来賀さん最後の闘牌
自宅の本棚を先日、整理していると麻雀漫画「あぶれもん」が出てきました。久しぶりにページをめくったらやっぱり面白くて、全巻を一気に完読してしまいました。
漫画原作者の来賀友志さんが亡くなられて約1カ月。あぶれもんの原作者として大ファンになり、Twitterのグルメに関するツイートも大好きでした。
漫画「天牌」の新作を読むことができず、来賀さんから食べ歩きの楽しい話もうかがえないのは残念でなりません。
来賀さんは麻雀の打ち手としても魅力的でした。攻守のバランスが良く、ここぞというときにかける破壊力のあるリーチは強烈でした。
公開試合で来賀さん最後の闘牌となった今年2月の「第2回 親父の頂点 大塚死闘篇」でもリーチによる切れ味鋭いあがりが印象的でした。
決勝は2試合の合計ポイントで争い、来賀さんはいずれもトップを獲得する快勝でした。
決勝のメンバーは来賀友志さん、スリアロBOSSさん、ヒデオ銀次さん、加藤哲郎さんです。
1回戦の東4局1本場です。
持ち点は南家・BOSS38300、東家・来賀25400、北家・銀次19600、西家・加藤16700です。
親の来賀さんの配牌です。「345」の三色が狙える手です。
ここから赤5索、2萬、3筒を引き入れ、5巡目にイーシャンテンです。
来賀さんは6巡目に4萬、7巡目に6萬をツモり、3索・5索・6索でリーチします。
来賀さんは一発で6索をツモ。リーチ・タンヤオ・ピンフ・一発・ツモ・赤ドラ1の6000オール(+300)です。
このあがりで来賀さんは逆転でトップ目に立ち、そのまま1回戦を逃げきりました。
2回戦の東4局です。
持ち点は南家・加藤30900、北家・銀次28900、東家・来賀27300、西家・BOSS12900です。
親の来賀さんの配牌です。ドラと赤ドラをそれぞれ1枚持ち、萬子、筒子が好形のチャンス手です。
筒子のツモが効いてドラの3筒を重ね、7巡目にイーシャンテンです。
加藤さんが7巡目に来賀さんの切った7索をチーし、2索・5索待ちで聴牌です。
来賀さんが8巡目にツモったのがなんとドラの3筒です。欲しい牌が押し寄せてくるように入ります。
5筒を切れば、4萬・7萬待ちでピンフ・ドラ3・赤ドラ1の聴牌です。
しかし、来賀さんが切ったのは役の付かない4筒でした。4萬・7萬待ちでリーチしました。
4筒は鳴き仕掛けをしていた加藤さんの現物。万が一の放銃を避け、ピンフの役を捨てて5筒を切らないところが守りの堅い来賀さんの真骨頂だと思います。
さらに、ツモの伸びから「この手」はあがれると判断して、役の付いた黙聴に構えず、安全牌を切った役なしでここぞとばかりにリーチを選択するところも来賀さんの強さです。
山にあがり牌は7枚残っていました。来賀さんは一発で7萬をツモ。裏ドラが1枚乗って、リーチ・一発・ツモ・ドラ3・赤ドラ1・裏ドラ1の8000オールです。
来賀さんは2回戦もダントツで勝利しました。
攻守のバランスをしっかりと保ち、不要な牌を早めに処理して着実に手作りする来賀さんの闘牌をもっと見たかったです。あらためてご冥福をお祈りいたします。