BEAST Japanextの候補者選出は巧みで納得感【Мリーグ】
奇をてらわず、巧みで納得感のあるドラフト会議指名オーディションの候補者選出でした。
来季からMリーグに新規参入するBSJapanext(ビーエスジャパネクスト)は2023年5月31日(水)、チーム4人のうち1人を選ぶオーディションに出場する8人のプロ雀士を発表しました。
新チームの名称は「BEAST Japanext」(ビーストジャパネクスト)。そのメンバーの1人を決めるオーディションに175人から応募がありました。
8人に選出されたのは、最高位戦日本プロ麻雀協会・竹内元太プロ、日本プロ麻雀協会・浅井堂岐プロ、日本プロ麻雀連盟・宮内こずえプロ、日本プロ麻雀連盟・山井弘プロ、日本プロ麻雀連盟・菅原千瑛プロ、最高位戦日本プロ麻雀協会・新井啓文プロ、日本プロ麻雀連盟・内田みこプロ、最高位戦日本プロ麻雀協会・石橋伸洋プロです。
今回の選出から見えてくるキーワードは4つ。「旬なタイトルホルダー」「実績と攻撃力のある強豪」「麻雀最強戦で活躍の女流プロ」「キングに復帰チャンス」です。
◎旬なタイトルホルダー
タイトルホルダーでは、最高位の竹内元太プロと雀王の浅井プロが選ばれました。いずれも打ち盛りで勝負強さを誇る実力者です。
竹内プロは身長192センチの体格で対局中にひときわ目立つ元気者。大胆な鳴き仕掛けや賢く巧みで隙のない打ち回しに定評があります。
浅井プロは発信力があり、イケメンでおしゃれな人気プロ。ここぞという大事な局面で高打点を決める力強い打ち筋が特長です。
2人とも多くの麻雀ファンや関係者から「旬なタイトルホルダー」として、次のМリーガー候補の最上位に認められていました。8人の中に入ってくるのは順当で納得します。
◎実績と攻撃力のある強豪
タイトル経験者では、新井プロと山井プロが選ばれました。いずれもチーム名のビースト(野獣)にふさわしい強烈な攻めが売りです。
最高位などに輝いたことのある新井プロは明るく朗らかな性格で知られ、「けーぶん」の愛称で親しまれています。徹底的に勝負をあきらめない粘り強さと鋭い攻めで逆襲します。
山井プロは「オフェンスマスター」の異名を持ち、攻撃に特化したスタイルで知られています。第1回リーチ麻雀世界選手権などで優勝しています。
BSJapanextは求めている選手像として、「攻撃的な雀風のプロ」「言葉で表現できるプロ」「麻雀の面白さ・素晴らしさを広めたいプロ」を掲げていました。
2人とも攻撃的な雀風はもちろん、解説や麻雀の普及活動に定評があり、言葉で表現できるプロ、麻雀の面白さ・素晴らしさを広めたいプロとしても評価されたのだと思います。
◎麻雀最強戦で活躍の女流プロ
女流プロは日本プロ麻雀連盟所属の3人が選ばれました。共通するのは昨年、一昨年の麻雀最強戦で活躍していることです。
宮内プロは麻雀最強戦2021の決勝でオーラスにTEAM雷電・瀬戸熊直樹プロにまくられ、あとわずかで最強位の座に届きませんでした。
それでも、「手なりの女王」と称される流れに乗ったときの攻めは素晴らしいです。
Mリーグ発足のとき、放送対局で抜群に強い宮内プロの指名がなかったのは意外でした。ようやく悲願のМリーガーになるチャンスが訪れました。
菅原プロは「麻雀最強戦2022 女流チャンピオン決戦」で優勝しています。決勝では南3局の親番で連荘し、ラス目から逆転。桜蕾戦などを制している持ち前の攻めが冴えました。
「麻雀最強戦2022 ファイナル」でも強烈な押しを見せ、麻雀ファンを魅了しました。
菅原プロは正念場の打牌選択では今にも泣きそうな表情を見せますが、それとは裏腹の強気な攻めが印象的です。
内田プロは「麻雀最強戦2022 女流プロ令和の乱」で優勝しました。100点差で逃げきる胆力と勝負強さは見事です。
予選のA卓では、乃木坂46の元メンバーの中田花奈プロと見応えのある激しい攻め合いを繰り広げました。
BSJapanextが麻雀最強戦で活躍した3人の女流プロを選出したことについて、華のあることはもちろん、短期決戦での強さを重視しているように思います。
Mリーグは1日に2試合しかなく、出場するのはたいてい1試合だけです。その大事な一戦で力を十分発揮できる人材として、1日に多くて2試合しかなく、「負けたら終わり」の麻雀最強戦で結果を出した人気女流プロを優先したのではないでしょうか。
◎キングに復帰チャンス
最後の8人目に公表されたのは「キング」こと石橋プロです。
石橋プロはMリーグ2021-22まで4季、U-NEXT Piratesに所属。
しかし、4季連続でレギュラーシーズンの個人ポイントはマイナスで結果を残せず、Mリーグ2021-22でチームと契約満了になりました。
Mリーグ復帰を強く望んでいた石橋プロ。涙の闘牌から約1年2カ月でそのチャンスが訪れました。
Mリーグでは、滝沢和典プロがEX風林火山を離れ、KONAMI麻雀格闘倶楽部の指名を受けて移籍しています。しかし、1季以上のブランクがあってМリーガーに復帰した事例はありません。
「黒いデジタル」の異名を持ち、赤ドラ切りなど独特の打ち回しで多くのファンを持つ石橋プロがMリーガーに返り咲くことはできるのか、オーディションへの注目は高まっています。
BSJapanextが石橋プロを8人のメンバーに加えたことは、オーディションを盛り上げる意味で巧みなマーケティング戦略です。
今回、鳳凰位のタイトルを持つ日本プロ麻雀連盟・HIRO柴田プロが8人に選ばれませんでした。
HIRO柴田プロは旬なタイトルホルダーです。けれども、バランス型の雀風が攻撃を売りにするBEAST Japanextのチームカラーとはそぐわなかったのかもしれません。
オーディションは6月3日(土)から始まります。
予選A組は竹内プロ、浅井プロ、新井プロ、内田プロ。予選B組は宮内プロ、山井プロ、菅原プロ、石橋プロの組み合わせです。
予選は4戦行われ、各組1位がファイナルにストレートで進出し、4位は敗退します。
各組2位、3位の4選手がセミファイナルで4戦し、上位2人がファイナルに進みます。
ファイナルは予選各組1位の2人とセミファイナルを勝ち上がった2人が対戦。4戦の総合トップが優勝者としてBEAST Japanextからの指名権を獲得します。
誰が優勝してもおかしくないオーディション。熱戦を期待したいです。
余談ですが今回、将棋棋士との「二刀流」で日本プロ麻雀連盟に入った鈴木大介九段の名前はありませんでした。
まさにビーストを体現する強烈な攻めで最強位にも輝いている強者です。新チームの残りの3人のメンバーにきっと入っているのではないかと予想しています。
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