がんばれ!日吉さん【Мリーグ】
約5年前にその実況を初めて観戦したとき、声は良くて二枚目だけどよく噛むフリーアナウンサーかと思いました。
まくしたてるような過剰ともいえる熱い語り。一世を風靡した古舘伊知郎さんのプロレス実況を意識しているかのようでした。
ところが、ハイテンションでしゃべり続けているのにもかかわらず、リーチが入ったときの待ち牌の枚数やイーシャンテンから聴牌の確認などは素早く、勝負どころでの指摘も解説者顔負けでした。
何者かと興味を持って調べたら、日本プロ麻雀連盟所属の麻雀プロと知って納得しました。
今ではMリーグや麻雀最強戦などでおなじみの日吉辰哉プロです。
うるさく感じる人は必ずいておかしくない熱すぎる実況。賛否両論が出ると思いました。それでも、麻雀の対局では、これまでにないスポーツ中継のようなライブ感たっぷりなので人気が出ると確信しました。
予想は的中です。麻雀公式戦の実況で引っ張りだことなっています。
Mリーグでは自ら選手に話を聞き、足で稼いだエピソードをふんだんに盛り込み、興味をそそる短いキャッチフレーズを連発。その実況に熱狂的なファンが多くいます。
けれども、日吉さんの実況で鋭さに陰りが見え始めています。せっかく取り上げた選手のデータなどで、とんでもない間違いをしているからです。
例えば、Mリーグ2022-23セミファイナルの初戦でもびっくりする誤った事例がありました。
2023年4月10日(月)の第1回戦。KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人プロ、渋谷ABEMAS・松本吉弘プロ、U-NEXT Pirates・瑞原明奈プロ、EX風林火山・二階堂亜樹プロの並び順です。
実況は日吉さん、解説は土田浩翔プロでした。
南2局2本場。U-NEXT Piratesのセミファイナルの戦いについて、土田プロがレギュラーシーズン不調だった小林剛プロの復活を予言した後のやり取りです。
・土田プロ「あとは鈴木優ですよね。彼がトップを取り始めたら(パイレーツは)怖い」←正しいです。
・日吉さん「レギュラーシーズンでは4着が多いという(優プロ)本来のスタイルとは逆の着順分布に見えます」←完全な誤り。優プロは4着回避率でEX風林火山の勝又健志プロに次ぐ2位。4着は少なかったです。4着が例年より多かったのは小林プロで混同しています。
・土田プロ「なんかね、たまたま多かったようにしか見えません」←日吉さんにつられて、誤ったデータを肯定してしまっています。
レギュラーシーズンのデータに詳しくない観戦者は「優プロがラスが多かった」と真逆のことを信じてしまいます。実況としてこのようなミスはご法度です。
優プロが出場したこの日の第2回戦の解説。土田プロはさりげなく訂正していました。優プロは鳴き仕掛けが多いのにもかかわらず、放銃率は低く、ラスも少なかったことを強調。第1回戦での誤った発言に気づいたのではないかと思いました。
そもそも、日吉さんが正確な内容を話していれば、土田プロも間違えずに済んだのです。
躍動感のある熱い実況も誤った内容に基づいて発信されれば、観戦していてやっぱり興ざめしてしまいます。
多忙でお疲れかもしれませんが、日吉さんにはこのようなミスがなく、得意の「日吉節」を聞かせてほしいです。
がんばれ!日吉さん。
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