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オーラスに勝又プロが底力
軍師の異名を持つEX風林火山の勝又健志プロが2022年4月4日(月)のMリーグ2021-22のセミファイナル第18戦でオーラスに底力を発揮しました。
親の先行リーチにひるまず、覚悟を決めてドラを切ってリーチ。一発でツモあがりし、トップには届かなかったものの見事に2位に浮上しました。
昨シーズンのファイナルでトップを続けて獲得し、EX風林火山を優勝に導いた軍師の面目躍如です。
第18戦はEX風林火山の勝又健志プロ、KADOKAWAサクラナイツの沢崎誠プロ、渋谷ABEMASの日向藍子プロ、U-NEXT Piratesの朝倉康心プロの並び順です。
南4局1本場(供託1)を迎え、持ち点は北家・日向37300、東家・朝倉32700、南家・勝又19000、西家・沢崎10000です。
勝又プロが9巡目にいち早く聴牌。イーペーコー・ドラ2・赤ドラ1の手です。
勝又プロは出あがりの難しいドラ表示牌のカンチャンの7萬待ちなので、手変わりを狙って黙聴に構えます。
親の朝倉プロが追いつき、トップを目指して11巡目に1萬・4萬待ちでリーチします。
勝又プロが12巡目にツモったのが5萬です。
勝又プロは朝倉プロに通っていない危険牌でドラの8萬を切り、4萬・7萬待ちでリーチします。勝負どころで覚悟を決めてしっかり押す勝又プロらしい胆力です。
すると一発で4萬をツモ。裏ドラが1枚乗って、リーチ・ピンフ・一発・ツモ・ドラ1・赤ドラ1・裏ドラ1の3000、6000(+2300)です。
このあがりで持ち点は日向34200、勝又33300、朝倉25600、沢崎6900で終了。勝又プロは900点差でトップに手は届きませんでしたが見事な2位浮上です。セミファイナル後半戦の重要な試合でさすがの勝負強さに感服です。
ただし、勝又プロのあがりには伏線がありました。南4局の日向プロの選択でなかったはずの1本場に入ったことです。
南4局を迎え、持ち点は北家・日向38800、東家・朝倉31200、南家・勝又18500、西家・沢崎11500です。
終盤までそれぞれが最後の1牌が入らず、じりじりとした場況でした。
14巡目に場風の南をツモった日向プロの手牌です。
日向プロは南をツモ切りし、イーシャンテンを維持しました。
これが裏目となりました。この南を親の朝倉プロが鳴き、カンチャンの7筒待ちで聴牌です。
朝倉プロが聴牌のまま流局し、連荘となりました。南は場に1枚切れだったとはいえ、鳴かれる可能性は十分ありました。
日向プロが南を切らずにオリに回っていたら親の朝倉プロは聴牌せず、この局で終了。勝又プロの跳満は幻になっていました。
試合後のインタビューで日向プロも自ら反省していたように、終盤の南切りは甘い一打だったと思います。
この試合でもう1つ疑問を覚える選択がありました、南2局の朝倉プロの一打です。
南2局を迎え、持ち点は西家・朝倉42000、北家・勝又24500、東家・沢崎21700、南家・日向11800です。
トップ目の朝倉プロは6巡目に8索、7巡目に2萬をチーしてイーシャンテンです。
ラス目の日向プロが8巡目に赤5萬を切り、カンチャンの8萬待ちでリーチします。
「789」の三色確定の勝負手です。日向プロは力強くリーチ宣言牌の赤5萬を切りました。
日向プロのリーチを受け、朝倉プロが9巡目に7筒をツモった手牌です。
5筒を切れば、2索・5索待ちの聴牌です。けれども5筒は日向プロの危険牌です。
朝倉プロは5萬の筋の8萬を1枚外して日向プロに放銃。日向プロはリーチ・三色・赤ドラ1の8000点です。
日向プロはこのあがりで息を吹き返し、続く南3局の親番で6000オールをあがり、一気にトップ目に立ちました。
南2局で朝倉プロは2フーロしてあがりを目指していたのだからこそ、5筒を切って2索・5索待ちで勝負してほしかったです。日向プロのリーチをしのぐには残った手牌が狭すぎます。仕掛けたのならば徹底して押す場況だったと思います。
また、ここで回るのならば、そもそもトップ目なので中途半端に鳴き仕掛けをせず、メンゼンで慎重に手作りしたほうが良かったと考えます。
この試合は朝倉プロがトップを獲得できそうだっただけに、リーチ宣言牌の筋とはいえ、8萬切りはちぐはぐな感じがして残念でした。