![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78802498/rectangle_large_type_2_5814e7b0d0f0737160d862f8d3b49ca4.jpg?width=1200)
大魔神・飯田正人プロの国士無双
最高位、最強位など数多くのタイトルを獲得した飯田正人プロ。5月18日は飯田プロの命日です。2012年に63歳で亡くなられ、10年になります。
飯田プロは「大魔神」の異名を持ち、温かい人柄でたくさんの麻雀プロやファンに愛され、重厚な雀風と巧みな押し引きで無類の強さを誇りました。その素晴らしい打ち筋をnoteで随時振り返りたいと思います。
今回は2010年の第5回モンド名人戦予選第9戦であがった国士無双を取り上げます。飯田プロらしい基本に忠実な打牌選択が印象的でした。
予選第9戦は小島武夫プロ、沢崎誠プロ、荒正義プロ、飯田正人プロの並び順。持ち点は東家・小島30000、南家・沢崎28900、西家・荒24900、北家・飯田16700です。
飯田プロの配牌です。メンツは1つもなく、国士無双を目指しました。
飯田プロは基本に沿って5巡目まで筒子と萬子だけ捨てて、索子のホンイツに見せる工夫をしました。1・9・字牌を順調にツモり、7巡目にイーシャンテンです。
飯田プロの欲しい東は山に1枚、白は2枚残っていました。
沢崎プロが12巡目に白をツモり、手牌に残します。
荒プロも12巡目に4枚目の白をツモり、手牌に残さず切ります。
白は山になくなり、場には3枚切られており、沢崎プロの手牌にある1枚のみとなりました。
飯田プロは12巡目に1筒をツモ切りしました。沢崎プロが荒プロのツモ切りに合わせて13巡目に白を切れば、白は場に全て見え、飯田プロの国士無双の可能性は消滅します。
ところが、沢崎プロは13巡目に9索をツモ切りし、白を残しました。この白を合わせて切らなかったことが「大事件」を呼びました。
荒プロは13巡目に2萬をツモって發を切り、イーシャンテンです。
飯田プロは13巡目に待望の4枚目の東を引き入れ、西を切って白待ちで国士無双を聴牌しました。
荒プロは15巡目に9筒をツモり、飯田プロの国士無双を警戒して安全牌の4筒を切り、オリに回ります。
沢崎プロが白を切らず、場に4枚見せなかったのは、荒プロに国士無双への警戒で手を崩させるのが狙いだったかもしれません。
一方、飯田プロは15巡目に1萬をツモ切り。16巡目に4枚目の1萬をツモり、手牌にある1萬を手出しで切りました。
終盤を迎えて国士無双を諦め、オリに回ったように見せる空切りでした。手拍子で1萬を続けてツモ切らず、基本に忠実で丁寧な打牌選択です。
この空切りが奏功しました。沢崎プロは飯田プロがオリに回ったと誤認。17巡目に9筒をツモって白を切り、飯田プロに放銃しました。飯田プロは国士無双の役満32000点(+300)のあがりです。
沢崎プロにはとても痛い判断ミスです。けれども飯田プロの丁寧な打ち筋があがれないはずの役満を成就させたのだと思います。
飯田プロにはかつて麻雀最強戦を観戦したとき休憩時間に話す機会をいただき、麻雀についての質問に笑顔で丁寧に答えてもらったことは忘れられない思い出です。タイトル戦などでその重厚な打ち筋をもっともっと見たかっです。