【漫才台本】学生時代(無料)
〈今年27になったんやけど、学生時代がやっぱ楽しかったなぁと思て〉
「確かにね。ただ朝がめっちゃ早いやんか、あれがおれはちょっとキツかったかな」
〈そこまでめちゃめちゃ早いわけでもなかったやろ〉
「いや、おれが言ってた高校の通学路にいわゆる開かずの踏み切りがあったから、ちょっとでも家出るん遅なって踏切引っかかったら、確実に学校遅刻してまうねん」
〈なるほどな。あ、それでいうたらおれもよう引っかかってたわ〉
「え?開かずの踏み切り?」
〈いやおれんとこはね、開かずのまぶた〉
「…それただの寝坊やな」
〈よぉ引っかかった〉
「引っかかったって言わんといて?お前だけのことやから」
〈ホンマ勘弁して欲しいよなー〉
「ちゃうちゃうちゃう。おれのと一緒にせんといてくれる?おれは早めに起きてんのに急がなアカンねん」
〈開かずのまぶたに引っかかった時はおれもめっちゃ急ぐで?まず食べずの朝ごはんやし〉
「そらそうやろ」
〈磨かずの歯で〉
「汚いな」
〈結ばずの靴紐で家を出て〉
「こけるよ?」
〈歩かずのダッシュで〉
「だから、こけるよ?」
〈駆け込まず乗車して〉
「まぁ、それはええことや」
〈で、開かずのまぶた〉
「…二度寝すなよ。そこで寝過ごしたら遅刻確定やんか」
〈まぁな。でもおれ遅刻はしたことない〉
「でももう間に合わんやろ?」
〈間に合わへん。だからこういう時はおれはもう学校休んじゃう」
「え、休むん?」
〈行かんかったら遅刻は成立しないから〉
「すごいとんちの使い方」
〈学校行っても怒られるだけやし、もう休んでた〉
「でも学校にはなんていうの?」
〈風邪とかじゃなくて、身内の不幸とか言うといたらおれが連絡しても怪しまれへん〉
「あ、そんなんあったね」
〈プルル、プルル〉
「ガチャ、はい高校です」
〈あの3年C組の〇〇ですが、今日、朝起きたら親父とおかんが死んでて…〉
「両親いかん方がええわこういう時。絶対バレるから。もうちょい遠い親戚で言うた方がええよ」
〈あぁなるほどなるほど。プルル、プルル〉
「ガチャ、はい高校です」
〈あの3年C組の〇〇ですけど、昨日父方のおじいちゃんとおばあちゃんと、おじさんとおばさんといとこ2人、あと母方のおじいちゃんとおばあちゃんとその兄弟の…〉
「多い多い、一人でいいから」
〈一人でええの?〉
「一人で良い。あんま一気にいってもうたら、今後そのやり方で休まれへんようなるし」
〈あ、確かにな。
プルル、プルル〉
「ガチャ、高校です」
〈ただいま留守にしております。ピーっという発信音の後に〉
「何でかけた側が留守電なんねん」
〈あ、そうか〉
「おかしいやろ」
〈まぁこんな感じで学校休んでな、〉
「あんまり良くはないけどたまにはね」
〈その日はもう1日自由に、〉
「楽しめ楽しめ」
〈スタバで勉強〉
「ほな学校行けや。やめさせてもらうわ」