最強戦実行委員長という名の何様
長年観戦している麻雀最強戦に関して、がっかりさせられることがありました。実行委員長を務める金本晃近代麻雀編集長のツイートです。
麻雀ファンから大会の運営責任者としてあるまじき不適切な内容という趣旨の批判が相次いでいます。Mリーグ発足を機に高まる麻雀の人気と社会的な地位向上に水を差す発言と言わざるを得ず、とても残念です。
ツイートは2022年7月23日(土)の「麻雀最強戦2022 男子プロ魂の一打」に出場する友添敏之プロについて触れたものです。
男子プロ魂の一打で優勝して、麻雀人生を変えたいと意気込む友添プロに対して、「それは無理。残念ながら無理。現実のメンバーを見りゃバカでもわかる」と挑発的な言葉で敗退を断言しています。
さらに、「最強戦では完膚なきまでに散る! これぞ愉悦!」とまで強調しています。愉悦とは心の底から物事を楽しみ、喜ぶことです。
「(優勝が)無理なのは分かってて本人がもがいてる」懸命なプロの負ける姿を見るのがそんなに楽しいのでしょうか。麻雀最強戦は簡単に勝てる甘いものではない、もがいて散る姿は美しいとでも言いたいのでしょうか。
麻雀の1ファンとしての発言だったとしても好ましくないです。まして、公平・公正であるべき大会実行委員長の立場ならば、どんな意図があろうとも、1選手について試合前から敗退すると決めつけ、それを「愉悦」と表現するのは理解できません。
麻雀最強戦予選に出場したことのある麻雀ファンが「何様のつもりだ」と気分を害しているのもよく分かります。
◇「炎上商法」は不要
これは金本委員長の「炎上商法」と推測します。過激発言をあえてして、他の出場選手より知られていない友添プロへの麻雀ファンの同情と関心を集め、大会を盛り上げようという狙いがあるのではないでしょうか。
男子プロ魂の一打のB卓で友添プロが大会責任者のありえない挑発にめげず、いずれもMリーガーで強豪の近藤誠一、勝又健志、松ヶ瀬隆弥の3プロと戦って勝ち上がれば、ドラマのようになって面白いと考えているのかもしれません。
けれども、もし、そうならばそんな「演出」はすべきでありませんでした。「炎上商法」はすでに時代にそぐわないのです。
「ツイートを見て当日の試合を見る気がなくなった」という不快に感じる声がファンから出ているので、逆効果になってしまっています。
◇失敗は生かされず
出場選手を挑発する「炎上商法」で金本委員長には「前科」があります。一瀬由梨プロについて取り上げた昨年の麻雀最強戦2021に関するnoteです。
麻雀最強戦2021のファイナルに進出した一瀬プロは母親から贈られたワンピースがお気に入りで、幸運を呼ぶ服としてタイトル戦などの重要な一戦で必ず着ていました。
それを金本委員長はファイナル前の予選振り返りで、「同じ服ばかり着て臭くないのか」と揶揄。臭って男性プロの細い目も開くかもしれないなどというおちょくった内容を載せました。
もちろん冗談のつもりだったのでしょうが、品性のかけらもなく、ひどすぎます。大切な洋服をからかわれた一瀬プロの気持ちを考えると、心が痛みました。
さすがに該当部分は削除され、金本委員長が一瀬プロに謝罪しました。けれども心底では、反省していないのではないかと疑っていました。
一瀬プロはファイナルで国士無双をあがり、金本委員長から役満賞を受け取りました。そのとき、金本委員長が発したのは、服の購入に使ってくださいという趣旨の言葉です。
全く笑えないジョークでした。ファイナルの熱戦に魅せられ、楽しかった気分が一気に冷めました。本当に反省していたら服のことには一切触れないと思います。
金本委員長には自身の「炎上商法」により、一瀬プロがこれまでに増して注目されたという考えがあったと見ています。黒木真生プロとのその後のやり取りでそう感じました。
だから、再び言わずもがななことを述べてしまったのでしょう。
しかし、コンプライアンスの厳しい時代に金本委員長のようなやり方は通用しなくなっています。
例えば、将棋の女流タイトル戦で主催者の責任者が出場している女流棋士に対して金本委員長のような発言をして、公になれば批判を受けるのは必至です。テレビ、新聞、週刊誌などで報じられる可能性もあり、2度とタイトル戦とかかわることはできなくなるでしょう。
企業だったら同僚や部下にそのような発言をして発覚すれば、厳しい処分を受けます。立場の弱い部下に対してならばさらに重くなるのは間違えありません。
◇強い力を持つ立場
金本委員長は麻雀界で強い力を持っています。
Mリーガーを目指す麻雀プロはたくさんいます。しかし、枠はなかなか空かず、タイトルホルダーからといって必ず指名されるわけでもなく、極めて狭き門です。Mリーグの舞台に立てるのは、ほんの一握りだけです。
麻雀プロがMリーグとともに出たい大会が麻雀最強戦だと思います。30年以上続く大会で幅広く認知されており、多くの人に活躍する姿を見せられるからです。
その出場者を決める最高責任者が金本委員長です。若手プロらは何とかして委員長の眼鏡にかなって、道を開きたいと願っていることでしょう。
どうしても出場権を持つ金本委員長には逆らえにくい構図ができあがってしまっています。だからこそ委員長が出場選手の発奮を促したり、良かれという思いがあったとしても、蔑むような言葉を発すると、強い立場にいるのでファンはしゃれに受け取れず、いじめているような不快感を覚えてしまうのです。
また、「炎上商法」による主催者側の発言を不適切ととらえたファンの怒りが、スポンサーへの批判に向かう恐れもあります。
そのような最悪の事態に陥らないように、麻雀最強戦のスポンサーであり、Mリーグを立ち上げたサイバーエージェントの藤田晋代表取締役には、麻雀ファンの気持ちを逆なでする発言のなかなか絶えない金本委員長に注意を促してほしいです。
麻雀最強戦には余計な「演出」は不要です。強い麻雀プロが知力と技術、勝利への執念を尽くして戦えば、自ずと名試合が生まれます。
昨年の麻雀最強戦2021のファイナルで瀬戸熊直樹プロが優勝した決勝はまさにそうでした。
今年のファイナルにも熱戦を期待したいです。
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