【ネット歯科大】歯科学生は知識以外も必要
歯科医師になるには、歯科大学や歯学部にて6年間の教育を受けます。
そして、最終的には歯科医師国家試験を受験し、合格する必要があります。実際にはその後1年以上の歯科臨床研修を経験することになりますが、大学を卒業して歯科医師国家試験に合格すれば、ひとりの歯科医師です。
国家試験は筆記の選択式試験なので、知識を評価することになります。では歯科医学に関する知識だけあれば歯科医師になれるかというと、そうとは限りません。
6年間の大学在学中に、知識以外を評価する試験が設定されています。
たとえば、臨床実習といって、5年生か6年生には病院において実際の患者さんのいる現場で学修します。臨床実習の前に、病院に出る学生としてふさわしいかを判定する試験があります。
また、約1年間の臨床実習を終えるにあたって、身につけるべきものが身についているかを評価する試験もあります。
それらの評価には、模型または実際の患者さんを対象とした実技試験が設定されています。
実技試験では知識だけでなく、学生の態度や技能の判定がおこなわれます。
知識については筆記による定期試験でも評価できますが、態度や技術について筆記試験で評価することは困難です。このため、実技形式による試験が導入されています。
さまざまな試験が導入されていることは、学生にとって負担になるという面もありますが、その一方で本人の強みを見いだすきっかけになるともいえます。
たとえば、筆記試験では少し苦労しているような学生でも、技術の面では素晴らしい実力を発揮する人もいます。また、患者さんを対象とした実習の現場において、相手に寄り添うことのできる、医療者としてふさわしい資質を見せてくれる学生もいます。
このように自身の強みがわかることで、歯科医師になったあとの進路に見通しを立てることができるのも、さまざまな種類の評価がおこなわれる利点のひとつといえます。
一方で、評価を担当する教員の負担はどうしても大きくなりがちです。筆記試験と比較して実技試験ではマンパワーが多く必要とされ、この点は課題といえます。
適切な歯科医療を担うべき歯科学生に対する評価は、筆記試験だけではありません。知識はもちろんのこと、一定水準の技術やふさわしい態度も身につけることが歯科学生に求められています。
神奈川歯科大学 青山典生
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