第14期令昭位に楢原プロ Mリーガーから直撃 技ありの5筒トイツ落とし
RMUの楢原和人プロが第14期令昭位決定戦で初優勝しました。
持ち前の強烈な攻めで、阿部孝則プロ、EX風林火山・松ヶ瀬隆弥プロの2人の令昭位経験者と今季活躍の白田みおプロを破り、栄冠に輝きました。
決め手となったのは最終戦の東2局。着順勝負で優勝を争っていた松ヶ瀬プロから直撃した満貫です。
河作りに工夫を凝らし、松ヶ瀬プロの読みと選択を外させ、放銃に導いた5筒のトイツ落としが技ありでした。
楢原プロの会心の一局を振り返ります。
令昭位決定戦はリーグ戦を上位で勝ち残った4人が1日4試合、3日間で12試合戦い、リーグ戦から持ち越しているポイントと合わせた総合ポイントを競います。
決定戦進出者は楢原プロ、松ヶ瀬プロ、白田プロ、阿部プロ。12試合目となる最終戦を迎え、総合ポイントは松ヶ瀬105.8、楢原98.6、阿部62.4、白田-39.4ポイントです。
松ヶ瀬プロと楢原プロは着順勝負で優勝が決まります。阿部プロが逆転するには5万点を超す大きなトップを取って、松ヶ瀬プロと楢原プロをそろって3位以下に沈めるしかありません。白田プロは極めて厳しい状況です。
最終戦は阿部プロ、白田プロ、楢原プロ、松ヶ瀬プロの並び順。東2局を迎え、この試合の持ち点は南家・楢原32000、東家・白田29500、西家・松ヶ瀬29500、北家・阿部29000です。
楢原プロの配牌です。メンツは一つもなく、時間のかかりそうな手です。
5巡目までに有効牌の1筒、5筒、4萬をツモってリャンシャンテンになりました。
6巡目に西をツモった手牌です。
楢原プロはここからトイツの5筒を1枚外しました。
いわゆる「浮かせ打ち」です。5筒へのくっつきや筒子の一気通貫を視野に入れています。先に5筒を1枚外すことで3筒・6筒待ちや4筒・7筒待ちになったとき出あがりしやすくしています。
また、萬子や索子が伸びれば、5筒をもう1枚切ってトイツ落としをはっきりと見せ、ペンチャンの7筒待ちを盲点にする狙いもあります。
楢原プロの強烈な攻めだけでなく巧さも感じた5筒切りです。
楢原プロは7巡目に8萬をツモって西を切り、8巡目には7索を引き入れて8索を1枚外し、索子の形を決めました。
当面のライバルの松ヶ瀬プロにも手が入っていました。8巡目に4索をツモってイーシャンテンです。
楢原プロも9巡目に9索をツモり、もう1枚の5筒を切ってイーシャンテン。5筒のトイツを落として筒子をペンチャンの7筒待ちに固めました。
松ヶ瀬プロが9巡目にツモったのが3筒。どのターツを外すかの難しい選択です。
索子は「456」のイーペーコーの目があるので候補から除外となります。筒子のどちらかです。
場には楢原プロが5筒を2枚捨てていて、1筒と4筒はそれぞれ1枚、白田プロが切っていました。
松ヶ瀬プロは楢原プロの5筒トイツ落としを見て、5筒・8筒待ちを嫌い、6筒を切りました。
松ヶ瀬プロの選択は裏目となりました。
楢原プロが10巡目に7萬をツモって聴牌。狙い通りのペンチャンの7筒待ちでリーチしました。
すると松ヶ瀬プロが10巡目にツモったのが裏目の8筒です。2筒・3筒を外していれば3索・6索待ちで聴牌していました。
松ヶ瀬プロは痛恨の聴牌逃しです。8筒をツモ切って楢原プロのあがり牌である7筒が発射台となりました。
昨季まで令昭位を連覇していた解説の河野高志プロはここでリャンシャンテンに戻す北の1枚外しを推していました。
ターツ選択が裏目になったことを受けた守りの一打です。タイトル経験豊富な河野プロらしい実戦的な判断で、さすがだと思いました。
松ヶ瀬プロにとってさらに厳しいことが起きました。親の白田プロが12巡目に1索を暗槓です。
新たなドラは7萬。楢原プロに1枚乗りました。
松ヶ瀬プロが12巡目にツモったのが3筒です。
松ヶ瀬プロは7筒を勝負して放銃しました。
楢原プロは裏ドラが2枚乗り、リーチ・ドラ1・槓ドラ1・裏ドラ2の8000点です。
楢原プロは着順で優勝を争う最大のライバルから満貫を直撃して優位に立ち、そのまま逃げきって悲願の優勝を成し遂げました。
楢原プロの5筒のトイツ落としがなければ、松ヶ瀬プロは6筒・7筒のターツを外さず、7筒の放銃もなかったかもしれません。
楢原プロのわざが決まった河作りでした。
渋谷ABEMAS・多井隆晴プロら名立たる強豪が獲得しているビッグタイトルの令昭位に就いた楢原プロ。これから麻雀最強戦などさまざまなタイトル戦でその強烈な攻めの打ち筋を見せてほしいです。