【ネット歯科大】むし歯ができやすい部位
口の2大疾患は歯周病とむし歯(う蝕)です。今回はそのうちのひとつ、う蝕に関して、歯のどの部分にう蝕ができやすいかを紹介していきます。
どの部分にう蝕ができやすいかを知っておくことで、歯みがきの際に特に気をつけたり、鏡を見てチェックしたりすることが可能です。
う蝕ができやすい部分は、3か所あると知られています。歯のかむ面の溝、歯ぐきの近く、そして歯と歯が接触している面です。
まず歯のかむ面の溝ですが、その深さや形は人それぞれです。特に溝が深いような人ではう蝕の発生に要注意ということになります。
かむ面であるため、食べものと触れる機会が多くなります。甘いものや粘着性の食べものは歯に残りやすいことも、う蝕が発生しやすい原因のひとつです。
続いて、歯ぐきの近くもう蝕が発生しやすい部位です。歯ぐきに近い歯の部分を歯頚部(しけいぶ)と呼ぶのですが、歯頚部う蝕は非常によく見られる状態です。
歯頚部はみがき残しが多くなりやすく、そこからう蝕が進んでしまうことが考えられます。なお、歯頚部のみがき残しは歯周病進行にもつながるため、合わせて注意する必要があります。
さらに、歯と歯が接触する部分のう蝕もしばしばみられます。歯同士が接触する部分をコンタクトと呼び、やはりう蝕の好発部位です。
コンタクト部は狭いため、どうしてもみがき残しが生じがちです。歯ブラシだけでは届かないことが多く、コンタクト部の清掃にはデンタルフロスを併用することが有効です。
コンタクト部のう蝕でやっかいなのは、片方の歯にう蝕ができている場合、接触しているもうひとつの歯の面にもう蝕が生じていることがあることです。
なお、歯ぐきが下がっている場合、歯の根の面にもう蝕が生じやすくなります。歯の表面はエナメル質という硬い組織ですが、歯の根の面はセメント質といって組成が異なります。このため、歯ぐきが下がって歯の根が露出すると、その表面であるセメント質にう蝕ができやすいのです。
歯の面にはう蝕ができやすい部分があるということは、反対にう蝕ができにくい部位もあります。食べものや舌が接触しやすい部分は、自然ときれいな状態が維持されるためです。
さて、う蝕ができやすい歯の溝、歯頚部、コンタクト部は、いずれも歯ブラシが届きにくいことが共通点です。このため、フロスなどの補助清掃用具の使用が有効になります。また、フッ素を含んだ歯磨剤を用いることでう蝕予防につながります。
う蝕には好発部位があります。重点的にケアするようにしていただくと、う蝕を効果的に予防できます。
神奈川歯科大学 青山典生
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