『アウトレットモールはスーパーマンな無空間』 2023年4月11日

幼少期から今に至るまで、艱難辛苦を乗り越えて、「グロい映画の予告が流れるかもしれない上映前の予告時間」、「数学の成績が振るわない者だけが集められる会議」などの聞くに堪えない苦痛を克服してきた。
いわばスーパーマンである私。

そんな私にも1つ、たった1つだけ克服できなかったモノがある。
そう、『アウトレットモール』である。

幼少期、親に連れて行かれたり、青年期、友人連中に連れ出されたりと、過去アウトレットに行く回数は両手の指じゃ足りないほどにあった。
しかし、そのすべての試行回数を以てしても克服することは敵わない。

何故か、無論である。
『服しかない』からだ。

親も友人も共に入れば最後、空と鏡と布しかない文学的な空間に長時間放り出される。
結果、鏡に向かって変顔したり、チンポジ直したり、誰からも連絡が来ないSNSを開いて閉じてまた開くなど不毛な時間を過ごすことを余儀なくさせる。
それならまだ4世代環境でで4V粘って卵割り続ける方がマシといったものである。

しかし、砂漠にオアシスがあるように、どんな環境下でも救いはあるものだ。私はアウトレットにいるとき、その存在に縋り続けた。「レゴストア」「海外のよく分からないグミの販売所」
日常生活において、私が1ミリも興味を向けることのなかった彼らはそれでも私を救い続けてくれたのだ。

そしてスーパーマンのように、その救いに見返りはない。
布しかない世界で、彼らだけが味方だった。
だから、私がどんなにアウトレットを憎んでいようと、結果としてアウトレットは私に誰よりも分かりやすく『助け合い』を教えてくれたのだ。

見返りを求めずに私に諭してくれるアウトレット。
スーパーマンは彼だったのかもしれない。

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