渡辺太プロ涙の初トップ 最速最強の猛追振り切る的確な押し引き【Мリーグ】
感激の涙でМリーグ初トップです。
2023年10月19日(木)のMリーグ2023-24レギュラーシーズン第38戦。赤坂ドリブンズに今季入団した渡辺太プロが勝利しました。
太プロは勝負どころの的確な押し引きで、「最速最強」の名で知られる渋谷ABEMAS・多井隆晴プロの猛追を振り切りました。
Мリーグ屈指の強豪を倒し、5戦目で待望の初トップ。喜びが心に深く刻まれる勝利だったと思います。
TEAM雷電・萩原聖人プロ、赤坂ドリブンズ・渡辺太プロ、渋谷ABEMAS・多井隆晴プロ、セガサミーフェニックス・魚谷侑未プロの並び順。
太プロが強烈な押しを見せたのが東4局2本場(供託2)です。
持ち点は北家・多井40700、西家・太26400、南家・萩原22400、東家・魚谷8500。
3着目の萩原プロが萬子のチンイツで積極的に鳴き仕掛けをしました。
3巡目に八萬、4巡目に六萬をチー。三萬・六萬待ちであっという間に聴牌。チンイツ・赤ドラ1の跳満確定の手です。
萩原プロは赤五萬のメンツをさらしています。チンイツならば12000点確定なことが一目瞭然。他家には強いプレッシャーがかかりました。
2着目の太プロが5巡目に絶好のカンチャンの3筒をずばっと引き入れた手牌です。
太プロはタンヤオ・ピンフ・イーペーコーのリーチすれば満貫を狙える手が入り、供託も2本あるこの一局を勝負どころと判断。萬子の一色手の萩原プロに八萬を強く押し、イーシャンテンです。
太プロは6巡目に初牌の東もツモ切りました。
この東をラス目で親の魚谷プロが7巡目にすかさずポン。3索・6索待ちで聴牌です。
太プロは8巡目に8索を暗刻にして、受け入れの広いイーシャンテンになりました。
9巡目に魚谷プロに厳しい初牌のドラの6筒をツモ切りました。徹底した攻めです。
太プロが12巡目に一萬をツモった手牌です。
一萬は萩原プロはもちろん、魚谷プロにも無筋のものすごい危険牌です。
太プロは長考後、勝負を懸けて一萬をツモ切りました。
ふだんの柔和な表情とは裏腹の激しい攻めの一打です。
この一萬を魚谷プロが大明槓。新たなドラは七萬です。
萩原プロはチンイツ・赤ドラ1・槓ドラ2の倍満確定の手になりました。
一方、トップ目の多井プロはしっかりとオリに回っています。
太プロは14巡目に三萬をツモって聴牌。ついに追いつきました。6索・9索待ちで迷わずリーチです。
3人のめくり合いは太プロに軍配が上がりました。
萩原プロが16巡目に6索をつかみ放銃。頭ハネで魚谷プロはあがれず、太プロのあがりです。
太プロはリーチ・タンヤオ・ピンフ・イーペーコー・槓ドラ2の12000点(+2600)です。
太プロは持ち点は41000点となり、多井プロと300点差でトップ目に立ちました。
さらに、太プロは南1局1本場に多井プロ、萩原プロとのリーチ合戦に勝利。リーチ・タンヤオ・ピンフ・ツモ・ドラ2・赤ドラ1の3000、6000(+2300)をあがりました。
南2局を迎え、持ち点は東家・太54800、南家・多井36100、西家・魚谷4900、北家・萩原4200です。
トップ目の太プロが2着目の多井プロに18700点差をつけ、念願の初勝利目前です。
ところが、Mリーグ2018-19個人MVPの多井プロが猛追します。
多井プロは南3局の親で執念の連荘。太プロに追いつきました。
「ネット麻雀の覇者にМリーグで簡単に勝たせてなるものか」という最速最強の気概を感じました。
多井プロと太プロが同点でトップ目の南3局3本場。太プロは多井プロの決定打を防ぐ守りで魅了しました。
持ち点は東家・多井52200、北家・太52200、南家・魚谷300、西家・萩原-4700です。
勢いに乗った親の多井プロは8巡目に五萬をポン。カンチャンの4筒待ちでいち早く聴牌しました。
多井プロはタンヤオ・赤ドラ2の5800点の手です。
3着目の魚谷プロが9巡目に2筒をポン。筒子の一色手に向かいました。
太プロが9巡目に4筒をツモった手牌です。
太プロが索子の一色手に向かって4筒を外せば、多井プロに放銃です。
太プロはメンツ手の可能性を残し、9筒を切りました。
太プロは10巡目に七萬をツモり、北を外しました。
多井プロのこれ以上の連荘を阻止しようと、まっしぐらに攻めたい気持ちをぐっとこらえ、受けに回りました。
ネット麻雀の天鳳で麻雀ファンから高い評価を受けた「太くないお」の的確な押し引きです。
多井プロは11巡目に赤5索をツモり、5索と入れ替えました。
タンヤオ・赤ドラ3の親満の手になりました。あがれば決定打になりそうです。
4筒は山に2枚残っていました。
太プロは12巡目に7索をツモって、安全牌の七萬を切りました。
再び4筒が出そうな手牌になっています。
太プロは13巡目に4筒を重ね、5索を外しました。
放銃を避けながらイーシャンテンにこぎ着けました。
魚谷プロが14巡目に7筒を重ねて初牌の中を切り、チンイツ・トイトイのイーシャンテンです。
太プロはこの中をポンして、初牌でドラの東を切れば、4筒・9索のシャンポン待ちで聴牌に取れます。
しかし、太プロは中の鳴きを見送りました。丁寧な押し引きが光ります。
太プロは14巡目に魚谷プロに厳しい8筒をツモり、中のトイツを外して完全にオリに回りました。
この一局は多井プロの一人聴牌で流局。
南3局4本場を迎え、持ち点は東家・多井55200、北家・太51200、南家・魚谷-700、西家・萩原-5700です。
太プロは聴牌・ノーテンで多井プロに逆転されたものの、決定打の直撃を逃れたことが後に勝因となりました。
ここから、Mリーグ2019-20個人MVPの魚谷プロが逆襲。多井プロは痛恨の放銃で2着目に落ちます。
3着目でハコ下に沈んだ魚谷プロが7巡目に1筒をポン。2筒・4筒・5筒・7筒待ちでチンイツの聴牌です。
多井プロが9巡目に2筒をツモった手牌。ドラの發と役牌の中がトイツで「234」の三色も狙える勝負手です。
多井プロはノータイムで2筒をツモ切り放銃。
魚谷プロはチンイツの8000点(+1200)です。
南4局を迎え、持ち点は西家・太51200、北家・多井46000、東家・魚谷8500、南家・萩原-5700です。
太プロが再びトップ目に立ちました。
もし、南4局3本場に多井プロが5800点か親満を太プロから直撃していたら、鉄壁な守りを誇る多井プロなのでリードを生かしてあがりに向かわず、魚谷プロへの放銃を避けられたかもしれません。
南4局では魚谷プロが大物手を決めました。リーチ・三暗刻・南・ツモ・ドラ3・赤ドラ1の8000オールです。
最後まで勝負をあきらめない魚谷プロらしい粘り強さです。
南4局1本場を迎え、持ち点は西家・太43200、北家・多井38000、東家・魚谷32500、南家・萩原-13700です。
魚谷プロは一気にトップ争いに加わりましたが、猛反撃もここまで。この一局は全員ノーテンで流局しました。
渾身の闘牌で個人MVP2人の猛攻をしのぎ、Мリーグに参戦して初のトップを獲得した太プロ。画面に大きく映し出された感涙で目が潤む姿に、思わず拍手しました。