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聖書の登場人物を学ぼう|ルツ記④
(全4回)
ルツ記4章 つながる愛の物語
ルツ記のルツは、モアブというイスラエルとは敵対する土地の出身者です。
不思議な導きで義理の母であるナオミとともにベツレヘムにやってきました。ルツにとってベツレヘムに行くメリットはあるでしょうか。
モアブとイスラエルは血縁関係にあるとはいえ、この時代、土地柄や文化は全く違います。
故郷のモアブに帰って誰かと再婚するほうが安定した生活があったと考えるのが普通です。
しかしルツは、イスラエルの神を自分の神として歩むことを決心しました。モアブ人の多くはケモシュという神を信仰していました。
ルツは自分の生まれ故郷を捨ててでもナオミを愛し、イスラエルの神を頼って生きることを選んだのです。
モアブの地を旅立ちベツレヘムに到着したまでは良かったのですが、結局、女2人で生活ができる状況ではなく、“落穂ひろい”をして生活をすることになります。
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その中で神さまの備えであるボアズという近い親戚の畑に導かれました。
彼は人格者で信仰もあり、ルツやナオミを思いやります。そしてナオミはルツのために、ボアズと結婚するように段取りをします。
ナオミはルツのために、ルツはナオミのために、そしてボアズは2人のためにルツとの結婚を決意するのです。今日はその続きです。
1.ボアズの覚悟
ボアズはルツとの結婚を正式なものにするために、当時の町の寄り合いや議会とでも言えばよいでしょうか。町の門で長老10人とナオミの死んだ夫から一番近い親戚を招いて話を始めます。
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4:3 ボアズは親戚の人に言った、「モアブの地から帰ってきたナオミは、われわれの親族エリメレクの地所を売ろうとしています。
4:4 それでわたしはそのことをあなたに知らせて、ここにすわっている人々と、民の長老たちの前で、それを買いなさいと、あなたに言おうと思いました。もし、あなたが、それをあがなおうと思われるならば、あがなってください。しかし、あなたがそれをあがなわないならば、わたしにそう言って知らせてください。それをあがなう人は、あなたのほかにはなく、わたしはあなたの次ですから」。彼は言った、「わたしがあがないましょう」。
ボアズは、ナオミの夫であるエリメレクの土地の使用権を一番近い親戚に売ろうとしているのです。
当時、土地の所有者は神であり、代々その土地を引き継ぐ人の名前によって受け継がれていくものだったのです。ですから、土地自体は売れませんが、使用権は律法に書いてある年数に応じて売ることはできるわけです。
しかし、エリメレク一家には土地を相続する男子がいませんので、実質は一番近い親戚のものになるのです。《「わたしがあがないましょう」》と一番近い親戚が言うのは合法的に土地を実質的に所有できるよいチャンスなのです。
それに対してボアズは続けて話します。
4:5 そこでボアズは言った、「あなたがナオミの手からその地所を買う時には、死んだ者の妻であったモアブの女ルツをも買って、死んだ者の名を起してその嗣業を伝えなければなりません」。
4:6 その親戚の人は言った、「それでは、わたしにはあがなうことができません。そんなことをすれば自分の嗣業をそこないます。あなたがわたしに代って、自分であがなってください。わたしはあがなうことができませんから」。
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さらにエリメレクの土地の使用権を得ると同時に、モアブの女ルツを妻に迎えて子どもにエリメレクの土地を相続させなければならないことを伝えたのです。
これは、一番近い親戚にとっては困るのです。
なぜなら、モアブの女ルツを受け入れること。
さらに投資して土地の使用権は手に入っても、自分の代々の土地にならないばかりか、何か不測の事態があれば自分の土地を守る力を失うかもしれないからです。
ですから、その権利をボアズに譲渡したわけです。
こうしてみると、ボアズにとっても経済的にメリットのないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
ボアズはわざわざ10人の長老を呼び、近い親戚を呼び、律法を確り守って手に入れたものは負債だけであると言えます。
前回の3章で見ましたように、ボアズという人は、自分のことを計算に入れない人です。
神さまに従うこと、そしてルツとナオミを助けたいことが先立っています。ルツだけを手に入れるのであれば、3章でルツから求婚された時点で応えればよいのです。しかし、彼はそのような視点ではなく、もっと大きな視点がありました。
神さまにある愛とでも呼べばよいでしょうか。神さまと神さまの御言葉に従って生きている者に与えられる人生観とでも言えばよいでしょうか。このような大きな愛によってナオミやルツも歩み、そして従う中で救われていく物語なのです。
聖書の最も大切な真理である『福音』の原型がここに見えます。
2.その後のルツとナオミ
さて、町の人たちに正式に認められ、そして祝福されてボアズとルツは結婚します。その後、男の子が与えられ、ボアズが町の人たちに言ったように、ナオミのもとでエリメレクの土地の相続人となっていきます。
ナオミはルツの幸せを願ってボアズとの結婚に動いたわけですが、晩年には、ルツを通して子どもが与えられました。
ルツはナオミの愛によってボアズという主人を得ることができました。ボアズは神と神のことばに従う中で、ルツというすばらしい信仰者を妻にすることができました。
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私たちは、一つの物語として見ることができるので結末から考えますが、彼らにとっては、その時、神さまと律法に従うこと、そして、律法が教える隣人を愛し実践しただけなのです。
このような結末を望んでいたわけではなく、ただ神さまの導きであったと考えたに違いありません。それを考えるとき、教えられることは、私たちも同じであるということでしょう。
この物語のずっと後にイエス・キリストがおっしゃったことばです。
新約聖書 マタイによる福音書 6章33-34節
6:33 まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。
6:34 だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。
3.信仰はナオミ、ルツ、ダビデ王、そしてキリストへ
ルツ記の最後となりました。18-22節を読みます。
4:18 さてペレヅの子孫は次のとおりである。ペレヅからヘヅロンが生れ、
4:19 ヘヅロンからラムが生れ、ラムからアミナダブが生れ、
4:20 アミナダブからナションが生れ、ナションからサルモンが生れ、
4:21 サルモンからボアズが生れ、ボアズからオベデが生れ、
4:22 オベデからエッサイが生れ、エッサイからダビデが生れた。
ボアズとルツの息子オベデはエリメレクの血筋になったはずなのですが、ボアズの直系であるペレヅの一族として書かれています。
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ルツ記の著者にとっては人間の見る見方ではなく、信仰を基準として系図が作成されています。このルツ記の興味深く、おもしろいところです。
実際に、新約聖書でマタイという人が書いた「マタイによる福音書」を見てもそのような見方をしています。
つまり、ルツ記の作者が残したいものは肉体による血筋ではなく、神さまへの信仰の継承を伝えたいのです。そこで、ダビデ王を輩出する流れに至ったことを伝えたいのでしょう。
そしてこの物語はダビデでは終わりません。新約聖書のマタイによる福音書によれば、1章1節に書いてあるように《1:1 アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図。》となっていくのです。
彼らの信仰やそれに伴う愛の歴史はキリストを誕生させることに至ったのです。
そして、そして、それだけでは終わりません。この物語は系図を超えて2022年の現在を生きる私たちに届けられています。神さまを信じ、その信仰に生きたいと願う人が、現在の極東の日本にもいます。
この素晴らしい信仰と愛の物語は今も私たちによって継承されているのです。あなたもこの物語を継承していきませんか?
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