誠一さんの誕生日に華やかな一撃を回想 珍しいチャンタ・三暗刻の複合【モンド王座戦】
8月1日はセガサミーフェニックス・近藤誠一監督の誕生日です。60歳になられました。
誠一さんの誕生日に、これまで麻雀ファンを魅了してきたさまざまなあがりを回想しました。
誠一さんの還暦祝いを兼ねて、お気に入りの一つを紹介します。
7年前の第12回モンド王座決定戦の第2戦東4局1本場にあがった跳満です。誠一さんらしいメンゼンで高打点に狙いを定め、華やかな一撃をずばっと決めました。
第12回モンド王座決定戦は連覇を目指す魚谷侑未プロ、女流モンド杯優勝の茅森早香プロ、モンド杯優勝の井出康平プロ、名人戦優勝の近藤誠一プロが対戦。4試合で合計ポイントを競いました。
セガサミーフェニックスでチームメイトになる近藤、茅森、魚谷の3プロが優勝を争った懐かしいタイトル戦です。
第2戦は茅森プロ、近藤プロ、井出プロ、魚谷プロの並び順。
東4局1本場を迎え、持ち点は東家・魚谷35100、北家・井出33400、西家・近藤18400、南家・茅森13100です。
3着目の近藤プロの配牌。役牌の白が暗刻で「123」の三色とチャンタの狙えるチャンス手が入りました。
近藤プロは3巡目に中をツモって手牌にしっかりと残しました。
中の重なりを待ち、高打点を徹底的に目指します。
7巡目に狙い通り、中をトイツにしました。チャンタ・三色・白のイーシャンテンです。
9巡目に中を暗刻にして、さらに好形のイーシャンテンになりました。
近藤プロは10巡目に九萬をツモった手牌です。場に3枚目の3筒が直前に切られています。
近藤プロは「123」の三色を見切り、2筒を外しました。
場況に的確に対応した打ち回しです。
トップ目の魚谷プロの親を流そうと、自風の北を一鳴きしていた2着目の井出プロが10巡目に八萬を引き入れ、イーシャンテンです。
近藤プロは12巡目に八萬をツモり、1筒を切りました。
一方、井出プロは12巡目にドラの5筒を引き入れ、三萬を外しました。
ドラへのくっつきを待ちます。
近藤プロは13巡目に一萬を重ね、ペンチャンの七萬待ちでようやく聴牌しました。
チャンタ・白・中の満貫の手です。黙聴に取りました。
七萬は井出プロが暗刻で持っていて、山に1枚だけ残っていました。
井出プロは14巡目に八萬を重ね、7索を切りました。八萬が出れば、ドラの5筒単騎待ちの聴牌に取る構えです。
この選択が裏目となりました。
近藤プロは15巡目に一萬を暗刻にしました。八萬を外し、九萬単騎待ちでチャンタ・三暗刻・白・中の跳満の聴牌です。
井出プロが15巡目に近藤プロの外した八萬をポン。九萬を切ってドラの5筒待ちの聴牌に取りました。
井出プロはこの九萬で放銃。近藤プロはチャンタ・三暗刻・白・中の12000点(+300)です。
近藤プロらしい華やかな一撃です。チャンタと三暗刻の複合はあまり見ることがないので、このあがり形を鮮明に覚えています。
配牌に1枚もなかった中を暗刻にしたことや、「123」の三色をためらわずに見切り、九萬を残した判断が見事でした。
第12回モンド王座決定戦は魚谷プロが連覇を果たしました。
けれども、近藤プロは翌年のモンド名人戦を制し、捲土重来を期して臨んだ第13回モンド王座決定戦。魚谷プロの3連覇を阻止して初のモンド王座に輝きました。
「大魔神」の異名を持つ故・飯田正人プロがあと一歩届かなかったモンド王座のタイトルを獲得した近藤プロ。「大魔神の系譜」として喜びもひとしおだったと思います。