最強戦で感じた2人勝ち上がりの鍵握る守り
2人勝ち上がりのトップ目で、丁寧な守りが逃げきりの鍵を握ることをあらためて感じました。
2022年8月14日(日)に行われた「麻雀最強戦2022 女流プロ最強新世代」のB卓です。
トップ目だった日本プロ麻雀連盟の西城凛プロが南1局にめいっぱいの攻めに出て、手痛い跳満を放銃。その失点が響いて2位までに入れず、決勝進出を逃しました。
1人抜け出したトップ目だったので攻め一辺倒にならず、細心の注意を払っていれば防げた放銃でした。悔いの残る結果だと思います。
「麻雀最強戦2022 女流プロ最強新世代」で優勝したのは、日本プロ麻雀連盟の杉浦まゆプロです。
B卓は日本プロ麻雀協会の御崎千結プロ、日本プロ麻雀連盟の西城凛プロ、日本プロ麻雀連盟の杉浦まゆプロ、最高位戦日本プロ麻雀協会の辻百華プロの並び順です。
西城プロが東場であがりを重ね、トップ目に立ちました。南1局を迎え持ち点は南家・西城39600、東家・御崎21500、北家・辻19700、西家・杉浦19200です。
西城プロは2着目の御崎プロと18100点差あり、2人勝ち上がりなので無理してあがりに向かわなくても良い場況です。
御崎プロは満貫を続けてあがり、ラス目から2着目に浮上して親を迎えました。
西城プロの配牌です。萬子の一気通貫も視野に入ったチャンス手が入りました。
西城プロは御崎プロの親を流して勢いを止め、リードをさらに広げようと、あがりに向かいます。
一方、辻プロも「234」の三色が狙える配牌でした。
配牌リャンシャンテンでカンチャンの7索をツモればベストです。
西城プロは1巡目にドラの白をツモって手牌に残した後、2巡目に9索、3巡目に8索を続けて引き入れ、好形のリャンシャンテンになりました。
ところが、辻プロが3巡目に6筒を重ね、ドラの白を切りました。早くもイーシャンテンです。
役牌のドラを3巡目に切ったので、辻プロが好形か高打点の早い手であることは明白です。点差を考えると聴牌していればリーチをかけそうなので、イーシャンテンと読むのが自然です。
西城プロにとって、一番好ましくないのは御崎プロの連荘です。辻プロの手が早そうなので親流しを任せて、自らは安全牌を抱えてオリに回る守りを選択したほうが良かったと思います。
西城プロは4巡目に東をツモり、辻プロに合わせて白を切りました。
そして5巡目にツモったのが4索です。
辻プロの早いドラ切りに対応し、西城プロは場に1枚切れの東を安全牌として残すのではないかとみていました。4索をツモ切るか、3筒を1枚外すのか、どちらを選ぶのか注視していました。
しかし、西城プロの選択は東を切っためいっぱいの攻めです。
西城プロはとても攻めっ気の強い雀士であることがよく分かりました。けれども、トップ目なのにやりすぎのようにも思えました。
西城プロが6巡目にツモったのは6索です。
3筒などを切ればイーシャンテンになります。
西城プロはイーシャンテンに取らず、4索を切りました。
ゆったりとした重厚な打ち筋ですが、辻プロの手が早そうなのでスピードで間に合わないことを危惧していました。
その予感は的中しました。辻プロは6巡目に待望の7索をツモり、2筒・5筒待ちでリーチしました。
高めの2筒であがれば「234」の三色です。山に2筒・5筒はそれぞれ1枚残っていました。
西城プロが直後の7巡目にツモったのは5索です。
辻プロの現物は1枚もありません。西城プロは悩んだ末、3筒2枚の壁を頼りに2筒を切り、辻プロに高めを一発で放銃しました。
辻プロは裏ドラが1枚乗り、リーチ・タンヤオ・ピンフ・三色・一発・裏ドラ1の12000点のあがりです。
西城プロは痛恨の放銃です。もし、6巡目に3筒を切ってイーシャンテンに構えていたら、5萬か8萬を勝負して1筒・4筒待ちの聴牌でした。7巡目での放銃もありませんでした。
ただ、西城プロはその後、めくり合いになって、辻プロのあがり牌をつかんでいたかもしれません。
それよりも、早い巡目でドラの白を切られた時点から守りを優先し、安全牌を確保していたら跳満の放銃は防げたはずです。
西城プロは南4局1本場まで2着目につけていましたが、ラス親で3着目に落ちていた辻プロに5800点(+300)を放銃して逆転され、そのまま3位で終わりました。
西城プロは南1局の放銃がなければ、決勝進出していたはずです。攻撃型雀士にありがちの自ら決めようと前がかりすぎでした。
2人勝ち上がりでトップ目に立ったときは、めいっぱいの攻めは要注意です。守りが鍵を握ることは多々あり、「安全運転」をしっかり心掛けたほうが良い結果につながると感じた半荘でした。
西城プロはとても悔しい結果に終わりましたが東場の戦いぶりは見事でした。この経験を活かして捲土重来を期してほしいです。