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【ネット歯科大】歯周病をそのままにしたらどうなるか

 歯周病はありふれた病気です。厚生労働省のデータによると、成人の70~80%に歯周病がみられます。
 
 本来であれば、歯周病に限らず病気は早期発見・早期治療が望ましいです。しかし、歯周病はそれほど痛みの出ない病気であることから、歯周病治療のために歯科医院を受診している人はまだまだ少ないというのが実情です。
 
 今回は歯周病をそのままにしたらどうなるのかについて、データを元に考えてみます。
 
 歯周病をそのままにした場合、専門的にはこれを「自然経過」と呼びますが、その調査をおこなったいくつかの研究があります。
 
 それらをまとめると、歯周病にはかかりやすい人とかかりにくい人がいるということがわかります。
 
 おおまかに分けると、10%の人は歯周病が非常に進行しやすいタイプです。
 
 反対に、歯周病が進行しにくいタイプも10%います。そして中間の80%の人は、一般的な速さで歯周病が進行するタイプといえます。
 
 歯周病が進行しやすいタイプの人では、治療や予防によっても、歯の喪失をなかなか食い止められないことがあります。
 
 その一方、あまり気にせずに歯みがきをしていても、歯周病の進行、具体的には歯の周りの骨の吸収があまり進まない人もいます。
 
 歯周病は、個人差の大きな病気です。
 
 これは進みやすさの点でもそうですし、治療に対する反応という意味でも当てはまります。すなわち、歯周病治療を受けて効果が顕著に出る人もいれば、あまり効果が得られない人もいるということです。
 
 ただし、誤解していただきたくないこととして、歯周病の進行が遅いタイプでも歯のケアが必要ないということはありません。
 
 たとえ歯周病が進行した状態になりにくいということはあっても、口の中に細菌がたまればどんな人でも歯ぐきの腫れは生じます。また、もうひとつの口の二大疾患であるむし歯については、歯周病とは原因菌から進行メカニズムまでまったく異なりますので、それに応じたケアが不可欠です。
 
 歯周病の自然経過の研究は、歯科医院がない環境で、普段私たちが使用するような歯ブラシを用いた歯みがきの習慣もない方を対象として、歯周病の状態を評価したものです。したがって、食事や生活様式が変化している現代社会にそのまま当てはめて考えるのは注意が必要だとも考えられます。
 
 歯は失ったら取り返せません。歯周病は歯を失う主原因のひとつですので、歯周病の特徴を理解しつつ、効果的なケアを継続することが大切です。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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