【漫才台本】新しいゲーム(無料)
〈最近、ちょっとしたゲームを教えてもらいまして〉
「ゲーム?」
〈そう。まず、ジャンケンは知ってる?〉
「ジャンケンは知ってるよ」
〈ジャンケンで負けた方は自分の顔を上下左右どこかに向ける。勝った方が同じ方向に指を
向ける〉
「それ、あっち向いてホイやんな」
〈あ、そうそうそう!知ってた?〉
「知ってるっていうか…うん、まあ子供ん時に流行らんかった?」
〈あぁ、おれの地元ではたぶんやってなかったんちゃうかなー?〉
「まぁ地域性ばっかりはわからんからな」
〈こないだ教えてもらってからハマってんねんけど、ちょっとやらへん?〉
「あ、今?あっち向いてホイを?」(笑)
〈一回やろうや〉
「まぁええけども」
〈よしじゃあ、勝ったら1ポイントで、先に5ポイント取った方が勝ち〉
「あっち向いてホイを大人が人前で5回やるんやな、わかった」
〈じゃあいくで、全力でやろ!そっちの方がオモロいから〉
「よっしゃわかった100%でやろ、どうせなら」
〈最初はグーで〉
「OK」
〈いくで…。〉
(二人で)最初はグー!ジャンケンホイ!あっち向いてホイ!
→ツッコミ、ボケ、ボケ、ツッコミの順であっち向いてホイ。最後のツッコミのあっち向いてホイでボケが同じ方向を向いてしまう。
「よっしゃ!」
〈うわーくそー!〉
「ここまで全力でやると割と楽しいな」
〈楽しいな、ちょっと疲れるけど〉
「そやな」
〈よしじゃあもう一回いくで〉
「よっしゃ」
〈えっと今、2対3やな。いくで〉
「ん?ん?なんでなんで?」
〈ん?〉
「いつ2ポイント入ったお前に?」
〈いや今の対戦で〉
「おれが勝ったやん」
〈あっち向いてホイはな〉
「…え、お前もしかしてジャンケンの勝ちもポイントに入れてる?」
〈勝った方が1ポイントって言ったよな?〉
「いやあっち向いてホイのとこでポイントが発生するんちゃうん普通」
〈じゃあジャンケンする意味なくなるやん〉
「成立せえへんやん」
〈何が?〉
「ジャンケンせんかったら、どっちが指さす方で、顔振る方か決まらんやん」
〈そんなん交互にやったらええがな〉
「先攻得やないか」
〈いやでもこれは、ジャンケンとあっち向いてホイっていう二つのゲームを組み合わせてんねんから…〉
「ジャンケンはゲームではない!」
〈何を言うてんねん〉
「ジャンケンは、ジャンケン」
〈…え、哲学?〉
「違うわ。ジャンケンはあっち向いてホイっていうゲームの中に組み込まれてんねん」
〈いやでも、ジャンケンだけでも勝敗はあるんやから立派なゲームやん〉
「それだけではオモロないやん」
〈?〉
「ジャンケンだけでは盛り上がりに欠けるから色んなゲームが足されていったんやん」
〈てことは、世の中の色んなゲームはジャンケンがないと作れなかったとも言えるな〉
「まあそやな」
〈それ許可とってんの?〉
「誰にやねん」
〈ジャンケン作った人やん。著作権とか大丈夫なん〉
「なんの心配してんねん」
〈今の時代、その辺うるさいぞ〉
「いやジャンケンにはそんなんないやん」
〈そんなんわからへんで、森のクマさんの日本語訳であんだけ問題なってんから〉
「いやでも、さすがにジャンケンは昔からあるし大丈夫ちゃう?」
〈いやおれちょっと怖いからジャンケンするんやめとくわ〉
「マジかお前」
〈うん〉
「ジャンケン引退すんの?」
〈もうやめとくわ〉
「困るぞー」
〈でも何が起こるかわからへんし〉
「そやけど、ジャンケン避けて生きていくんムズない?」
〈まぁでも、世間には牛食べへん人もおるし〉
「またちゃうやろ」
〈まぁなんとかなるんちゃう〉
「すごい覚悟やわ。生きてたらジャンケンする場面案外多いからな」
〈あ、じゃあこんなんどう?そういう場面に出くわしたら、ジャンケンする代わりに、コインを投げて、表か裏かを当てる〉
「いやそれもあんねん。もうええわ」