ミスター麻雀の九蓮宝燈
セガサミーフェニックスの魚谷侑未プロがМリーグ2021の2022年2月14日(月)の第1試合で聴牌を外して九蓮宝燈を狙った打ち筋が、麻雀ファンの間で賛否両論を呼んでいます。
魚谷プロがそのことに関して自身の考えを語ったスペースを聞いていて、ふと「ミスター麻雀」こと小島武夫プロが多くのファンを魅了した伝説の九蓮宝燈を思い出しました。奇跡のようなあがりを振り返ります。
2009年のモンド21麻雀プロリーグ第3回名人戦予選第13戦でその劇的な役満を目の当たりしました。総合ポイントで小島プロは200を超す独走の状況でした。
第13戦は金子正輝プロ、前原雄大プロ、森山茂和プロ、小島武夫プロの並び順。南4局2本場(供託1)を迎え、持ち点は南家・金子41300、東家・小島33400、北家・森山14000、西家・前原10300です。
親の小島プロの配牌です。萬子が好形なものの8枚しかなく、この手がまさか九蓮宝燈に仕上がるとは夢にも思いませんでした。
小島プロは第1打に北を切り、2巡目に1萬を重ねて8索を切りました。
3巡目に7索をツモ切りした後、4巡目に2萬をツモって6筒を切り、次の手牌となりました。
ダブル解説の飯田正人プロは「萬子の一色と『234』の三色も狙える」と話し、馬場裕一プロは「1萬か9萬を暗刻にすれば九蓮宝燈もありえる」とわくわくした気持ちを隠せませんでした。
さすが「メンチンのバビィ」です。馬場プロの期待に応えるかのように、小島プロは5巡目に1萬を暗刻にします。2筒・3筒のターツを外して3筒を切り、狙うは萬子のチンイツ、その先にあるのは九蓮宝燈です。
小島プロは6巡目に5萬をツモり、2筒を切ります。飯田プロは「九蓮宝燈のイーシャンテンになった」と、めったに見られない役満のあがりに小島プロが近づき、思わず声もうわずります。
そして7巡目にツモったのがなんと8萬です。3索を切り、5萬と9萬待ちで聴牌。9萬であがれば九蓮宝燈です。
小島プロは8巡目にパシッと9萬をツモります。究極の役満・九蓮宝燈を完成させました。ミスター麻雀ならではの華やかなあがりです。
当時、放送を見ていて、3巡目以外に全て萬子をツモり、流れるようにわずか8巡目であがりに結びつけた小島プロについて「さすが持っている人は違う」と思いました。
また、一つの色の牌のツモが伸びているときは、別の色のターツを外してでも勢いのある色に寄せていくことも、場況によって思いきって狙うべきだと感じました。
残念ながら亡くなられた小島プロと飯田プロの当時の感想戦での素敵な笑顔がとても印象に残っています。