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決め手を阻止する堀プロの凄み

 ここ一番で力を発揮する雀士の特長に決定打を与えない踏み込みの強さがあります。

 リードされているときに、試合の勝利を大きく近づけるトップ目の加点を阻止するのです。

 2022年7月23日(土)の「麻雀最強戦2022 男子プロ魂の一打」の決勝で見せたKADOKAWAサクラナイツの堀慎吾プロの闘牌がまさにそうでした。

 優勝したのは最高位戦日本プロ麻雀協会の友添敏之プロです。

 堀プロは優勝を逃したものの、その強さをあらためて実感しました。

 トップ目に立った友添プロの決め手となるあがりを堀プロは2度も阻止しました。特に親の友添プロのリーチにひるまず、ドラを勝負して逆襲であがりをものにした東4局には凄みを感じました。

 堀プロが見事な踏み込みを見せた東3局と東4局を振り返ります。

 決勝は渋谷ABEMASの多井隆晴プロ、セガサミーフェニックスの近藤誠一プロ、KADOKAWAサクラナイツの堀慎吾プロ、最高位戦日本プロ麻雀協会の友添敏之プロの並び順です。

 この試合は東2局に親の近藤プロが百戦錬磨の打ち筋で4000オール、7700点(+1300)を続けてあがり、リードしました。

 しかし、東2局2本場で3000、6000(+600)をあがった友添プロが逆転でトップ目に立ちました。

 東3局を迎え、持ち点は南家・友添43900、北家・近藤38800、東家・堀14800、西家・多井2500です。 

 前局に跳満をツモって勢いに乗る友添プロに絶好の手が入りました。なんと2巡目にチートイツの白単騎待ちでリーチです。

堀1

 リーチ・チートイツ・ドラ2の満貫確定の手です。ツモれば跳満、ツモって裏ドラが乗れば倍満になります。

 この手をものにすれば友添プロは優勝にぐっと近づきます。山には白が3枚残っていました。

 リーチ直後の堀プロの手牌です。聴牌にはまだ少し時間がかかりそうな手です。

堀2

 堀プロは友添プロのあがりを阻止して勢いを止め、連荘しようと踏み込みます。危険牌を次々と切りました。

 誰も白をつかまず、堀プロはツモが効き、8巡目にイーシャンテンです。

堀3

 堀プロは12巡目に8索をツモり聴牌。2索・5索待ちでリーチしました。

堀4

 2索・5索は山に5枚残っていました。

 リーチ合戦を制したのは堀プロです。友添プロが15巡目に5索をつかみ、堀プロに放銃。堀プロはリーチ・ピンフ・ドラ1の5800点のあがりです。

 堀プロは友添プロの大きなチャンス手を潰しました。友添プロは2着目に転落しました。

 けれども、友添プロの勢いは衰えません。続く東3局1本場でラス目の多井プロがめいっぱいに構え、ようやく聴牌。そのリーチ宣言牌を友添プロは打ち取って満貫をあがり、再びトップ目に浮上です。

 東4局を迎え、持ち点は東家・友添45400、西家・近藤38800、北家・堀21600、南家・多井-5800です。

 友添プロは親でも好調が続いていました。あっという間に聴牌し、4巡目にリーチです。

堀5

 リーチ・ドラ1の7筒・6索・9索待ちの手です。山にはあがり牌が4枚残っていました。

 リーチ直後の4巡目に4筒をツモった堀プロの手牌です。

堀6

 堀プロはリーチに通りそうな西を切ってリャンシャンテンです。

堀7

 堀プロは友添プロにこの親で加点されれば、逆転するのが絶望的になると考えていたようです。この一局でも果敢に踏み込みました。

 堀プロは5巡目にカンチャンの5索を引き入れ、リーチに通っていない3萬を1枚切ってイーシャンテンに構えました。

堀8

 友添プロのリーチ宣言牌は4萬です。「445」の形から4萬を切った3萬・6萬待ちの可能性があり、3萬はかなりの危険牌です。

 それでも堀プロは3萬を強気に切りました。

 堀プロが6巡目にツモったのが8筒です。

堀9

 広く受け入れられる8索を切りたいところですがドラです。友添プロが5索を切っているので、8索は筋なものの通っていません。

 もし、ドラの8索であがられれば堀プロの大きな失点となります。堀プロは悩んだ末、8索を勝負しました。

堀10

 筋とはいえ、まだ聴牌していないイーシャンテンでのドラ切りです。ものすごい胆力で堀プロに凄みを感じました。

 堀プロはドラの8索を通した後、8巡目に8筒を暗刻にして聴牌しました。ここでも危険牌の6筒を切り、1萬・4萬待ちでリーチです。

堀11

 安めの1萬であがればリーチのみの手ですが、堀プロは不退転の姿勢で勝負に出ました。1萬・4萬は山に4枚残っていました。

 リーチ直後に8萬をツモった多井プロの9巡目の手牌です。2人に通る共通安全牌はありません。

堀12

 親の友添プロにこれ以上リードを広げさせるわけにはいきません。友添プロが4萬を切っていたので、多井プロは親に通りそうな1萬を切りました。

堀13

 この1萬が堀プロにつかまりました。堀プロはリーチ・一発の2600点のあがりです。またも友添プロの加点を阻止しました。

 多井プロは友添プロに決定的なあがりをさせない緊急回避の1萬切りだったと思います。「最速最強」の名にふさわしい放銃でした。

 堀プロは優勝できませんでしたが、麻雀ファンを魅了する踏み込みでした。10月のMリーグ開幕が楽しみです。

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