライドも無かったり、スライドの配布がされなかったりすると、その課目の試験難度は急上昇します。

しかし、安心してください。
試験科目というと、必須課目と選択課目(正確には選択問題として出題されます)みたいに分かれています。
熱で言えば熱力学や燃焼の課目は必須ですが、熱利用設備に関しては複数の問題から選択になります。
なので、わけわからん講義だった課目の問題は捨て問として省いても良いわけです。

そして、おそらく必須課目については実績のある講師が長年担当されているような印象です。
10年以上前に受けた上司の際の資料を見たら、私の時と同じ講師でした笑

経験からの情報と考え

予習無勉でも良い理由

私はその年、電験3種を受験していて、ずっと電気の勉強をしていましたが、
エネルギー管理研修を熱で受ける予定はしてなかったので、予習は全然しませんでした。
でも結論から言うと、高校当時から理系だった人なら、
予習は別にしなくてもいいです。
少なくともエネルギー管理研修の修了試験に出題される熱分野の問題は、計算も単純でパターン化されていて、そんなに難しい計算はありません。
また、実際のところわかりませんが、試験はマーク式ではなく記述式であることから、考え方が合ってる場合などは部分点があるものと思われます。

大問の前半で間違えたら後半に波及するような問題がありますが、おそらくそのあたりは配慮されていると思います。
なぜかというと・・・
会社で受かった人の話を聞く限り、「完璧にできたのは5割もなかった」とか言ってる人がほとんどなのに、皆受かってるからです。

ただ、計算問題だけじゃなくて暗記問題があるのでは?と思われたと思います。
これについてはその通りです。
しかし、事前に送られてくるテキストは電話帳みたいなボリュームがあります。
もちろん試験のためのみならず、知識をつけることも目的として予習する分にはどんどんやればいいと思います。
一方で、上で書いたようにハズレ講義だった選択問題課目は、実際の試験では選ばない可能性が高いです。
試験に受かることだけ考えるなら、予習時点はどこを重点して勉強するべきか狙いを絞ることができず、膨大なテキストを全部読む勢いでやるしかありません。
これは試験合格だけの観点でいうなら効率が良くありません。

また、講師陣は修了試験の内容を完全には知らないとしても、どのあたりが出題される候補なのかはある程度ご存知なようです。
「出るかもしれないらしいので、やっておきます」というセリフを何度か聞きました。
研修中はそのセリフを聴き洩らさず、その部分を重点的に勉強すればOKです。
なので、研修中は過去問や問題演習を自主的に内職している人がいますが、講師の話は聞いた方が良いです。

研修期間は勉強しましょう!

前知識がなくても予習は無勉でOKとしましたが、研修期間も無勉では合格するのは難しいです。
上で書いたように、講師の「このへん出るかも」コメントを聞き逃さず、重点的に確認しておきます。
家に帰ったら講義の復習をめちゃくちゃやりましょう。

エネルギー管理研修は全国で数か所、同時開催されますが、主要都市から遠ければ、近隣にホテルをとって参加することを推奨します。
最低でも毎日2時間くらいの勉強時間が確保できなさそうであれば、迷わずホテルに泊まりましょう!
移動で時間が掛かってしまい、毎日の勉強時間が確保できないとなれば合格は厳しいと思います。
あと、テキストがやたら分厚くて重いので、長距離を移動するのは結構大変です。

過去問について

エネルギー管理士試験の過去問は豊富に存在していますが、管理研修の過去問は毎年販売されているような気配がありません。
検索して調べても、かなり古いものの中古がオークションなどで出回っている状況です。
ネットの情報で、試験会場で売られていると書かれてたりしたのを見た覚えがありますが、私が研修に参加した時はそんな販売所はありませんでした

私としては、別に過去問演習はしなくても良いのではないかと思います。
私は過去問演習はしてません。
エネルギー管理士試験の過去問を代用もしてません。
上で書いたように、講師のヒントを基にして勉強した方が良いです。
範囲が結構広いので、エネルギー管理士試験の過去問を代用して勉強していたら、普通にエネルギー管理士試験を受けるような勉強になります。
が、そこまでする必要ないです。

迷うなら受けましょう

権利を活かしましょう

会社で実務経験があるという強みがなければ、この研修は受けられません。受験費用は7万円と高額ですが、多分会社が出してくれるはずです。
そうであれば受けて損はありません。
エネルギー管理士は、その知識が求められるというより、有資格者を配置しなければならないという需要から求められている資格です。
なので今居る会社でのみならず、どこへ行っても需要はあるはずなのです。
それを、会社が受けさせてくれる、、これは行くしかないでしょう!

1週間、毎日家に帰って2時間くらい真剣に勉強すればいいだけです。
研修ではなくエネルギー管理士試験を受けるなら、1週間勉強するだけでは無理でしょう。
エネルギー管理研修を受けられる立場にあることは恵まれているんです。
課目合格もありますが、会社の7万円を使って落ちて来年も受験するのは嫌でしょうから、一発合格を目指して頑張りましょう!

自身の結果

2021年に参加しまして、無事に合格しました。
暗記問題を結構間違えたと思ったので、ヤバいかな!?と思いましたが、合格してました。
何点だったのかわかりませんが、なんとかなるもんです。
私は熱の専門教育を受けたわけでもありませんが、研修期間だけでもなんとかなります!
過去問も何も買ってません。
これから受ける人は頑張ってください!

















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