新津プロの趣深い三倍満
新津潔プロがモンド麻雀プロリーグ第16回名人戦の予選第4戦で三倍満をあがりました。「シュンツマスター」として知られる新津プロらしい丁寧で趣深い打ち筋でした。
予選第4戦はともたけ雅晴プロ、河野高志プロ、前原雄大プロ、新津潔プロの並び順。東3局2本場(供託1)を迎え、持ち点は西家・ともたけ27000、東家・前原26000、南家・新津23000、北家・河野23000です。
新津プロの配牌です。索子が連続形で場風の東をトイツで持つチャンス手です。
ドラの中を重ねてメンゼンホンイツ・チートイツ・ドラ2を狙いたいところです。
チートイツ嫌いを公言している新津プロですが、縦方向へのツモに合わせて着実に手作りします。
6巡目までに3索、4索、7索を引き入れ、リャンシャンテンです。
新津プロは6巡目に河野プロが切った東を鳴かず、メンゼンで手を進めます。堅実な新津プロらしい選択です。
10巡目に待望のドラの中を重ね、9索を切ってイーシャンテンです。
11巡目に1索をツモり、4索を切りました。
チートイツ嫌いの新津プロですが、しっかりとチートイツの可能性も残し、メンツ手との両天秤に取りました。
一方、トップ目のともたけプロは11巡目に4索をツモりました。6筒か7筒を切れば聴牌です。
7筒を切れば5筒・8筒待ちです。役はありませんが場況では良さそうな待ちで、山に3枚あがり牌がありました。
6筒を切れば1筒と7筒のシャンポン待ちでツモり三暗刻の聴牌です。
ともたけプロは手役派らしく、ツモも縦に効いていたので6筒を切ってリーチしました。1筒と7筒は場に計2枚出ていて、山に1筒が1枚残っていました。
これが裏目となりました。ともたけプロは7筒を切っていれば13巡目に8筒をツモあがりしていて、新津プロの三倍満は成就していませんでした。
新津プロの索子の一色手は明白でした。手も進んでいそうだったので、ともたけプロがツモり三暗刻にはこだわらず、5筒・8筒待ちで早めにあがりを取りにいく選択もあったのではないかと思います。
新津プロは13巡目に東をツモって暗刻にして3索を切り、6索とドラの中のシャンポン待ちで聴牌です。
ともたけプロがリーチしていて、ドラの中は他から出そうにありません。新津プロがともたけプロとのめくり勝負を仕掛け、リーチするかもしれないと思っていました。
けれども、黙聴で安めの6索の出あがりでもメンゼンホンイツ・東・ドラ2の跳満です。新津プロは黙聴でも点数は十分と判断し、他からのわずかな6索ポロリの可能性も狙って黙聴に構えました。とても堅実です。
あがり牌はドラの中が山に1枚残っていました。
親の前原プロも16巡目に追いつき、2筒・5筒・8筒待ちで聴牌しました。残りのツモ番が少なく、こちらも黙聴です。
その直後、新津プロがツモったのはラス牌の中です。
新津プロはメンゼンホンイツ・三暗刻・東・中・ツモ・ドラ3の6000、12000(+2600)です。ベテランらしい味わいのある三倍満でした。
麻雀では「あがりを逃すと『事件』が起きる」とよく言われます。今回も、ともたけプロがあがりを逃し、新津プロの大物手が間に合ってしまいました。
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