【ネット歯科大】歯科保存学とは
歯科の分野のひとつに「歯科保存学」というものがあります。今回は歯科保存学について見ていきます。
特定非営利活動法人・日本歯科保存学会のホームページによると、「歯科保存治療とは、歯を抜くことなく、いつまでも自分の歯で噛めるように治療を行い、大切な歯を口の中に維持、保存し機能させていくことを目的とした歯科の一分野」とあります。
すなわち、歯科保存治療とは歯を保存して機能させるようにするための治療であり、そのような内容を学問として取り扱う場合に歯科保存学と称します。
歯科保存治療には主に3つの治療法が含まれ、「保存修復治療」「歯内療法」「歯周治療」に分けられます。
保存修復治療は、むし歯などで歯の一部を失った際に修復する治療法です。主にコンポジットレジンという樹脂を用いて、歯を修理する治療のことです。
歯内療法は、大きなむし歯などが原因で必要となる、歯の神経の治療のことです。細かい器具を用いて、歯の内部にある神経が通る管をきれいにします。
歯周治療は、歯周病にかかった歯の治療のことです。歯と歯ぐきの境目を清掃することなどが主な治療法です。
以前は、歯科病院の外来などに「歯科保存科」などといった診療科が多くありましたが、今では患者さんにわかりやすいように変わってきています。病院によって呼び方はさまざまですが、むし歯や歯周病などのわかりやすい言葉が含まれるようになってきました。それでも、「保存」という言葉が使われる場合もあります。
一方で、歯が大きく欠けたケースや、歯を失ったケースで行う治療法を、補綴(ほてつ)歯科治療といいます。
補綴歯科には、歯を大きく失った際に行うクラウンという治療も含まれます。クラウンとは、冠という意味そのもので、歯のかぶせものを表す用語です。
保存と補綴は歯科の一般的な治療においてひんぱんに行う治療法ですが、その境界ははっきりしていない部分があります。
特に、クラウンによる治療は、歯を抜くことなく自分の歯でかめるようにするための治療でありながら、歯科保存治療には区分されず、補綴歯科治療とされています。
歯科の領域ではよく使用する歯科保存学というジャンルですが、一般の方には少しわかりにくいかもしれませんね。
神奈川歯科大学 青山典生