デビュー戦で貫いた二刀流・大介プロの「Dの流儀」【Мリーグ】
Mリーグのデビュー戦で「Dの流儀」を貫きました。
今季からMリーグに参入したBEAST Japanext。将棋と麻雀の二刀流で注目を集める鈴木大介プロがMリーグ2023-24の開幕日に登場しました。
◎徹底的な攻めであがり追求の剛腕
大介プロの打ち筋はトップ目に立っても守りに入らず、徹底的にあがりを追求します。
麻雀最強戦では5年連続ファイナル進出を決めています。
トップ取りの決勝はもちろん、2人勝ち上がりの予選でも大きくリードしてもさらにあがりに向かいます。
この打ち筋だからこそ、波に乗って圧倒的に加点するほか、他家のチャンス手を自らつぶして局を進めます。
その最後まで攻めを貫く剛腕に魅了されます。
けれども、「両刃の剣」です。
トップ目で守っていたら逃げきれたのに、放銃してトップを逃すことがあります。さらに、トップをまくられたけれども、2位を確保できたのに、3位やラスに沈む場合もあります。
大介プロは2023年9月18日(祝)のMリーグ2023-24レギュラーシーズン第2戦でエース級3人と対戦。南4局を迎えるまでトップ目に立ちましたが、惜しくも3位にとどまりました。
デビュー戦では、「Dの流儀」が厳しいほうの結果となりました。
それでも、持ち前の打ち筋を貫き、「全局参加」。Mリーグでもその剛腕ぶりは麻雀ファンに強烈な印象を残したことでしょう。
◎名刺代わりのドラの明槓
第1戦はBEAST Japanext・鈴木大介プロ、渋谷ABEMAS・白鳥翔プロ、TEAM雷電・萩原聖人プロ、EX風林火山・松ヶ瀬隆弥プロの並び順です。
大介プロは東1局に他家に攻撃の圧力を掛ける「名刺代わりのドラの明槓」です。親の倍満を聴牌しました。
大介プロはドラの1筒をポン。4索・5索待ちで聴牌。最後のツモ番でドラの1筒を明槓したがあがれず、流局しました。
いきなりトイトイ・ドラ4・赤ドラ2の8000オールの聴牌を見せつけられ、他家は大介プロへの警戒を強めたはずです。
◎3000、6000で抜け出すも親の跳満に放銃
大介プロは東2局1に跳満ツモの一撃を決めました。
東2局を迎え、持ち点は東家・白鳥28200、北家・大介28000、西家・萩原24000、北家・松ヶ瀬19800です。
大介プロの配牌。ドラの7索が暗刻のチャンス手です。
大介プロは1巡目に2筒をツモりました。
西を切っためいっぱいに構えず、1筒を外しました。「678」の三色と喰いタンの鳴き仕掛けを狙う大介プロらしい実戦的な選択です。
大介プロは3巡目に絶好の6筒を引き入れました。
4巡目に5筒をポン。カンチャンの七萬待ちで聴牌です。
大介プロは6巡目に七萬をツモ。タンヤオ・三色・ドラ3・赤ドラ1の3000、6000です。
東3局を迎え、持ち点は西家・大介40000、北家・白鳥22200、東家・萩原21000、南家・松ヶ瀬16800。大介プロが一歩抜け出しました。
ところが、親のハギーに大物手が入ります。
萩原プロは8巡目に3索・北のシャンポン待ちでリーチ。ツモれば四暗刻です。
Mリーグで2年連続、初日に華やかな役満が出るのかと思いました。
リーチ直後、大介プロは8巡目に北を一発でつかみました。
タンヤオ・ピンフ・赤ドラ1のイーシャンテンが入っています。現物は6筒しかありません。
トップ目に立ったとはいえ、まだ東3局。親のリーチに一発を避け、ここで6筒を抜いてオリに回るのは「Dの流儀」ではありません。
大介プロは迷わず北をツモ切り、放銃しました。
萩原プロはリーチ・トイトイ・三暗刻・一発の18000点です。
◎ひるまず跳満ツモ、満貫ツモ連発
12000点あがった直後に18000点の放銃。トップ目から3着目に落ちました。けれども、全くひるまないのが「Dの流儀」です。
東3局2本場を迎え、持ち点は東家・萩原42000、北家・白鳥21200、西家・大介21000、南家・松ヶ瀬15800。
大介プロが8巡目に3筒をツモった手牌です。
大介プロは浮いている2索を切らず、8索を外しました。
2索にドラの4索がくっつくことを狙ったほか、喰いタンの鳴き仕掛けも視野に入れています。
あがりやすさやドラを重視する大介プロらしい一打です。
大介プロは10巡目にカンチャンの四萬を引き入れ、イーシャンテンになりました。
一方、さらに連荘したい親の萩原プロが12巡目に白をポン。5索・8索待ちでいち早く聴牌しました。
ラス目の松ヶ瀬プロも12巡目に三萬・六萬待ちでリーチしました。
萩原プロは白のみですが、松ヶ瀬プロはリーチ・ピンフ・ドラ1・赤ドラ1の満貫確定の手です。
すると、大介プロが12巡目に絶好のカンチャンの4筒をすばっと引き入れ、二萬・三萬・五萬・六萬・八萬待ちで追っかけリーチしました。
大介プロは13巡目に一発で六萬をツモ。裏ドラが七萬で3枚乗り、リーチ・タンヤオ・一発・ツモ・裏ドラ3の3000、6000(+1600)です。
東4局を迎え、持ち点は北家・萩原35800、南家・大介34600、西家・白鳥18000、東家・松ヶ瀬11600。大介プロはトップ目の萩原プロに1200点差に迫りました。
大介プロはこの一局で満貫をあがりトップ目に立ちます。
8巡目に2索・5索・8索待ちでリーチ。
大介プロは10巡目に5索をツモりました。裏ドラが1枚乗り、リーチ・タンヤオ・ピンフ・ツモ・ドラ1の2000、4000です。
3人のめくり合いを制した大介プロの勝負強さが光りました。
南1局を迎え、持ち点は東家・大介42600、西家・萩原33800、南家・白鳥16000、北家・松ヶ瀬7600。
大介プロは親の跳満に放銃したものの、跳満ツモ2回と満貫ツモ1回でトップ目に立っています。
◎強気の加点狙いが裏目
大介プロは南場も守りに入らず、強気に加点を狙いましたが裏目となりました。
南1局にラス目の松ヶ瀬プロが8巡目に五萬・八萬待ちでリーチ。
トップ目で親の大介プロも11巡目に2索・5索待ちで追いつき、リーチしました。
しかし、大介プロは12巡目に赤五萬をつかみ放銃。松ヶ瀬プロはリーチ・ピンフ・赤ドラ2の8000点(+1000)です。
大介プロのフォームならば親で黙聴の選択肢はなく、当然のリーチだった思うのでこの放銃は致し方ありません。
ただし、痛い放銃です。南2局を迎え、持ち点は南家・萩原33800、北家・大介33600、西家・松ヶ瀬16600、東家・白鳥16000。大介プロは再び萩原プロに逆転されました。
◎けっして下を向かない
それでも、「Dの流儀」はけっして下を向きません。
南2局に大介プロは鳴き仕掛けで萩原プロからチャンタ・ドラ1の2000点をあがり、再びトップ目に立ちました。
南4局を迎え、持ち点は南家・大介33700、北家・萩原30600、東家・松ヶ瀬21600、西家・白鳥14100。大介プロはトップ目です。
◎勝負手のチートイツは実らず
点差を縮めてオーラスの親番を迎えた松ヶ瀬プロ。リーチ・ピンフ・ツモ・裏ドラ1の2600オールをあがり、2着目に浮上しました。
南4局1本場を迎え、持ち点は南家・大介31100、東家・松ヶ瀬29400、北家・萩原28000、西家・白鳥11500です。
松ヶ瀬プロが8巡目に5索・8索待ちでいち早くリーチしました。
大介プロが10巡目に三萬を重ねた手牌です。
大介プロは8索を勝負し、チートイツのドラの北単騎待ちで黙聴に構えました。
大介プロはこの8索で放銃。松ヶ瀬プロはリーチ・タンヤオの3900点(+300)です。
南4局2本場を迎え、持ち点は東家・松ヶ瀬33600、北家・萩原28000、南家・大介26900、西家・白鳥11500。
大介プロは勝負手は実らず、トップ目から3着目に落ちました。この放銃も致し方ありません。大介プロはあがれば、チートイツ・ドラ2・赤ドラ2の跳満の手。松ヶ瀬プロの逆転やこれ以上の連荘を阻止するため、押すのが自然です。
南4局2本場は一色手合戦となりました。
親の松ヶ瀬プロが2筒・5筒・8筒待ちの筒子のホンイツで聴牌。
2着目の萩原プロは4索・7索待ちの索子のホンイツで聴牌です。
大介プロが4索を切って放銃。萩原プロはホンイツ・白・赤ドラ1の8000点(+600)で逆転トップです。
大介プロはうまく手が進んでなかったので、ここではオリに回る選択肢もあったかもしれません。
第2戦の結果は萩原36600、松ヶ瀬33600、大介18300、白鳥11500。
大介プロはデビュー戦で3位にとどまったものの、思いきった打ち回しを見せてくれました。
Mリーグは順位点とオカで50ポイントを獲得できる「トップが偉い」ルールです。
猛烈な攻めでトップ取りの打ち筋を貫く大介プロにぴったりです。トップ目でも緩めず、加点にまい進するので、チームに高得点の持ち帰りが期待できます。
その一方、Мリーグは2位と3位で20ポイント差があります。大介プロの打ち筋はトップを狙うがために、オリに回れば2位を確保できるのに、3位やラスに沈む危険と隣り合わせです。
けれども、大介プロには鋭い読みと攻めでトップを徹底的に狙ってほしいです。勝つことこそが一番の「Dの流儀」と確信しています。