【ネット歯科大】中学生の40%が歯周病
多くの方にみられる歯周病は、国民病といっても差支えないでしょう。成人の8割程度が罹患しているとされています。
歯周病は中年以降に増加する病気です。では若年者ではどれくらいの人にみられるのでしょうか。
厚生労働省の令和4年(2022年)歯科疾患実態調査の結果をみると、10~14歳で歯ぐきからの出血がある人の割合は40.2%となっています。中学生のうち、5人に2人は歯周病だといえます。
歯ぐきからの出血がある人の割合を年齢層別で確認すると、多少の増減はありますが、どの年代でもおよそ40-50%となっています。
一方で、4mm以上の歯周ポケットがある人の割合は、高齢になるにつれて増加する傾向がみられます。
15~19歳で歯周ポケットを有する人の割合は14.3%です。歯周ポケットを有する人の割合は75~79歳のカテゴリーが最大となり、60.5%となります。
歯ぐきからの出血は、歯周病の中では軽度のものである「歯肉炎」からみられます。一方で歯周ポケットがみられるのは、主に進行した歯周病である「歯周炎」の特徴です。
つまり、若年者では歯肉炎が多くなっています。歯肉炎は、治療により元に戻すことができる状態です。
一方の歯周炎では、治療によって元に戻すことは困難です。歯を支えている骨が溶けてしまっており、そのすべての回復を見込むことはできません。
また、歯周ポケットを有する人の年次推移のデータもあり、過去から現在までの変化を知ることができます。15~24歳の区分において歯周ポケットを有する人の割合は、2005年に7.2%だったものが、2022年には17.8%となっています。すなわち、増加しているという傾向が読み取れます。
若い人では骨が溶けている歯周炎の割合は多くないとはいえ、過去と比較すると状況が悪化していることがわかります。
以上のことから、軽度の歯肉炎だからといって軽視することなく、若いうちからお口のケアを習慣づけることが大切だといえます。
歯周病は痛みのない病気なので、気づかないうちに進行してしまいます。口の細菌の割合によっては、歯をよくみがいている人でも進行してしまうことがあります。出血など、気になる症状がある方は、お早めに歯科医院を受診してください。
神奈川歯科大学 青山典生
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