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【ネット歯科大】歯科医師が使用するグローブの目的

 歯科医師をはじめとする歯科医療従事者は、検査や処置中にグローブ(手袋)をしていることが一般的です。
 
 歯科ではひんぱんに口腔内に触れ、その口腔内は唾液にあふれています。また、歯科治療中には出血を伴うこともしばしばあり、唾液に血が混じっている状態も多くあります。
 
 このように患者さんの体液に直接触れることにより感染のリスクがあるため、歯科医師はグローブを装着して処置を行います。
 
 また、患者さんの口の中の粘膜に触れる際に、歯科医療者の皮膚が直接触れないようにすることで、患者さんへの感染を防ぐという意味もあります。
 
 特に感染予防が重要な処置、たとえばインプラント埋入などの外科治療においては、滅菌グローブを使用することもあります。これにより、無菌の環境下で処置を進めることができます。
 
 正確には、患者さんの口腔内には細菌が存在するので、外部からの細菌の混入を防ぐということになります。
 
 通常の歯科治療、たとえば歯石除去などの際には、滅菌のものではないグローブを使用します。
 
 ただし、グローブを装着していても、完全に隔離されているとは限りません
 
 たとえば、グローブにはある程度の割合でピンホールと呼ばれる微細な穴があいているとされています。微細とはいっても細菌は通過できてしまう程度の大きさなので、この点には配慮が必要です。
 
 そこで、グローブ装着前や外した直後に、手を洗ったり消毒したりすることが重要となります。
 
 さて、少し異なる観点として、歯科材料は温度の変化によりかたまったり緩くなったりするものが多用されています。材料の温度を感じる際、グローブを介して確認することと比べたら、当然ながら直接確認した方がわかりやすいといえます。このように材料の温度や状態を確認するために、あえてグローブを装着していない皮膚の部分を利用することもあります。
 
 グローブを装着した手で触れることができるのは、患者さんの口腔内と同一環境と考えられるエリアだけです。たとえば、滅菌された歯科用ミラーであるとか、明かりの位置を調節する取っ手などが該当します。
 
 患者さんおよび歯科医療者を守るために、接触していい部分を適切に管理する必要があるのです。
 
神奈川歯科大学 青山典生


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