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川原プロ絶妙な鳴きで魔王を逆転

 川原舞子プロが日テレプラス麻雀リーグ2021で優勝しました。第2試合の南場の親で連荘し、連覇目前だった佐々木寿人プロを逆転しました。栄冠を手繰り寄せたきっかけは絶体絶命の状況からの鳴き仕掛けでした。

 川原プロは日本プロ麻雀連盟に所属。女流桜花のタイトルを獲得しているほか、麻雀最強戦2021のファイナルに進出、チャレンジマッチを勝ち上がって女流モンド杯に初出場を果たすなど乗りに乗っているプロ雀士です。

 今年初めて日テレプラス麻雀リーグ2021にも参加。セイラーズ・リーグとパイレーツ・リーグに分かれて16人の人気プロが頂点を目指す戦いで、順調にリーグ戦、クライマックスシリーズを勝ち進み、日本シリーズに進出しました。

 日本シリーズは2試合行われ、トータルポイントで優勝が決まります。セイラーズ・リーグから岡田紗佳プロと川原舞子プロ、パイレーツ・リーグから高宮まりプロと佐々木寿人プロが進出。川原プロは第1試合でトップを飾り、2位の寿人プロに15.5ポイントの差をつけました。

 しかし、連覇を目指す寿人プロが第2試合の東場で爆発。親の6000オールなど「魔王」らしい強烈なあがりを見せ、大きくリードします。川原プロはラス目に沈んでいました。

 第2試合の南1局を迎え、東家・川原プロ、南家・高宮プロ、西家・岡田プロ、北家・寿人プロの並び順。持ちポイントは寿人51.6、岡田45.1、高宮20.4、川原2.9です。川原プロはこの親で連荘して大きくポイントを稼くことができなければ、初出場初優勝の夢は遠のきます。

 親の川原プロの配牌です。赤ドラが1枚、索子も連続形でまずまずです。

まい1

 ところがトップ目の寿人プロがいち早く聴牌し、8巡目に3筒・6筒待ちでリーチします。

ひさと1

 リーチ・ピンフ・ドラ1・赤ドラ1の8000点の手です。この満貫をあがれば寿人プロは連覇にぐっと近づきます。

 絶体絶命の状況に追い込まれた川原プロの10巡目の手牌です。

まい2

 川原プロは寿人プロの切った8索をポンし、9索を切ってイーシャンテンに取ります。メンゼンによるピンフ主体の手作りをあきらめ、懸命の鳴き仕掛けでタンヤオのあがりを目指します。

まい3

 この思いきった鳴きが絶妙でした。川原プロはその後、7筒と3筒をツモり、3萬・6萬待ちで聴牌します。

まい4

 もし、川原プロのポンがなければ寿人プロは3筒をツモあがりしていました。川原プロは聴牌した次巡6萬をツモります。タンヤオ・赤ドラ1の1000オールです。

まい5

 鳴き仕掛けによるこのあがりはとても価値が高かったです。トップ目の決定打を狙ったリーチをかいくぐり、あがり牌を喰い取り、自身の聴牌とあがりを掘り起こしました。

 このようなあがりをものにすると、追い風が吹くのは麻雀で「あるある」です。川原プロは1本場から怒涛の連荘を見せます。

 まず1本場はリーチ・ツモ・ドラ1・裏ドラ1の4000オール(+300)です。

まい6

 2本場は寿人プロとのリーチ合戦に勝ちます。

まい7

 高宮プロから2索を打ち取り、リーチ・ピンフ・赤ドラ1・裏ドラ1の12000点(+1600)をあがります。

 そして3本場は高宮プロと岡田プロのリーチをしのぎ、東・南・赤ドラ1の2600オール(+2900)のツモあがりです。

まい8

 川原プロは3本場を終え、トップ目に立ちました。持ちポイントは東家・川原43.5、北家・寿人41.6、西家・岡田36.1、南家・高宮-1.2です。

 さらに、川原プロは南3局に岡田プロから満貫をあがってリードを拡大し、そのまま逃げ切り優勝しました。

 魔王の連覇を阻止した優勝は見事でした。夫の古橋崇志プロも大喜びだったと思います。

 川原プロはメンゼン手役派ですが、局面によって鳴きも駆使します。南1局の鳴き仕掛けは解説の馬場裕一プロから絶賛されていました。寿人プロは対局後、「ますます活躍される」と川原プロの攻守のバランスの取れた打ち筋に太鼓判を押していました。Мリーガーになってほしいプロの一人です。今後の闘牌に注目です。

 

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