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白鳥プロが死神流ペンチャン外し 最強戦因縁の抗争
渋谷ABEMASの白鳥翔プロに興味を持つようになったのは、2015年の第24期麻雀マスターズ優勝が始まりです。
その後、モンド杯などさまざまな放送対局に出場するようになり、観戦する機会が増えました。
最初のころの印象は牌理に明るいクレバーな打ち手です。攻守のバランスが取れていて、鳴き仕掛けも巧みでした。代名詞となっている「供託泥棒」のように、接戦のときは安手でも軽快に鳴き、供託棒や積み棒でしっかりと加点するスピード重視の打ち手という感じを持っていました。
しかし、白鳥プロの試合を見ていると、ここ数年で打ち筋が変わりました。持ち前の試合巧者に加え、ここぞという勝負どころでは、シャンテン数を落としてでもじっくりと高打点を目指す重厚さが兼ね備わったように思えます。
Mリーグなどで強豪との戦いを多く経験したほか、チームメイトで「最速最強」として知られる多井隆晴プロらと研鑽を積んだことが、力強さをはぐくんだのではないかと想像しています。
白鳥プロは2022年7月17日(日)に行われた「麻雀最強戦2022 男子プロ因縁の抗争」のA卓で、南3局に重厚なペンチャン外しであがりをものにして、見事に決勝進出を果たしました。
打ち筋が魅力的だった一局を振り返ります。
A卓は古本和宏プロ、原佑典プロ、白鳥翔プロ、松本吉弘プロの並び順。持ち点は南家・松本31500、東家・白鳥26000、北家・原22100、西家・古本20400です。
2人勝ち上がりです。2着目の白鳥プロはトップ目に立ってオーラスの松本プロの親を迎えたいところです。
◎きらりと光る重厚な打ち筋
親の白鳥プロの配牌です。筒子と索子が連続形でドラも1枚あるチャンス手です。
白鳥プロは第1打で西を切り、2巡目に3索を暗刻、3巡目にドラの5筒をトイツにします。
ツモが効き、4巡目に引き入れたのは7索です。
7萬を切れば早くもイーシャンテンです。
3筒ツモの聴牌を逃したくはありません。親なのでペンチャンの3筒待ちリーチで抑え込む戦術もあります。
解説の多井プロが指摘していたようにここでは、イーシャンテンに構える打ち手が多いと思います。かつての白鳥プロだったならば7萬を切っていたのではないでしょうか。
ところが、白鳥プロの選択は1筒切りのペンチャン外しです。
イーシャンテンには取らず、タンヤオを確定させ、「567」の三色も視野に入れた高打点を目指す重厚な打ち筋です。
ここでじっくりと手作りし、一発長打を決めてトップ目に立ち、勝ち上がりを確固たるものにしようという白鳥プロの強い意志が伝わってきました。
このペンチャン外しは、セガサミーフェニックスの近藤誠一プロやTEAM雷電の黒沢咲プロも選びそうな気がします。
けれども、最もぴったりなのは「死神の優」の異名を持つ伊藤優孝プロです。優孝プロならば悠然と1筒を外し、タンヤオ・ピンフ・三色を間違えなく目指していることでしょう。
白鳥プロが1筒を切ったときに、優孝プロの対局中の勇姿が浮かんできました。
序盤から中張牌を切っていた松本プロと原プロは手が進まず、古本プロもあと1牌が入らず、白鳥プロのペンチャン外しはずばりでした。
白鳥プロは5巡目に6萬をツモり、好形のイーシャンテンです。
そして10巡目に6索をツモって5萬・8萬待ちで聴牌しました。
タンヤオ・ドラ2の7700点の手です。トップ目に立つには十分な打点なので白鳥プロは黙聴に構えます。
すると、その直後に古本プロが8萬を切って放銃。白鳥プロは「死神の優」を彷彿させるきらりと光る重厚なペンチャン外しでトップ目に立ち、決勝に勝ち上がりました。
◎イーシャンテンに構えてもあがり
実は4巡目に7萬を切ってイーシャンテンに構えていてもあがりの道はありました。
白鳥プロは9巡目に3筒をツモります。
6筒を切って聴牌に取れば、5筒・3索・6索待ちです。
すると10巡目に6索をツモあがりします。
ツモ・ドラ2の2000オールです。リーチを掛けていればリーチ・一発・ツモ・ドラ2で4000オール、裏ドラが1枚乗れば6000オールです。
ただし、聴牌のときにピンフの役をつけてドラの5筒を切って4筒・7筒待ちに取る選択もあります。
この場合はあがれたかどうか分かりません。
どちらの形で聴牌を取るかは難しいところです。
◎脅威に感じる打ち筋
4巡目で7萬を切ってイーシャンテンに取るか、1筒を切ってペンチャンを外すかは打ち筋の違いで、どちらもありです。
ただし、個人的な感想としてはペンチャンを外す打ち手のほうが力強さと風格を感じて、もし、戦ったら脅威です。
白鳥プロが試合後のインタビューで優孝プロへの尊敬の念を示していました。重厚な打ち筋は優孝プロの影響もあるのを確信しました。
巧さに力強さの加わった白鳥プロの今後の活躍が楽しみです。今季はファイナル進出を逃しましたが、最強位に就く日もそんなに遠くないと感じさせる一局でした。